2014年11月22日

息を殺して

川越スカラ座で鑑賞。上映に先立ち、監督の挨拶があって、その内容はこんな感じ。

この作品は学校(芸大)の卒業制作で撮ったものである。制作にあたって、「どういうものが撮れるか」を考えたが、普通なら予算の制約があるところ、お金はそこそこ学校からもらえたので、撮りたいものを撮ることができた。

映画には犬が出てくる。私は出身が静岡の田舎だが、そのとき犬を飼っていた。Googleのストリートビューのサービスが始まる2年前に飼い犬が死んだのだが、死んだはずの犬が、ストリートビューには写っていた。今はもう存在していない犬が、ストリートビューを通じた世界では存在しているという不思議な感覚がこの作品を制作したモチベーションである。

スカラ座で上映できるのが、映画とリンクしていて面白いと思う。


さて、本編。イマドキの若者たちの二日間を淡々と描いている。イベントらしいイベントはイヌが迷いこむことと、幽霊がふらふらするぐらい。あとはほとんど何の変哲もない日常である。それを通じて、監督が何を伝えたかったのか。正直に言って、何も伝わってこなかった(笑)。「映画の良さが理解できないとは、馬鹿者だ」と思われてしまうことを承知で書くけれど、あーーー、つまらない映画だったなぁ、というのがストレートな感想だった。

監督が言うところの、すでに存在しない犬がストリートビューでは存在することの不思議さや、スカラ座とのリンクや、何もかもが理解不能。一体、何を観て、何を感じれば良かったのだろう?評価は☆ゼロ。  
Posted by buu2 at 13:31Comments(0)TrackBack(0)映画2014

マダム・マロリーと魔法のスパイス

hundredfoot


また出た、「◯◯と××の△△」タイトルである。バカの一つ覚えというに相応しいのだが、この作品のタイトルが最悪なのは、全く内容を表していない点である。マダム・マロリーは確かに重要な役ではあるけれど、映画の中ではナンバー3、4あたりの位置づけだ。それに、魔法のスパイスなんていうのも全く重要な役を果たしていない。確かに登場こそするものの、スパイスはタイトルにするほどのものではない。また、このタイトルでは魔法のスパイスとマロリーが関係ありそうに聞こえるが、両者は全く関係がない。この手法が許されるなら、「るろうに剣心」は「女医・高荷と京都の火事」になってしまう。そのくらいに的はずれなタイトルである。馬鹿なの?

しかし、この邦題の馬鹿さ加減とは反比例して、内容はなかなかのものである。インドからロンドンを経由して南フランスの田舎町にやってきた料理屋ファミリーが、道を挟んで営業しているミシュラン・レストランと敵対する、というグルメ対決もの。そこに、いい具合にフランス魂を盛り込んだりする。店の店主同士は敵対しているけれど、シェフは交流があったりする。やがて二つの文化が融合して新しい価値が生み出されていく様を爽やかに描いている。人間の嫌な部分もそこそこに盛り込んではいたけれど、最後まで安心して観ていられるのが良い。これは、時々登場する脇役の町長が良い役割を演じていたからかも知れない。

ところでちょっと前にも分子料理が登場したけれど、分子料理って、今も流行っているんだろうか?マンダリンにモラキュラーバーがあったと思うので、今度行ってみようかな?

評価は☆2つ半。デートで観て、お腹が減ったところで食事へ、というのがオススメ。  
Posted by buu2 at 12:27Comments(0)TrackBack(0)映画2014

2014年11月21日

ウチョウテン

都内ではかなりお気に入りの部類のウチョウテンなので、名古屋から知人が来てランチを、という機会に連れて行った。注文したのはハンバーグとメンチカツのセット。













うーーーーん、ハンバーグは美味しいのだけれど、ご飯が全くいただけない。これまでもそんなに美味しいご飯ではなかったのだけれど、今日は不味いレベル。半分ぐらい残してしまった。

この感じだと、ちょっと人を連れて行く感じではない。やはり、1,000円前後で美味しい肉料理を出すためには、どこかにひずみが出てしまうのかも知れない。

店名 ウチョウテン (UCHOUTEN)
TEL 03-3982-0077
住所 東京都豊島区南池袋2-36-10 SoHo103
営業時間 11:30〜14:30(L.O.14:00) 18:00〜21:30(L.O.20:30)
定休日 日曜日  

2014年11月20日

御礼

一つ前のエントリーをもちまして、このブログの記事は10,000エントリーになりました。10年以上にわたり、書かなかったのは1日だけでした(後日になって、さかのぼってのまとめ書きは頻繁にありますが(笑))。

一口に1万と言っても、一日一本のエントリーを毎日書き続けても27年以上かかる計算で、それは結構な量だなぁと思う次第です。しょこたんとか、一部のアイドルは一晩に100とか200とか書いてしまうこともあるようなので、一概に「すげぇ」とは言い切れないと思うのですが、自分としてはすげぇな、と思う次第です。

「これは通過点」とか言う気は毛頭なく、なんというか、息をするような感じで書き続けてきたので、ずっと続けるような気もするし、ある日突然更新をストップするかも知れず、予期せぬ外力によって中断してしまうかも知れないのですが、今後も辺境のブログへ、ときどき立ち寄っていただければと思います。

10年以上の間、毎日500〜1000人の方々に、こんな私的な文章を読みに来ていただけているわけで、日頃のご愛顧、篤く御礼申し上げます。様々な苦労があるとは思いますが、皆さんの健康が守られ、希望を失うことなく過ごしていかれるよう願っておりますし、そのための一服の清涼剤として役に立つことができれば幸いです。  
Posted by buu2 at 10:07Comments(3)TrackBack(0)日記

2014年11月19日

衆議院解散記念動画「NEVER SAY NO TO ABENOMICS」

  

2014年11月18日

紙の月

ミステリー調かと思ったら、一人の主婦が若い愛人に溺れて、銀行の金を横領し泥沼にはまっていく様子をストレートに描いた作品だった。もうちょっと展開に捻りが欲しかったところだ。

しかし、主演の宮沢りえの快演によって、作品は非常に出来が良いものになった。宮沢りえはしばらくの間、舞台で観ることが多かったのだが、2006年野田地図の「ロープ」で完全に一皮むけて、以後、日本を代表する女優になったと思う。
参考:野田地図「ロープ」buu.blog.jp/archives/50290620.html

ただ、手放しで褒めることができるかといえば、そうでもない。特に気になったのは効果音や音楽の使い方で、起伏を付けたい場面に音でアクセントをつけようと狙っていたのだが、これがちょっとあざとすぎる印象だった。穿った見方かも知れないが、宮沢りえの存在感に対向するために、監督が不必要な演出を施して自己主張した、と感じてしまった。

トータルで評価してみて惜しいのは、脚本がストレートすぎて解釈に幅がないこと。登場人物たちの心象が丁寧すぎるくらいに描かれてしまって、一度観るのには興味深いのだが、何度も繰り返し観たくなるような懐の深さが感じられない。また、主人公の心の動きが誰にでも起こりうることのように描かれているのならそれはそれで普遍性が生まれたのだが、この作品では、主人公の特殊性までをも丁寧に描き切ってしまった。結果として、エンターテイメントとしては良くできているのだが、語り継がれるような名作にはならなかったと思う。

宮沢りえや他の出演者の演技は良かったのだが、演出と脚本が足を引っ張ってしまった。評価はそれでも☆2つ半。  
Posted by buu2 at 23:13Comments(0)TrackBack(0)映画2014

2014年11月17日

中島みゆき「縁会」2012〜3 (Blu-ray)

恐ろしいほどの良席で観た縁会なのだが、BDでも買ってみた。



前半はちょっと音程が安定しないところがあったのだが、途中から調子が出てきたようで、最後まで楽しめた。ここまでやったなら、なぜ全曲収録しなかったのかと疑問もあるのだけれど、満足。

(これは、本ブログ通算9998のエントリーです)  
Posted by buu2 at 15:14Comments(0)TrackBack(0)音楽

グッバイ、レーニン!



2003年ドイツ制作、2004年日本公開というちょっと古い作品。スカパーでやっていたので観てみた。

熱心な社会主義者の母を持つ子供が反体制デモに参加しているのを目撃し、心臓発作で倒れてしまう。8ヶ月後に奇跡的に意識を回復するのだが、その間に東ドイツの社会主義体制は崩壊していた。母の余命はいくばくもない、と聞かされた子供は、母にショックを与えないように、社会主義体制が継続しているように装い、努力を続けるのだが・・・という内容。

はて、この内容でどうやって風呂敷をたたむのだろう、と思って観ていると、終盤になって登場人物たちの様々な思惑が明らかになり、大団円となる。

東西ドイツの統一という大きな社会変革に見舞われた家族とその周囲の人たちを、暖かく静かな視点で描いた作品で、登場人物たちがみんな良心的である。語りすぎず、語らず過ぎず、良く出来た脚本だと思う。

この映画を観ていないのはちょっと損なので、機会があれば、ぜひ。評価は☆2つ半。

(これは、本ブログ通算9997のエントリーです)  
Posted by buu2 at 15:02Comments(0)TrackBack(0)映画-2004

2014年11月16日

ティム・バートンの世界

六本木ヒルズでやっている「ティム・バートンの世界」展を観てきた。

展示を前提として描いたものではない作品がたくさん展示されていた。これらは、そのうち劣化してしまうので、今のうちに観ておいた方が良いと思う。夕方に行ったらかなり混んでいたので、興味がある人は平日の昼間、冬休前に行ったほうが良いだろう。

(これは、本ブログ通算9996のエントリーです)  
Posted by buu2 at 20:30Comments(0)TrackBack(0)美術

2014年11月15日

ブウ*の視点 「ラーメンチェーンに関する一考察」

チェーン展開できるほどの店であれば、ベースになっているラーメンの味はそこそこであることが多い。中にはちりめん亭のように、他業種からの参入などの例外もあるが、普通はまず美味しいラーメンが存在する。それをどうやって多店舗に展開していくかだが、ここで大きなハードルがいくつも存在する。これを乗り越えるのは非常に難しく、結果として、フランチャイズを含め、チェーン店のラーメン屋には期待ができなくなる。そのハードルとは、主に次のようなものだ。

1.味の質は、店員の質で規定されてしまう
まず問題になるのは「作り手」の確保である。この問題点をクリアする手っ取り早い方法が「作りやすいメニューを開発する」という手法である。具体的には、沸騰したお湯でぐつぐつダシを取る、太くて良質な麺を採用し多少の茹で時間のばらつきは無視できるようにする、といった工程の単純化である。それでもなお、厨房にはいる人間の質によってラーメンの品質は劣化する。特に営業時間が長い店舗ではばらつきが大きくなりがちだ。

2.臨機応変な味の変更が難しい
一つの工場でスープを大量生産する“セントラルキッチン”以外の業態では、傘下の店で一気に味を変更するのが難しい。店舗数が増えれば増えるほど、保守的にならざるをえない。素材の質は、相手が生き物だから変わってしまうけれど、それに対応することも難しくなる。

3.原料が、大量に仕入れることができるものに限定される
質が変動しない素材を使わざるを得ず、結果的に原材料の調達において大きな制約を抱えることになる。

上に挙げたハードルの内、特に深刻なのは1である。バイトの質を高いままで維持するのは至難の業だし、それを実現するためには高い給与が必要になってくる。その経費は価格に反映せざるを得ず、チェーン店の店主の経営を圧迫する。ではどうするか。質の低いバイトで我慢せざるを得なくなるのである。また、ラーメン作りの工程を単純化した影響はラーメン文化自体にも影響を及ぼしている。おかげで、近年は白湯系のスープ、魚粉を振りかけるだけで味が調整できてしまう魚介系の味付け、つけ麺を含めた太麺が主流となり、客の好みとは別の圧力によってラーメンの均質化が進んだ。

ラーメンチェーンに関して考察する上で面白い事例が、「一風堂」に関するものだ。一風堂は、もともと博多で創業した店だが、ラーメン博物館への出店を機に、おりからの九州ラーメンブームもあり、一気に全国区に駆け上った店である。今や海外を含め80店舗以上を構える一大勢力だが、最大の特徴はかなりのレベルでクオリティコントロールに成功している点だ。中にはとんでもなくダメな店も存在したことがあるが、ダメなままで放置されることはあまりない印象がある。店員の教育もなかなか良く、どの店で食べてもそこそこに満足できる。一方、一風堂がプロデュースで参画した「TOKYO 豚骨BASE made by 博多 一風堂」というチェーン店があり、これは品川、池袋、渋谷といったターミナル駅で展開しているのだが、こちらは一風堂の名前を良く使っているな、と思うほどに酷いラーメンを出している。両者で最大の相違点は店員の質である。このふたつを食べ比べると、多店舗展開においていかに店員の教育が大切であるかが良くわかる。

もうひとつ、店員(スタッフ)の教育が行き届いていて、クオリティコントロールに成功していると感じるチェーン店が、「麺屋武蔵」である。やかましいくらいに怒鳴り散らす店もあって演出過剰な気もするのだが、味の方はほとんどの店で、高いレベルでコントロールされている。

一方、いい感じで展開していたのに、一気にダメになったのが「一蘭」である。すべての店で確認したわけではないのだが、この店は六本木、上野、池袋、桜木町あたりでやっていた、2006年頃までがピークで、以後徐々に大衆化し、この一年ぐらいで一気に劣化した。恐らく、この店が持ち直すことはないだろう。

チェーン店とは言えないかも知れないが、渡辺樹庵氏のプロデュースした店も、質の高い店が多い。それとは知らずに食べて、以前と比較して随分美味しくなったと驚いたら、あとになって渡辺氏がテコ入れに入っていた、ということもあった。彼は「誰でも美味しく作れるラーメン」に関するノウハウを保有しているようで、彼が関わった店ではずれをひくケースはまずない。ただ、一つ残念なのは、多くの店で、似通った構成のラーメンになっていることである。こればっかりは仕方がないところだろう。

この他にも、「大勝軒」や「二郎」のように暖簾分けを繰り返して一大勢力を築いた店があるのだが、暖簾分け系の店はクオリティコントロールにそれほど配慮している形跡が見られず、その質はバラバラだったりする。これらの店は「どこそこの大勝軒はうまい」「どこそこの二郎はだめだ」といった具合に、地名とセットになって言及されることが多い。

ファミレスタイプのラーメン屋もひとつの勢力で、「幸楽苑」や「日高」といった低価格、家族向けの店舗も、都内のあちこちで見つけることができる。これらの店はターゲットが僕のようなラーメンオタクではないので、5年に一度も足を踏み入れたりはしないのだが、コストパフォーマンス“だけ”は素晴らしいので、味のわからない子供を連れて行くとか、お金のない学生には良いのかも知れない。

最近はチェーン店同士の統廃合もあるようで、「元祖札幌や」と一部の「大勝軒」、もしくは「花月嵐」と「ちゃぶとん」が同じ系列だったり、あるいは「船見坂」と「金丸」と「味源熊祭」のように全く異なる店が同一資本だったりと、かなりややこしくなっている。総じて言えるのは、チェーン化すると味が落ちる、ということだろう。とはいえ、チェーン化しなくても味が落ちることは珍しくないのがラーメン店なので、このあたりの因果関係は多分に気分的なところを含んでいるはずだ。

だいぶ前に「ラーメンブームはそろそろ終了」という指摘をしたのだが、その傾向はさらに顕著になってきている。例えばここ数年の間に僕が出版したグルメ本の売れ行きを見ると、ラーメン本よりもとんかつ本の方が一桁多く売れている。もうすでに、ラーメンは味としても、情報としても、食いつくされているのだ。もちろん、ラーメン屋がなくなるわけではないのだが、「とりあえずラーメンを扱えば視聴率が取れる・本が売れる」という時代ではなくなった。これまでファミレスや牛丼屋の代わりに勢力を伸ばしてきたラーメン屋も、その多くは徐々に縮小傾向になってくると考えられる。そのとき強い逆風にさらされるのが、「どこで食べてもそれなり」ぐらいの、特徴のないチェーン店だろう。

最後に、僕の個人的な「チェーン店の良し悪し」を見分けるポイントを書いておくと、業務用の添加物入りにんにくをテーブルの上に置いているかどうか、である。これを使っている店は味よりも利便性と収益を追求しているので、基本的に二度と足を踏み入れることはない。

(これは、本ブログ通算9992のエントリーです)