2005年01月12日

山瀬の移籍騒動

去年の年末に浦和レッズ山瀬の移籍志願が表面化し、何気なく大騒ぎになっていた。山瀬の移籍先候補として一番に上げられているのがマリノスであることから、個人的にマリサポである自分はちょっと静観しておこうと思っていたのだが、そろそろ落ち着いた頃なので、加筆しつつ「下書き」から「公開」にランクアップします。

#って、世間的には全然大した事ないのかもしれないけど。


どこが凄いことになっていたって、ブログである。山瀬の代理人、田邊氏が自らブログ「エージェント・代理人 田邊指摘日話」を運営していて、このブログへの書き込みが凄い。トラックバックもにぎやかだ。つい先日ソネットで古田@ヤクルトスワローズがブログをはじめ、「眞鍋かをりのトラックバックを抜きたい」みたいなことを書いたためにトラックバックが集中している、なんてこともあるのだが、あっちに比べると田邊氏のブログが盛況なのは質が違う。

そこに寄せられているコメントの一部に対して田邊氏が返答しているのも大したものだと思うが、ブログによってコミュニケーションの形も随分と変わってきたなぁと感じる。以前はこの手のコメントは2ちゃんの掲示板に書き流されてオシマイだっただろう。

今回これだけ大騒ぎになっているのは、山瀬が靭帯切断という大怪我をしたとはいえ、非常に能力の高い選手であり、レッズサポの期待も大きいからだろう。そして、レッズサポの戸惑いは、「なぜこんな良いクラブを出て行きたいのか」というものであるに違いない。実際、エメルソンは海外からのオファーも断り、「私はレッズが好きだから移籍しない」という旨の発言をしていると聞いたことがある。こんな素晴らしいクラブ、こんな素晴らしいサポーター、そしてほとんど手にしかけた年間王者を獲るという目標をなぜ捨てるのか、と。

もちろん、ブロガーが運営しているブログのコメント等を通じて山瀬本人にアピールすることも可能だろうし、それによって山瀬が翻意する可能性もある。田邊氏のブログにトラックバックするのも勝手だし、コメントするのも勝手である。折角あるシステムなのだから、使わないのは損だ。2ちゃんよろしく、つまらない煽りや半ば脅迫のようなコメントも少なからず見受けられるが、心あるレッズサポはきちんとした手段でアピールしており、これも新しい形の選手とサポーターのコミュニケーションと言える(直接的ではないが)。

ま、意思決定するのは山瀬本人であるから、最終的にどうなるのかは時期が来れば自ずから明らかになる。マリノスサポとしてはその時期が来るまでのんびり待つしかない。

が、マリノスサポとすれば奥のバックアップが上野しかいないという状況を打開できるわけで、トップ下1列目に山瀬と奥を置き、その後ろに上野と遠藤を置ける。佐藤と柳が抜けてしまったためバックアップは田中隼のみだが、怪我や出場停止でミッドフィールダーが薄くなったときは3−5−2にしてドゥトラをMFにあげれば良い。さらに怪我人が出てしまった場合は中西をMFに起用することも可能で、ACLやA3、そして代表戦と、リーグ戦以外にもたくさんの試合をこなさなくてはならない現状を考えれば、喉から手が出るほど欲しい選手であることは間違いない。もちろん怪我が完治して元通りのパフォーマンスを発揮できるかという問題は残っていて、そのリスクを背負う必要はあるのだが。

マリノスも今や選手を買う側になっているが、最近では波戸や三浦淳や、古くは長谷川健や柱谷哲など、「えぇっ!!そうなの?」と思ってしまう移籍があった。だから、レッズサポの戸惑いもわからないではない。僕自身も柱谷哲の移籍の際はかなり、というか滅茶苦茶不満に思ったものだ。Jリーグ開幕時、マリノスとヴェルディの2強のどちらが優勝するのか、という状況で、その中の中心選手が当面の敵に移籍してしまったのだから。後に当時のチームメイトと話をしたとき、「僕もテツさんに聞きましたけどね。『オレはプロだから、金をもらえるところに行く』って言ってましたよ」とのことだった。金を取るのもプロ、サポーターを取るのもプロ、環境を取るのもプロ。移籍した結果、柱谷はきちんと活躍し、チームは一時期リーグを牽引したのだから、移籍は成功だったと言わざるを得ない。

今では川口がマリノスに帰ってこなくても「海外で苦労するより磐田で頑張った方が良いよな」と思うし、波戸やアツにしても他のチームで活躍して欲しいと思う。中村俊輔が凱旋するときにレッズに行ったとしても、それはそれで仕方がないと思うだろう。

全ては選手の自己責任であり、サポーターが直接選手に給料を払うわけでもなければ、引退後の面倒を見るわけでもない。やはり短い現役生活の中では選手は選手の意思でやりたいようにやるのが一番だし、代理人がそれを補助してくれるのであれば、それを大いに利用すべきだろう。それにしても代理人とは、ありがたく思ってくれるのは選手だけで、本来は選手が背負わなくてはならない多くの非難を引き受けなくてはならない。なかなか大変な仕事である。

田邊氏については中澤の移籍のことまで引き合いに出されているけど、じゃぁ中澤があのまま下り坂のヴェルディにいて、今のリーグや代表での活躍があったのか、2004シーズンのMVPがあったのかというとかなり疑問である。もちろん、「いや、ヴェルディにいれば今頃はヴェルディが優勝して、やはりMVPにもなっていたはず」という意見もあるだろう。ただ、中澤は少なくとも、マリノスに来たことによって、考えられる最高のリザルトを出している。つまりは、中澤は田邊氏のサポートを得て適切な判断を下した、ということだ。次は海外移籍になるのだろうが、そのフェイズでも代理人は活躍してくれるに違いない。

ということで、ここまで書いて、レッズサポの皆さんのブログを2つほど覗いてみました。レッズサポの意見ということで紹介しておきます(トラックバックだけに済ませて、コメントはしないでおきます)。

「山瀬功治の移籍志願」への複雑な心情(日刊宇宙人)
山瀬のことを書かないとダメかな(改 (BooHoo!BLOG)

ついでだから、ニュートラルな意見も一つ。

移籍に関する雑感 (blog武藤文雄のサッカー講釈)

え?このエントリー?そりゃもちろんニュートラルじゃないですよ。バリバリにマリノス寄りですので、そのあたり、間違わないように(^^;

Jリーグ移籍リストの更新は18日です。

#ところでさ、ロナウジーニョは獲らないの(^^;?

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これが浦和のスタンダード【日刊宇宙人 Alian is talking about the Universe.】at 2005年01月27日 01:51