2005年03月10日

コンテンツを作為的に一人歩きさせている事例

ことの発端は切込隊長の「ライブドア騒動と、オウム真理教事件が構造的に酷似している件について」という記事である。

このエントリーが書かれたとき、「なぜこうした行動に出たのか」をちょっと考えてみた。というのは、「構造的に似ている」などということはちょっと文章が書ける人間であれば誰でも書けるからである。それはオウムではなく、「日本新党」とか「村山社会党」、あるいは「マイクロソフト」あたりのいかにも書けそうなところから、「現在の小泉人気」とか「ドラクエ」といった、ちょっと頭をひねれば書けそうなことや、さらには全く関係のなさそうな「ごくせん」とか「トリビアの泉」とか「落合中日」とか「愛知万博」とか「サッカー日本代表」といったものまで、書こうと思えばおおよそのことについて「構造的に類似している」と書けるはずだ。
#もちろん、その一方で構造的に類似していないことは山ほどあるわけだが、そんなことは書かなければ良いだけのこと。

例えば人生の節目における重要な試験において、「ライブドア騒動とサッカー日本代表の構造的類似点について2000字で述べよ」と言われれば、誰でも何かしら書くはずである。そして、その分量が増えてくれば、それを「酷似」と評することが可能である。

特にライブドアの場合、トップであるほりえもんだけが顕在化し、残りは会社のアクティビティから時々垣間見られる、「今ひとつ能力の高くなさそうな」社員たちの姿ぐらいである(ライブドアブログの規約改正とか、ある会社の公開引き受けとか、まぁ色々あるわけだけど)。こうした会社について別の事例を引いて、その類似点を述べるのはそれほど難しくないはずだ。特に切込隊長あたりは文章で商売をしている人間だから一層のこと簡単だろう。
#僕も昔、そういう作業を何度もやったことがある。元データと結論が決まっていて、その間に理屈をつけるという作業である。官僚の下請けにはこうした理屈作り作業が非常に多い(正確には「多かった」)。

ただ、引き合いに出すものは、その文章がエンターテイメントである以上、より多くの人が知っていて、インパクトがあるものが望ましい。だから「オウム」だったのかも知れない。しかし、その選択は適切だったのかという問題がある。文章中には

※ 本稿はライブドアが犯罪性のある集団であるという意図ではなく、メディアでの取り上げられ方や組織の構造が類似していることを示唆するもので、誤解のないようにお願いしたいと思います。

と明記しているが、何の気なしにその文章を読んだ人たちはオウムの底流に流れる気味悪さを無意識のうちにライブドアにも感じるに違いない。このこと自体は切込隊長が無意識にやっているのではなく、意図的に行われていることだ。しかし、そうしたマインドコントロールをなぜ切込隊長がやりたいと思ったのか、これは良くわからない。まぁ、野次馬的な感覚で「(個人的に快く思っていない)ライブドアってさー、オウムと似てるよねぇ」と無邪気に語りたかっただけということかも知れないし、文章を書く直前にライブドアの株を大量にカラウリしており、その利益をもっと増大させたいためにやったのかもしれないし、その他の経済的、あるいは精神的な利害が絡んでいたのかもしれない。まぁ、このあたりはどうでも良いといえばどうでも良いのだが、問題は今日の新聞に載った週刊新潮の広告である。
#前振り長くてスイマセン。

やっぱり墓穴を「ホリエモン」

という見出しはアエラ的で思わず笑ってしまうのだが、その中には全くいただけないものが含まれている。

ネット界の教祖が断じた
ライブドアはオウムと同類


政治家の発言の一部分だけを取り出し、その発言の意図を歪めて放送するテレビ局の問題が指摘されることがある。しかし、政治家の全発言などはなかなかチェックすることができないので、比較することができない。ところが、今回は違う。コンテンツはネット上に掲載されているので、比較は簡単である。ただ、「非常に簡単」とは言えない。というのは、件の切込隊長の文章は非常に長く、長文を読みなれていない人間にとってはかなり苦痛なものだからである。ただ、きちんと読んでみれば、「ライブドアはオウムと同類」とたった12文字でまとめられるものでないことはわかると思う。もちろん、背景にある思想が親ライブドアでないことは明白なのだが。

週刊新潮で実際に記事がどのように書かれているのかはまだわからないし、もしかしたら週刊新潮が取り上げたのは切込隊長の記事のことではない可能性すらあるのだが、週刊新潮の記事の見出しのつけ方には違和感を持たざるを得ない。

元ネタ→そのネタを抜粋した雑誌の記事→雑誌の広告の見出し

と、段階を踏んでその内容はシェイプアップされるわけだが、そのさなかにコンテンツを作為的に一人歩きさせようとしている。今回はその過程を全てチェックできるケースなので、暇な人はチェックしてみたら面白いと思う。
#って、僕もまだ中間(雑誌の記事)を見てないんだけど(^^;

さぁ、この記事を気に入った人も、気に入らなかった人も、下の画像をクリック!!mitubisi

追記1:なんか知らないけど、ライブドアのTB関連システムがかなり不安定な様子。切込隊長のところにTBしたらすげぇ数のTBピンが送信されてしまった模様。すいません、悪気はないんです(^^;

追記2:木村さんのところでちょうどタイムリーな話が掲載されたので、そちらにもトラックバック。

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苫米地氏がブログを始めたというので、早速見てみたら、こんな事を書いてました。 http://blog.livedoor.jp/tomabechi1/ 山本一郎という人が、堀江社長を叩くためにこんな事を書いてるんだそうな。 「ライブドア騒動と、オウム真理教事件が構造的に酷似している件につ
ライブドアとオーム?酷いね。【Tenの健康情報局】at 2005年03月17日 18:29
ライブドアがフジテレビのLBOやTOBを検討しているといったニュースの後、何気なく流されていたが、昨日の日本テレビの「麻原被告、脳に疾患の可能性」というスクープは新聞協会賞ものの大スクープだ。後追いの共同配信で産経新聞が書いている。(読売、朝日、毎日はな.
麻原、脳に疾患の疑い濃厚、すぐにでも精神鑑定をすべきでしょう【ドクター苫米地ブログ】at 2005年03月18日 05:46
自分で散々取り上げておきながら、既に超有名どころで出ていた話題だったとは。迂闊であったぞ。 放送による報道とは、実は編集者という作者が「ノンフィクション」という素材を「コラージュ」して作った「フィクション」であるといったら言い過ぎであろうか? 404 Blog No
報道は「フィクション」であるという話【Dazed Days Bootleg】at 2005年04月24日 18:56
更年期のせいでしょうか 男性も女性も、六十歳を過ぎたあたりから 独特の品が出てく...
♂♀ 生・性・聖 2003.6.X 初出【仙台インターネットマガジン ★仙台のフリーネット雑誌】at 2005年06月25日 15:15