東野圭吾強化月間最終回は「どちらかが彼女を殺した」。三角関係のもつれからの殺人事件。容疑者は三角関係の当事者。本編では最後まで真相が語られず、伏線をもとに読者が推理するという趣向。コンセプトは面白いと思うのだが、まず物語の設定に無理があり過ぎて、「?」という感じ。被害者のお兄さんの行動に対してさっぱり感情移入できないのだ。また、コンセプトを重視するがために物語りにも無理が生じている印象。なんか、いかにも「悩んでくれ」という感じの作り。実はこの本、ハードカバーと文庫本では内容が少し違うらしい。ハードカバーでは一切の真相が語られないが、決定的なヒントが記述されている。文庫版はそのヒントが削除され、代わりに巻末に袋とじの種明かしが入っている。僕が読んだのは文庫版だけど、袋とじを開くのが前提になっている本の作りには疑問を感じざるを得ない。評価は☆。