久しぶりにサイスタでのJリーグ戦。日産スタジアムで観ているとこのスタンドは本当に羨ましい。スタンドの中でも見やすいポイントのバックスタンドアッパー南側(2500円)が最後まで残っているのもナイス。
前半、両チームがディフェンスラインを高くしたコンパクトなサッカー。この中で両チームはあまり強めのプレスをかけずにいた。ポゼッションはマリノスのほうが高く、それに対してレッズはディフェンス&カウンターという構図だった。立ち上がり、リズムが良かったのはマリノスで、その中で先制点が生まれた。コーナーキックからのこぼれ球がフリーの齋藤にわたり、ディフェンダーを外すワントラップの後、ペナルティエリアの外からタイミングとコースを狙ったシュートがすーーーっとゴールに飲み込まれた。マリノスの得点以降もポゼッションのマリノスとカウンターのレッズという構図。負けているのだからレッズももうちょっと攻めてきても良さそうなのに、意外と攻めてこない。レッズが攻めてこないので、マリノスがボールを持つ羽目になる。ただ、マリノスのポゼッションもレッズのブロックを崩せるようなものではなく、またレッズのカウンターに配慮したものだったので、展開としてはそれほど動きのないものとなった。
後半、レッズはそれまでのディフェンシブな戦術を変更し、攻めに出てきた。ポゼッションはレッズとなり、前半とは逆にマリノスが守備を固め、カウンターを狙う。立ち上がりこそマリノスの前線からの守備の意識が希薄でレッズに好きなようにパスを回されたけれど、すぐに修正がかかって、ボールホルダーにきちんとプレスをかけるようになった。おかげでレッズも決定的なパスがでなくなり、試合は膠着状態に。マリノスの守備はそこそこ固いので、このまま終わるかな、それとも、誰かの個人技が炸裂するかな、と思っていたら、後半の30分過ぎに槙野の素晴らしいプレーが炸裂し、ディフェンダーを5人引き連れての同点弾が決まってしまった。ボディを使ったフェイントを交えた素晴らしい切り込みで、フィニッシュも文句のつけようがなかった。
試合時間に残りが少なく、これで引き分けか、同点に追いついた勢いでレッズに追加点か、と思っていたのだけれど、意外にもレッズはマリノスゴール前でのパス回しが雑で、頻繁にパスカットからのカウンターを食らう。ただ、同点に追いつかなくてはならないレッズは前への意識だけは強くなり、結果として、ラインディフェンスが機能しなくなり、ノーガードの打ち合いのような雑な試合になった(それでも、マリノスは何度かディフェンスラインの確認があった様子)。この中で、スタンドの雰囲気に反して、試合はカウンター中心のマリノスペースに。そして、勝ち越し弾は再びコーナーキックから。俊輔のファーへのコーナーが、レッズディフェンダーの上をギリギリで超えて、交代で入ったマルキーニョスのヘッドにドンピシャ。残り時間が少ない上に、レッズのパスは正確性を欠き、長めのロスタイムも危なげなく経過。試合終了。
3位のレッズに対してどういう戦い方をするのかが注目された今回のマリノスだが、選択はコンパクトなサッカーでポゼッションを取りつつ、セットプレーで個の力を利用する、というものだった。先取点によって試合の主導権を握り、槙野の個人技によって一度は同点に追いつかれたものの、再びセットプレーで勝ち越した。組織で勝つと言うよりは個人の能力に頼った試合だったけれど、勝ちは勝ちである。
しかし、そもそも個を生かしたゲームプランというのも当然あり得るわけで、逆に言えば、チームの中心を中村、中澤にしなくてはならない現状ではポゼッション・サッカーもカウンターサッカーもできないのだから、取ることのできる選択肢は限定的である。このサッカーの危ういところは、齋藤、小野、中村、中澤といったメンバーの好不調がそのままチームの力に直結してしまうところで、そこに目をつぶるなら、決して悪くはない。実際、「うわーーー」と、別の意味で目をつぶりたくなるシーンはあまりなかった(ちょっとパス出しの精度が低く、おかげでパスの受け手が削られてしまう場面があったり、カウンターを防ぐために遅いタイミングでディフェンスしてイエローをもらう場面があったりはしたけれど)。
ただひとつ思うのは、このサッカーなら、監督は木村和司でも良かったよな、ということである。
一方、レッズはもうちょっと縦にパスをつないでくるのかと思ったけれど、意外と前への意識が希薄だった。何度かあったカウンターの機会もそれほど強い危機感を持つことはなかった。また、ここぞという場面でのパスミスが多く、カウンター力の低いマリノスですら時々効果的なカウンターの機会を得ていた。このあたり、悪いピッチコンディションの影響もあったのかも知れないけれど、折角いい選手が揃っているのだからもうちょっとプレーの精度を高くしたら良いのに、と思った。正直、「これで3位かぁ。全然凄みがないなぁ」とも思った。
試合コントロールという面では、審判の笛はレッズよりだったと思う(特に前半)けれど、レッズのホームだし、こんなものだろう。ここなら良いかな、と思う場面でレッズよりだったのは確かだけれど、ここはやめて、というところでは比較的フェアだったと思う。
今日の「総統閣下はお怒りです」も、もちろんマリノスコーナーあります(^^ キックオフマリノスの前は日の出テレビの総統閣下はお怒りですをどうぞ。