ヒロッコ;ゼンショーが「第三者委員会からの調査報告書受領に関するお知らせ」を発表しましたね。
https://www.release.tdnet.info/inbs/140120140731024283.pdf
閣下:どれどれ・・・って、ファイルが重すぎて全然閲覧できないじゃないか!
ヒロッコ:そんなこともあろうかと、すでにプリントアウトしてあります。
閣下:さすがだな!
モリタック:どんなことが書いてあるのですか?
閣下:俺もこれから見るんだから、せかすな。順番に見ていこう。
すき家の非管理監督者社員の平均月間残業時間は多いときで約80時間、少ないときでも40時間を超えており、月間残業時間が100時間以上の社員がしばしば100名を超え、また、同100時間以上のクルーも常に数百名いる状況であった(P16)
閣下:ここでは「非管理監督者」と書いてあるのだが、実際には複数の店舗をマネージしているAMなども含んでいるので、どこが非管理監督者なのか良くわからないのだが、この数字は、俺が経験してきた三菱総研や経済産業省と比較して多いとは言えないな。ただ、問題は仕事の質で、それほどのスキルが要求されず、誰でもできることなら話は別だ。例えばレジ打ちの仕事は大したスキルは要求されないが、店を開店している以上は誰かしらが配置されている必要がある。24時間営業なら3人(一人8時間/日)は絶対に必要で、そこを残業前提で2人しか配置しないといったことなら問題だろう。
ヒロッコ:仕事の質次第ということですね。
閣下:単に歯車として動いているなら高残業は大問題だ。一方で、様々なトラブルがひっきりなしに発生して、その場その場で高度な判断力が必要とされるとか、常に新しい企画を考えだす必要があるとか、そういう業務内容なら、この程度の残業は普通だろう。そのあたりの検討は先でなされるかも知れないから、もうちょっと読み進めよう。
恒常的に月500時間以上働いていた者や、すき家店舗における業務が多忙で2週間家に帰れないという経験をしている者も見られた(P17)
2012年度においては、居眠り運転を原因とするすき家社員による交通事故が少なくとも7件も発生している。しかも、Z社幹部職員は、過重労働が社員の交通事故の発生要因となっていることを認識していた。(P18)
閣下:ここまでくるとさすがに酷いな。要すれば、社員は使い捨てで、強靭な精神力と体力を併せ持つ人間だけが出世できる、というスタイルなんだろう。なぜこんな会社で働き続けるのだろう?
ヒロッコ:給料が素晴らしく高いのかも知れません。
モリタック:年収1,000万円でも嫌ですよう・・・
クルーに対しても実際の労働時間をデイリー勤怠報告書に記録しないよう求める実態が認められる(P19)
閣下:時間給のバイトにサービス残業強要って、これでバイトが確保できるのか(笑)?
ヒロッコ:インターネットの時代ですから、こういうブラック情報は学生の間であっという間に共有されますよね。
24時間営業で深夜にも電話があることが精神的に辛いし、やっていく自身[ママ]がない(P20)
閣下:これはある意味当たり前。自分が責任を持つ店舗が24時間営業なら、24時間対応が求められる。当たり前ではあるけれど、それが正常かといえば、別の話だ。牛丼屋以外にも、コンビニみたいに24時間営業の店はたくさんあるのだが、その背後には24時間体制で対応する責任者が必ずいることを考える必要がある。これは国が考えるべきことだな。つまり、24時間営業を許可するのか、禁止するのか、ということだ。日本は現在規制がないのだが、ドイツのように「閉店法」で規制している国もある。とはいえ、ドイツの閉店法も緩和の方向で、平日は24時間営業の店も少なくない。
ヒロッコ:ジェトロのこんな資料が参考になりますね。
ドイツにおける「閉店法」の歴史と緩和の動き
https://www.teikokushoin.co.jp/journals/geography/pdf/200802/1-3.pdf
同マニュアルは、標準時間として最速時間が記載されるなど、最も能力の高い従業員を基準に作成されている。この結果、すき家におけるワンオペ時の労働環境は、過酷なものとなる。(P21)
閣下:全ての選手はネイマールのごとくシュートを決めろ、みたいなマニュアルだな(笑)
モリタック:「標準」という言葉が空々しく聞こえます(汗)
アンケート(アルバイト)においては、ワンオペにより店舗の清掃作業が疎かになっており、店舗が不衛生になっている旨の回答が見られた。また、状況によっては顧客を待たせることになり、顧客からクレーム又は暴言を言われることがある旨の回答もあった。(P21)
閣下:つまり、ワンオペ(一人勤務体制)じゃ、無理ってことだろ。
ノブポン:ワンオベは無理ということで2名配置にすると、深夜帯の人件費は倍増となりますから、その分のコストは価格に上乗せせざるを得ず、これまでのような価格競争は困難になるわけですね。
閣下:デフレのしわ寄せはこういう弱者のところにいっているわけだ。
ヒロッコ:色々なものが安い理由をきちんと考えたほうが良いということですね。
売上が落ちる日に、労時アップの手段としてクルーの休憩時間が利用されることがある。(P22)
ヒロッコ:こんな手があるのか!と笑ってしまうような話ですね。
閣下:笑い事ではないけれどなぁ。
自らの希望に基づいてはいるものの、1ヶ月間休みなく稼働し続ける者も複数見られた。
ノブポン:お金が欲しくて身を粉にする方々もいるのですね・・・
閣下:しかし、それを標準にしてもらっては困る。
高校生クルーの午後9時30分以降の勤務禁止の指示は、現場では高校生クルーに対する当該時間以降の労働についての賃金不払いに繋がった例もみられる。
ノブポン:「夜間も働け、ただし、違法だから、記録には残すな、記録にないから賃金は支払わない」ということですね。
モリタック:うーーーーん。
ZHDグループ人事・総務本部では、上記手続によって確認された退職理由を一覧表にまとめていたところ、当該一覧表には、2013年、2014年の退職者について、以下のような退職理由が記載されている(P25)
閣下:ここではいちいち引用しないけれど、こういうのを読むと、逆にこの会社には一体どんな人が残っているんだろう、と思ってしまうな。
ヒロッコ:辞めないほうが不思議ですね。
閣下:とりあえず、俺はだいぶ前からすき家で食べるのをやめているよ。
ヒロッコ:閣下はもともとファストフードではほとんど食べないじゃないですか。
閣下:昔は食べていたぞ。でも、特に地震以後は全く食べてないな。何はともあれ、ブラックな会社が存続できるのは、ブラックでも働く人間がいて、その会社のサービスを受ける顧客がいるからだ。消費者も片棒を担いでいるという認識を持つ必要がある。
ヒロッコ:そして、一昨日、こんなニュースがあったわけですが。
き家 運営会社赤字見通し 深夜2人以上に
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20140806/t10013597721000.html
閣下:ワンオペ廃止、深夜営業の再検討、値上げ、か。どれもこれも当たり前の話だな。
モリタック:すき家が牛丼を値上げするのは平成16年9月以来、10年ぶりだそうですよ!
閣下:安倍首相あたりは「これもアベノミクスの成果」とか言い出しそうだな(笑)