先日このブログでも取り上げたけど、将棋連盟の米長氏(現理事長)が同じ棋士の武者野氏から著作権侵害で訴えられた。これはこれで別に構わないのだが、なぜか「週刊将棋」という将棋専門の週刊新聞にこのニュースが全く取り上げられていない。先週号は問題が明らかになった時期との兼ね合いで「もしかしたら間に合わなかったのかな」と好意的に考えたのだが、今号は明らかに恣意的に掲載を見合わせている様子だ。
なぜこのようなことが起きるのかといえば、答えは簡単。この週刊将棋、販売協力:毎日新聞社、販売:毎日コミュニケーションズなのだが、発行が社団法人日本将棋連盟なのである。ひとことで言ってしまえば「自分達に都合が悪いから」ということになる。
しかし、米長理事長が訴えられたという話は一般紙にも掲載されている。今さら隠しても仕方がないし、逆に掲載しないことには強い違和感を持つ。訴訟の最中にどちらかの当事者が有利になるような記事を書くわけにはいかないことはわかるのだが、訴訟が起きている事実を報ずるのはメディアとしての義務だとも思うのだが。ということで、想像で色々書いちゃっても申し訳ないので、ストレートに週刊将棋の編集部に問い合わせてみた。
聞いた質問は、
1.何か法的な問題があって掲載しなかったのか
2.制度上の問題がなかったのであれば、掲載しなかった理由は何か
これに対しての回答は、
1.法的な問題はなかった
2.事実は認識したが、掲載は不適切だと考えて掲載しなかった
とのこと。そのとき同時に教えてもらったのだが、この週刊将棋、発行社団法人日本将棋連盟、販売毎日コミュニケーションズとなっているが、実際に制作しているのは将棋連盟ではなく毎日コミュニケーションズであるとのこと。
担当者が回答に詰まることもあり、色々大人の事情もあるだろうからいじめても仕方がないとういことで電話を切ったのだけれど、キオスクなどで広く売られている公称20万部のメディアであっても公平中立な報道なんて期待するのは無理なんだろうね、と思った次第。
マスコミに期待できないとなると、じゃぁブログですか?と言いたくなるのだが、これもかなり疑問ではある。
というのは、昨日取り上げた木村剛氏の日本振興銀行退任の件から感じたわけだけど、昨日も書いたとおり、木村氏のブログではこの件についての記述が全くなかった。木村氏はこれまでもブログの可能性や自身のブログに対する期待を何度も記事にしてきているし、それによってブロガーの共感も得てきているようだ。そして、同時にマスコミに対する失望も情報発信してきている。いわばブログ文化の旗振り役という立ち位置にある(もちろんブログ文化の発展の方向性は多岐に渡っていて、木村氏が先導しているのはそのうちの一つにすぎないのだが)。ところが、木村氏はマスコミに対する記者会見は実施しているのにブログによる情報発信は今日になっても行われていない。ツールを持ち、確実に自分の言葉で発信できる立場にあるのに、である。この理由がどこにあるのかは読者には見えてこない。非常に好意的に考えれば、「記者会見は当たり障りのないことを言うだけ。信頼しているブログの読者にはもっときちんと生の言葉で伝えたいことがある。しかし、そのためにはちょっと時間が欲しい」ということなのかもしれない。でも、それならそういう主旨の言葉をアップすることも可能だったはず。すでに「なぜ社長を退任するのか」は報道されてしまい、個人的にはあまり興味がない。今興味があるのは「なぜブログで第一報を流せなかったのか」である。