2005年07月14日

ピーチパイン

050714_1130~01.jpg世界中に存在する果物の中で、僕が知る限り一番おいしいものはリンゴでもメロンでもキゥイでもなくて、パイナップルである。

僕は生まれてから大学生になるまで横浜の商店街の中で育った。うちは美容院だったんだけど、向かいが八百屋さん。八百屋さんにはいつもたくさんの果物が置いてあったんだけど、かなり珍しい果物だった。棚に並ぶのは1年のうち数週間。当時の値段は800円ぐらいと、凄く高い商品ではなかった(やっぱ、一番高いのはメロン)けれど、今みたいに年がら年中250〜300円ぐらいで買えるようなものではなかった。

八百屋さんの棚には年に数回、大体2つか3つが並ぶ。それが売れてしまうともうおしまい。小学生だった僕はそれが売れ残って、緑色だった実がオレンジ色になってくるのを何日も待っていた。「さすがにこれ以上置いておくと悪くなってきちゃう」という、超食べごろになるまでそのパイナップルが売れ残ったときに限って、それを買って食べることにしていた。運悪く全部売れてしまったときにはパイナップルの缶詰で我慢。そういうときはいつあるかわからない再入荷を待つことになり、最悪の場合は次の年まで一年間待たなくてはならなかった。毎晩閉店間際の八百屋さんの棚に売れ残っているパイナップルを見るのが楽しみだった。

パイナップルにはブロメラインというタンパク質分解酵素が含まれている。おかげで、パイナップルを丸ごと食べていると口の中がひりひりしてくる。しかし、それでも構わず丸ごと一個食べてしまうこの喜び。一年に一回あるかないかの楽しみだったのである。

一年に数回しか入荷しなかったパイナップルは、いつの間にかその期間が長くなっていつでも食べられるようになった。値段も500円ぐらいになり、300円ぐらいになり、最近では250円ぐらいで買えることもある。パイナップルカッターという専用のパイナップル切り道具なども発売され、丸ごと美味しく食べることができるようになった。果物自体のありがたみは大分希薄になってしまったが、そのおかげで昔のように甘味より酸味の方が勝っているようなパイナップルは珍しくなってきた。もう、この状態は天国としか言いようがない。ところが不思議なことに、「世界で一番美味しい」と思っていても、毎日食べたいとは思わないのである。最近はいつでも買えると思うと逆に買う機会が落ちてきて、我が家のパイナップルカッターの出番も大分少なくなってきていた。

そんな中、件の八百屋さんの長女から宅配便が届いた。なんだろうなぁ、と思って開けてみると中から出てきたのは3個の、小さいけど色の良いパイナップルである。素晴らしい。さっそくばらして食べてみたらこれが発狂するほどに甘くて美味しい。これはピーチパインという種類のもので、石垣島から送られてきたものをわざわざ送ってくれたのである。

3個も送ってもらったのに、もう半分以上食べてしまった(^^; 実の色が白っぽいのに何故か甘いんだよ。

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