2005年07月19日

今日のBSE全面広告はこう読め

35ec8534.jpg久しぶりに米国食肉輸出連合会が全面広告を打ちましたね。ということで、バイオに詳しくない方に僕が解説をしておきます(笑)。以下、ブロック内の記述は全て引用です。出典は2005年7月19日付け朝日新聞23面です。なお、引用だけでは主旨が把握しにくい場合、こちらで注釈を加えてあります。その際は(*〜〜〜)と記述します。

BSEの「ホント」を知ることが大切です。
はい、そのとおりですね(^^
日本でも、米国でも、ヨーロッパでも、牛肉は同じように安全です。それは、安全を守るための世界基準があるからです。
はい。見出しからいきなり嘘が始まりました。ほとんど世界中全ての国には「人を殺してはいけません」という法律があります。でも、人殺しの発生率は全然違います。なぜかって、それは決まりがあったとしてもその運用状況に差があるから。イラクと日本の治安の差を考えれば、こんな記述が嘘っぱちであることはすぐにわかりますね(^^
アメリカでは政府の検査官が(*特定危険部位の除去を)厳重にチェックするシステムができあがっています。
結局のところ、これは主観です。「科学的な根拠」を連呼する米国食肉輸出連合会ですが、「厳重にチェックするシステム」は科学的な根拠ではありません。何がどうなったらオッケーなのかという科学的根拠が全く示されていません。「検査官のチェック」がどう科学的な根拠に立脚しているのか、是非示して欲しいものです。
(*現在のBSE検査が感染牛を見つけ出す目的でないのは)今の検査は感度が低く若い牛の場合検出が難しいので、検査で安全を確保することが不可能なためです。
現在の検出感度が低いのはその通りですが、ということは特定危険部位以外は安全という判断もできませんね。逆に言えば、安全を確保する検査が不可能なのに、どうして「特定危険部位以外は安全」と言えるのでしょうか。
すでに欧米の消費者は安全対策を信用しています。
他人が信用しているから自分達も信用しよう、という考え方は科学的なんでしょうか。
OIEは、これらの情報(*BSEに関する情報)を世界中の消費者に伝えることができる国際機関です。
これはその通りですが、米国食肉輸出連合がそうであるとは限りませんよね。
OIEの安全基準を遵守することが、BSEの最大の方策ではないでしょうか
この人(小澤義博氏、OIE名誉顧問らしい)の言うところの「最大」の定義が不明ですね。規模を論じて「最大」というのであればそうかもしれません。しかし、「最大」=「最善」ではないです。恐らくこの人は、あとで誰かに突っ込まれたときに「「最大」と言ったのは「最善」の意味ではない。広辞苑を調べてもらっても構わないが、「最大」には「最善」という意味はない」と応えるんでしょうね。騙されないように。特定危険部位を取り除くというのは、「最低限必要な方策」であって、「最善の方策」ではありません。ちなみにOIEの基準に沿って対策を行った結果、それが不適切であった事例については山内一也東大名誉教授の講座の中で触れられています。
BSEのリスクとわが国における安全対策

結局のところ、「科学的であることが必要」と論じながら、あちこちで非科学的な論理展開を繰り広げている電波広告です。要注意(^^;

多分この人たちは、非常に感度の高いBSE検査が開発されたとしても「特定危険部位さえ取り除けば安全だから必要ない」と言い張るにちがいありません(^^;

でね、こういうやり取りをみて何を思うかって言うと、今あちこちで問題になっているアスベスト問題と構造的に非常に良く似ているということです。危険であることはわかっている。どの程度から危険であるかはまだ良くわかっていない。度合いのわからないリスクを無視すれば経済的な利がある。病気が発症するのは当分先で、意思決定した人の責任が問われる可能性は低い。とばっちりを食うのは情報弱者である生活者ばかり。そして「とばっちり」とはイコール「死」ということまで。

一つだけ違うのは、アスベストはどこに存在して、どのアスベストが原因で病気になったのかが比較的容易に推し量れますが、BSEはこれがわかりません。vCJDが発症しても、それがいつどこで食べた牛肉のせいなのかがわかりません。ここに米国産牛肉輸入解禁派の逃げ道があります。裁判になっても、「規制前の牛肉を食べたからだ」「オーストラリアからの牛肉のせいに違いない」などと言い逃れが可能だし、また原因が米国産牛肉であることを証明することも困難です。「どうせ責任追及はされないんだから、輸入しちゃえ」ということですね。

しかし、米国の生産者、米国から圧力をかけられている役人や政治家、吉野家にとってはうまい話でも、我々生活者にとってうまい話でないことは明白です。「安くて美味しくて安全な牛肉がありますよ」なんていううまい話は、残念ながら今の地球上には存在しません。

ちなみにこのエントリーは「わかりやすく簡単に」をモットーにしてあります。「もっときちんと状況を理解したいぞ」という方はこちらをどうぞ(^^

BSE&食と感染症 つぶやきブログ

今はちょっと忙しくて手が回っていませんが、こんなサイトもありますので念のため。

米国産牛肉輸入解禁に関するブログ

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■OIEは信用できるか?我々の安全を守ってくれるのか? 山内一也先生の最近の講義がUPされました。 人獣共通感染症連続講座(山内一也)(第165回) 2005.6.24 BSEのリスクとわが国における安全対策 http://wwwsoc.nii.ac.jp/jsvs/05_byouki/prion/pf165.html (抜粋) 一...
OIEは信用できるか?&【蔓延】米国とカナダで狂鹿病発生 原因は?  【BSE&食と感染症 つぶやきブログ】at 2005年07月19日 14:51
久々にBSEネタ。 19日の朝日、読売、毎日など全国紙に、米国食肉輸出連合会が米国牛肉輸入再開アピールのための全面広告を打っている。三大紙だけに出したとしても、ざっと広告費は1億2000万くらい?さすが、米農務省から1200万ドル(約13億円)も販促広告費をもらってるだ...
米国食肉輸出連合会の全面広告―スポンサーは米農務省【Mangiare!Cantare!Pensare!】at 2005年07月20日 16:15
■アメリカBSE問題調査団報告 高橋千鶴子議員のHPに、先日の衆院農林水産委員会の米国調査団報告書がUPされておりましたので、ご紹介。。 衆院農林水産委員会アメリカBSE問題調査団報告 http://www.chiduko.gr.jp/act/2005/kiji/0506/050621.html ■7月19日の米国...
米国調査団報告&OIE小澤義博氏の広告&米国科学アカデミーが政府対策批判【BSE&食と感染症 つぶやきブログ】at 2005年07月21日 07:01
僕が初めてロンドンを訪れたのは1988年だったと思う。 ある日、ぼんやりとテレビを観ていると狂牛病のニュース。 実は、その時は、僕には何が起きているのか全く判らなかった。 それよりも、その直後に流れた映像に注目していた。 それは、農薬まみれで危険という果...
狂牛病のニュース【ノンフィクション・ブログ・カフェ】at 2005年09月03日 17:08
この記事へのコメント
ご紹介ありがとうございました。(^^

感度が高くてしかも安価なBSE検査の開発状況の報道は
こちらにまとめてあります。

世界初、生体牛テスト開発News & 別件で感度10倍、費用1/10のテストも
http://blog.goo.ne.jp/infectionkei2/c/f52c15274d875186cbd2233e82c8f396

徐々に追加してます。
Posted by Mariko at 2005年07月19日 14:55
>すでに欧米の消費者は安全対策を信用しています。

とか書いてありますが、米国の、この辺のニュースを見ると、BSE以前の問題のような。。

回収された汚染肉を販売、「もう食べちゃった?」=米消費者団体、規則遵守を要請
http://www.jc-press.com/kaigai/200505/051602.htm
http://www.consumersunion.org/pub/campaignnotinmyfood/002224.html
https://secure2.convio.net/cu/site/Advocacy?JServSessionIdr003=5bdil1d3f1.app14b&page=UserAction&cmd=display&id=521

これなんか、ひどい話ですが(^^; (英語)
http://www.commondreams.org/cgi-bin/newsprint.cgi?file=/news2004/0331-09.htm
Posted by Mariko at 2005年07月19日 15:31
米国在住の人から直接話を聞いていると、彼らの危機感のなさに驚かされます。作為的な情報操作が行われているのではないでしょうか。まぁ、米国の場合は訴訟社会でもあり、自分の安全は自分で確保しろという国民性でもあるので、それでも良いのかもしれませんが、それをあたかも世界標準のように押し付けようとするのは迷惑以外のなにものでもありません。
Posted by buu* at 2005年07月25日 10:25
記事を紹介させて頂きました。 全面広告のことを教えていただき、ありがとうございます。 私は新聞をとっていないもので・・・・

それよりスターウオーズ・エピソード3を4回観たという方がびっくりだったりして。 ひえー。
Posted by 真名 at 2005年07月28日 14:11
先ほど、農水委員会の議事もまとめておきましたので、そちらもどうぞ(^^

EP3は、まだチケットが3枚あります・・・・・
Posted by buu* at 2005年07月28日 16:48
まにあな日記さん、こんにちは、
いつも情報をありがとうございます。

この件、OIEの話がウソかホントか農水省に問い合わせて、そんな事実はない、と回答もらいましたー。取り急ぎお知らせまで。。

[239] 外食産業の広告:OIE名誉顧問、小澤義博氏のコメントは事実ではないそうです。ご参照
http://www.sasayama.or.jp/saboard/b_board.cgi
Posted by Mariko at 2005年07月29日 16:38
情報ありがとうございます。

農水省も「主要紙に掲載された広告は電波」とリリースを出すべきですよね。
Posted by buu* at 2005年07月30日 17:11
Hmm, interesting!
Posted by educational game at 2005年11月01日 02:15
Where is english version?
Posted by card game at 2005年11月01日 02:33