2005年08月31日

やっぱ、ケータイですかね?

「週刊!木村剛」さんでは「ちょうちんは良くて、ブログはダメなのか?」というエントリーで公職選挙法が時代遅れであることを指摘している。この問題はそろそろ真剣に議論されるべき状況となってきている。希望的観測でもあるが、個人的には恐らく次の参議院選挙では選挙とインターネットの関係がかなり整理されていると思う。もちろんかなりの部分までインターネット利用が許可されるということだ。

普段は各政党は当然のようにインターネットを利用しているし、ブログを開設している議員も少なくない。法改正に向けた動きにはそれほどハードルがあるとは思えないのだが、ここで問題になるのはそのやり方だ。公職選挙法の理念を考えればネットに馴染みのない高齢者が簡単に閲覧できるような配慮が必要で、GIFやJPGは良いけどPDFはダメとか(新しいソフトをダウンロードする必要がある)、FLASHはダメとか(ナローバンドでは閲覧に時間がかかる)、ケータイ対応をどうするかとか、それなりに細かく考えていく必要がある。この検討にあたっては、現在進行形でネットをどっぷり使っている種類の人間、便利なツールの一つとして使っているライトユーザー、ほとんど使ったことのない人間、ハードやソフトを構築している人間など、かなり多用な人種が参加していく必要があるだろう。

ヘビーユーザーや関連業種の人間が議論に参加するのは簡単で、これは今からでもネット会議を始めればあっというまに意見集約が出来ると思う。問題はそこにどうやってライトユーザー達を組み込んでいくかだ。これがうまく行かないと的外れの法律になりかねない。ヘビーユーザー中心で検討を進め、そこにライトユーザーの意見を盛り込んでいくというのがありそうなスキームである。

ネットというのは使えれば抜群に便利だが、「生活上どうしても必要」というものではない。また、基本的にインターフェイス1つにつき同時に一人でしか利用できない(もちろん、ネットカフェとかで複数で利用する人もいるが)。こうした特徴から、例えば田舎の大家族のおじいさんおばあさんがそれを利用する機会は非常に少ないし、またそういう人たちが真剣にネット関連のスキルを身につけたいと思うこともあまりないと推測する。あと30年もすればネット世代と非ネット世代の境目は75歳ぐらいになると思うので、自然と「ほとんど全てがネット・ケータイに馴染みのある世代」しか存在しなくなってくるわけだが、それまでの過渡期をどうやってクリアしていくのかを考えなくてはならない。

テレビでの放送が○で、パソコンによる情報発信が×なのは、テレビが1家族の中での複数の人間で共有可能であることに対して、パソコンが文字通り個人色の濃いツールであることが大きな原因だろう。日本の全世帯の90%に普及するのと、日本の有権者の90%に普及するのではかなり状況が異なる。

となると、選挙でのネット利用で大きなポイントになるのは「ケータイで閲覧可能である」というところになってくるのかも知れない。それも、老眼でも問題ないように、大きな文字で読めることという但し書きつきで(^^

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選挙戦にインターネットを利用するには、公職選挙法上でかなりの制約があるらしい。 紙とテレビとラジオだけがメディアとされていた頃とは、世の中の前提事項が大きく変っているので、古い法律自体が悪いのではない。法律を変えないのが悪いだけだし、現実の流れは変えられな...
インターネット選挙戦【日々礼賛】at 2005年09月01日 21:17
 民主党が公式Webサイトの更新について注意を受けた。公職選挙法では(総務省による現時点の解釈によれば)インターネットによる選挙運動が禁じられていることになっているからだ。インターネットによる選挙運動の禁止は候補者本人、選対、選挙スタッフに限定されないそ...
ブログと公職選挙法【よろずもめごと論】at 2005年09月02日 10:54
 民主党が公式Webサイトの更新について注意を受けた。公職選挙法では(総務省による現時点の解釈によれば)インターネットによる選挙運動が禁じられていることになっているからだ。インターネットによる選挙運動の禁止は候補者本人、選対、選挙スタッフに限定されないそ...
ブログと公職選挙法【よろずもめごと論】at 2005年09月02日 10:55
ネットでの選挙活動が「文書図画の頒布」との公職選挙法上の文言によって阻まれている
ちょうちんとネット【微熱日記】at 2005年09月04日 03:00
この記事へのコメント
突然失礼いたします。
以前より拝見しておりましたが、いつのまにかタイトルが6回に増えてますね笑

選挙活動へのネット導入については、
インフラ整備に対する政治家の意識、知識の低さもありますが
僕はむしろ投票率操作がキーなんじゃないかと思ってます
ブログで選挙活動し、ケータイで投票できるようになれば
投票率は飛躍的に上がると思います
80%くらい本当にいっちゃうんじゃないでしょうか
そしてそれは困る!という議員さんがたくさんいるのが現状なんだと思います

これでIT大国とはやっぱり呼べませんね
その座は韓国や香港にいっそあげてしまって
文化遺産や歴史建造物に重きを置くヨーロッパ的国家になっていった方が
日本の国民性には合うのかもしれません

ちょっと話が飛躍しましたが
今後も鋭い考察期待しております
Posted by ヨス at 2005年08月31日 12:02
こんにちは。

先日テレビを見ていましたら、「ちょうちん」は事務所に一個のみとのこと。(往時は事務所全体をネオンの様にちょうちんで囲み、問題になったらしいです。)また、選挙カーと船は同時に使用してはいけないとか、選挙カーの運転手は車内の活動員の数には含めないため、笑顔を振りまいてはいけないとか、なんとも細かい規準があるそう。

いずれにしても、行政へのヒアリングでしか分からない様な微妙な線引きがあるみたいですね。ちなみに、先日堀江氏の事務所でお茶の差入れを断ったそうで、まだその辺の細かいやり方までは掴み切れていない様です。(逆に、そういった所が新しくていいとの評価を受けそうですが。)
Posted by meade at 2005年08月31日 19:33
>ヨスさま

回数はあと2回ぐらい増えるかな(^^;

携帯での投票は確かに組織票中心の党にはダメージを与えるでしょうね。どの党でも大なり小なり組織票は持っているわけですが、やっぱ、一番ダメージのでかいところは公明党でしょう。で、公明党が野党にいる限りは対応は厳しいでしょうね。

>meadeさま

まぁ、選挙というのは非常に大事なイベントですから細かいところは非常に細かく決められているんだと思います。一方で新しいことへの対応はどうしてもおくれがちなんでしょうね。で、「面倒だから棚上げ」ということなんでしょう。
Posted by buu* at 2005年08月31日 22:04