2005年12月02日

ブロガー新聞 「米国産牛肉、どうすんのよ?」第3号

第1号はこちら
第2号はこちら
「BSE問題に関する質問」への回答はこちら

こんにちは。国会での質問に対する答弁が公開されましたので、それを踏まえた上での第3号、発刊です。
まず、第1号で
1.米国の畜産業は本当に信用できるのか? 
2.輸入解禁したときの国内産業への影響は? 
3.個人が自己防衛可能なのか? 
4.万一vCJD患者が発生したときの責任の所在は?

に絞って欲しい旨お願いしたわけですが、今ひとつこの主旨が伝わらなかったようです。念のため、再度確認しておきますので、以後、議論はなるべくこの4テーマのどこかに即した形でお願いします。では、まずは第1号のコメント欄で反応しなかった分から。

>xさま
本当に危ないのは間違いなく中国産牛。日常的に食い続けてたら米国産どころの騒ぎじゃあありません。
まず、米国と中国の比較の問題ではないというのが一点。それから、中国産が危ないと考える理由がさっぱりわからないというのが一点。

>ふじぽんさま
つまり、牛肉もまぎれてわからなくなる可能性がありますよね?
松坂牛とかも、安い肉を偽装して販売したり。
要は、選択できないものを「選択すればいい」とか言われても困ります
って話じゃないですか?
その通りですね。「このマンションは耐震審査に合格しています」と言われて信用した人たちがバカをみている今の耐震偽装騒動と根っこは同じだと思います。要は、どこまで信用するか、ということです。

続いて「my.Hurusato.org 2」さんの「BSE:気持ちは分かるけど、理由は分からない?」というエントリーについて。

結局、かなり多くの人達は、イラクへの軍事介入以来の、「日本政府機関−アメリカ」という組み合わせへの不信から、アメリカ産牛肉を受け入れたくないと言っているのであって、実は、そのリスクの大小という分析自体を、「イラク保有の大量破壊兵器」についてのアメリカの発表から類推して、初めから「信頼できないもの」と判断してしまっているのかもしれない。
個人的には、イラクの軍事介入云々は今回の件とは全くリンクしていませんが、米国人を信用していないという点についてはその通りです。今議論になっているのは、つきつめれば米国の体質が信用に足るかどうかです。今、なぜ米国は危険といわれる肉骨粉を使い続けているのか。BSEの根絶は非常に簡単で、肉骨粉の使用を禁止すれば良いだけです。ところが、鶏の餌なら良いだろう、という理屈で相変わらず肉骨粉を飼料として使い続けているわけです。そして、さらにその養鶏で生じた糞などを牛の飼料として使っていると言われています。なぜそんなことを続けているのか。一部には業界団体からの圧力で禁止できないという話もあります。業界団体の圧力でいつまで経っても銃社会から脱却できない米国の姿がここからも垣間見ることができます。利権が政治に深く絡むのは日本も米国も一緒ですが、米国では経済原理が国民の安全より重視される傾向があるのは間違いありません。ただ、米国にはこの国民性に対するセーフティネットがあります。それは「訴訟社会」です。訴訟によって企業が莫大な賠償金を支払わされたというニュースを時々耳にします。つまり、「国はあんまり余計なことは言わない。そのかわり、何か不都合が生じたら裁判で負けても知らないよ。自己責任でなんとかしてね」ということです。ところが、日本の社会はこうした土壌がありません。裁判によって自己を防衛するのではなく、お上に守ってもらわなくては仕方がない状況です。これはこれで問題だとは思うのですが、現実問題として訴訟社会ではないのですから、国の規制が頼りということになります。

ただ、現時点で、既に異常プリオンを体内に蓄積している牛が、どれだけ人に摂取されるかという点では、飼料規制はあまりリスク低減に貢献しないはずだから、飼料規制厳格化だけでは足りないのではないかと思う。
僕の考えは、今の体制(肉骨粉の使用を完全に禁止していない体制)下で飼育した牛は一頭たりとも日本には入れない、というものです。まず飼料規制を完全に実施し、鶏経由での感染危険性を排除した上で、その体制化で飼育した牛を輸入せよ、ということです。つまり今すぐ肉骨粉の使用を禁止したとしても、輸入解禁は3年後程度になるということです。

少なくとも、アメリカ産牛肉は、日本のかなりの人がそう言っているほどには、国際的には危険視されていない様子。それだけの証拠が出ていないかららしい。
繰り返しになりますが、信用できるかどうかの問題。まず、米国はきちんとしたデータを全く整備していません。BSE感染牛が1頭なのか、10頭なのか、1000頭なのか、さっぱりわからないわけです。僕はそんな国のデータは全く信用しません。信用できるデータがないのであれば、推計もできません。信用できるデータをどうやったら集めることができるのか。それこそが全頭検査です。全頭検査は安全や安心確保の目的もありますが、最大の目的は現状を正確に把握するためのデータ収集だと僕は思っています。まぁ、これは僕自身が経済産業省でバイオ関係の資料、統計の整備を担当していたというバックグラウンドもありますので、他の人が同じだとは思いませんが。

人に摂取される異常プリオンの量を受容レベル以下に押さえ込む
ここについては、現状のサイエンスではこのような理解になっていないことを指摘しておきます。異常プリオンは一定濃度を越えて摂取したときに発病するという性質のものではなく、一個でも頭の中に届いてしまい、他の正常プリオンと相互作用を始めたらアウツ、という認識になっているようです。詳細は過去エントリーの山本議員の質問に対する品川氏の回答を参照してください。

続きまして「BSE問題に関する質問」への回答についてなんですが、米国の貧弱な統計資料をそのまま鵜呑みにしている回答なので、全然お話にならないですね。

この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/buu2/50115879
この記事へのトラックバック
先日のBSEについてのエントリーについて、TB先の「まにあな日記」さんから、丁寧な回答を頂いたので、再度、書いてみたい。 ただ、最初に何点か、私が「総論」として書いたこ...
BSE:そんなに検査需要があるのか?【my.Hurusato.org 2】at 2005年12月04日 11:20
「しかしアメリカ人って度胸あるよな〜。完全に検査してない牛肉を平気で食べてるんだから」 と米国人の知り合いに言ったところ、 「100匹が100匹とも毒を持ってるフグを平気で食べる日本人のほうが度胸ある」 と言い返された。 欧米人の感覚ではコブラやサソリを食べる....
フグと牛肉【時代のウェブ・ログ】at 2005年12月04日 18:31
「しかしアメリカ人って度胸あるよな〜。完全に検査してない牛肉を平気で食べてるんだから」 と米国人の知り合いに言ったところ、 「100匹が100匹とも毒を持ってるフグを平気で食べる日本人のほうが度胸ある」 と言い返された。 欧米人の感覚ではコブラやサソリを食べる....
フグと牛肉【時代のウェブ・ログ】at 2005年12月04日 18:32
今日は寒かったですが、朝早めに出て、少し遠出して来ました。
誰が騙して誰が騙されるのか【サイクルロード 〜千里の自転車道も一ブログから〜】at 2005年12月12日 13:26
今日は寒かったですが、朝早めに出て、少し遠出して来ました。
誰が騙して誰が騙されるのか【サイクルロード 〜千里の自転車道も一ブログから〜】at 2005年12月12日 13:28
この記事へのコメント
my.Hurusato.orgをやっているbroomです。丁寧な回答、ありがとうございました。経産省の方に、中西さんの話はもしかしたら、まずかったかもしれませんね。
いずれにしても、議論の機会を設けて頂いて感謝です。「ブロガー新聞」頑張ってください。
Posted by broom at 2005年12月03日 16:16
別に中西さんの話でも全然構いません。ただ、きちんとした調査ではないデータに立脚した議論は全くの空論に過ぎないということです。彼らの調査は統計的に意味のある「無作為抽出」である保証がどこにもありません。日本ですら、怪しい牛はこっそり埋めたりしている有様ですから。

みんなで責任逃れに終始しているマンション強度偽造問題と全く一緒の事態になりかねません。どのデータを信用するのか、信用するなら誰が責任を取るのか、ここが重要です。
Posted by buu* at 2005年12月03日 17:20