2006年01月06日

容疑者Xの献身

容疑者Xの献身
東野圭吾氏の「容疑者Xの献身」を読んだ。以下、微妙にネタバレ感想は追記に。
長さは最近の超長編ばやりの中では「ちょっと短いね」と思う程度の中編。恐らく宮部みゆきが同じテーマで書いたら3倍ぐらいの分量になると思う。

ただ、短いからと言ってそこに描かれている世界が薄いわけではない。それぞれの登場人物にはそれぞれの行動規範があり、全ての行動には理由がある。冒頭の1ページから無駄な描写は一切なく(これは一度通読してから再度読んでわかったわけだけど)、全てはラストの収束に向けて配置されている。

中心となる登場人物は数学者と物理学者。彼らならではの論理的思考が物語のメインストリームだが、それはこの作品を書いている東野氏自身の思考の反映でもある。つまりは非常に緻密に組み立てられた純度の高い作品であると思う。それは数学や物理の証明を見る思いだ。全ての要素、全ての人物、全ての文章に同等の価値を持たせ、その全てが読者を欺くだけではなく感動までを与える。

内容は勿論だが、吟醸酒をつくるときの精米のような、ぎりぎりまで濃縮し、計算し尽くされた文章の構築に脱帽した。内容、技術の両面において東野圭吾氏の一つの頂点だと思う。評価は☆3つ。

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人は、何処まで他人を愛するために犠牲を払えるのか?〜容疑者Xの献身〜【オラオラッ!!!!!】at 2006年01月09日 23:17
この記事へのコメント
お初にお目にかかります。

東野圭吾の話題作がこのミス1位になりましたね。
「白夜行」もドラマ化ということで、
今年は東野敬語から目が話せませんね。

話はそれますが、西尾維新、オススメします。
『戯言シリーズ』是非読んでみて下さい。
Posted by 安倍辰麿 at 2006年01月09日 23:18