2006年01月29日

博士の愛した数式

2006ec45.jpg観たい映画がたくさんあるんだけど、まずは地味目でいかにもきがついたら終っちゃってた、なんてことになりそうなこれから。

最近あちこちで大活躍の寺尾聰、農業少女の好演がいつまでも印象深い深津絵里、何を演じても純になっちゃうけどそれはそれではまっちゃう吉岡秀隆と、なんとなく見に行きたくなる配役。しかしどうせ原作を読んでから観ちゃうと色々がっかりすると思ったので、全くの白紙で観てきた。

で、感想ですが、多分原作を読まないで観て正解だったと思う。博士と兄嫁の関係がかなりぼかされていて、代わりにルートと博士の関係がかなり濃密に描かれていた。小説でここまで野球のことを詳細に書いているかどうか知らないけど、恐らく本ではもっと博士と兄嫁の関係について分量を割いたはず。それから、博士がどうなったのかとか、なぜ子供に対して強い愛情を注ぐのかとか、そういった細かいことにほとんど触れられず(微妙には描いていたけど)、すーーーーっと終ってしまったのが逆に好印象。

僕のようなずぶずぶの理系の人間(今はなぜか生物なんていう哲学色の濃い学問を専門にしているけど、大学1年生までは完全な物理屋で、まぁこのブログを読んでいればわかるとおり相当に理屈っぽい)には、数学を愛し、数学を思い描いて頭の中で遊ぶという感覚が良くわかるし、ちょっとした人間関係にも思わず数学を持ち出して、苦手な対人関係を少しでも潤滑にしようと努力するあたりも共感するところがある。恐らく、理系の人間とそうでない人間ではこの映画の見方は全然違ったものになると思う。

数学者というのは理系の人間の中でもちょっと変わった分野の人間なんだけれども、多分そういった感覚も理系の人間じゃないと理解できないんじゃないかなぁ。僕とかは理科系単科大学の、しかも150人ぐらいしかいない理学部で、たっぷりとそのあたりの雰囲気を味わって育ってしまっているので、博士のほうに感情移入しちゃって大変だった。

栗原さんちのおすそわけの「とろけるパンナコッタ」にほろにがカラメルソースをかけずに食べてしまったようなあっさり感と、それでいてちょっとした満足感があるような、そんな映画だった。

ということで原作も読んでみよう。評価は☆2つ半。吉岡君はいなくても良かったかもねぇ。でも、博士の言葉を誰にでもわかるように、映画として成立させるためには必要だったのかなぁ???

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この記事へのコメント
buu*さん、こんにちは。
映画評、いつもながら楽しみに読ませていただきました。
私は、原作しか読んでないのですが、江夏の所は、原作でもかなり詳しく書かれてましたよ。私は江夏さんが読まれたら嬉しいだろうなぁ・・って単純に思いましたもん。
兄嫁さんの所もぼかしてあったし・・・って事は、映画は原作に忠実なのかな。
理系の本なのかな・・って構えて読みましたが、そうじゃなかったから算数に弱い私は良かったです。
理数の頭脳をお持ちのbuu*さんにはいろいろ突っ込みどころおありかなと思います。
あと、原作では、大人になったルートは出てこないので、吉岡君は映画の為のキャラですね。
Posted by ワルツ at 2006年02月01日 11:18
原作、読みました。原作のほうが江夏については詳しかったですね。兄嫁の部分は映画のほうが詳しいくらいでした。

で、別に突っ込みどころはありませんでしたよ。凄く良質な読み物に仕上がっていると思いました。映画を見ても原作を読んでもとてもフィクションと思えません。こういう人が存在しても全然不思議じゃない。その存在感(とは言わないのかな?凄く現実味があるところ)が凄いと思いました。

大人になったルートは初歩的な数学を見ている人にわからせるための演出でしたが、子供の頃の役者としての彼を北の国からで見ている自分としては、「彼が子供の頃はこんなんじゃなーい」って感じでした(やや意味不明)。
Posted by buu* at 2006年02月04日 00:25