2006年04月07日

PLUTO3巻

ふう、やっと買えたよ、プルートゥ3巻の豪華版。

PLUTO (3) 【豪華版】1巻、2巻に比べるとちょっとラストが弱いと思うけど、そりゃ仕方ないよね。1巻はアトム、2巻はウランの登場で終っているんだから。

しかし、それにしても良く出来た漫画だと思う。

僕はもちろん漫画の専門家ではないのだけれど、非常に大まかに漫画の歴史を振り返ると大きな変換点は大友克洋の登場で、それ以前とそれ以後に分けることができるというのが個人的見解。童夢やアキラを読んでいたとき、そのパラダイムシフトをリアルタイムに実感できたくらいだからその変化はあまりにも大きくわかりやすいものだったわけだけど、その影響を少なからず受けている浦沢直樹の内部的な変化もまた大きくわかりやすい。

浦沢直樹をメジャーにしたのは多分「YAWARA!」だと思うのだけれど、それに続くHAPPY!というわかりやすいスポコン漫画路線はそこで終了してしまい、裏技だったMASTERキートンやMONSTERが表芸となり始めたのが90年代後半。2001年にMONSTERが完結した頃には「まとめて読まないと(まとめて読んでも?)良くわからない」難解なストーリーを得意とする作家に変貌を遂げた。その路線は今でも浦沢直樹の表芸となっていて、その後継として描かれている「20世紀少年」はそろそろ佳境に入りつつあるわけだが、次の裏芸として始めたのがこのプルートゥのようだ。

難解に走りすぎているきらいもある表芸にかつてのわかりやすさを適度にブレンドし、旧世代の名作を全く新しい形で今に蘇らせているわけだが、手塚治虫が描いたアトムやウランに比較して、いや、「PLUTO」に描かれている人間以上に人間らしく描かれているアトムやウランは、全く新しい「鉄腕アトム」像を提示していて、スピルバーグが作った「宇宙戦争」とは好対照である。

緻密に描こうと思えば緻密に描ける描写をあえて放棄し、逆に自分の得意とする感情描写はこれでもかというくらいに見せ付ける。完結にはまだまだ時間がかかると思うが、第1巻を読んだときの傑作の予感はすでに現実になっている。

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PLUTO 01(プルートゥ 1巻)
#あれ?2巻は何か書かなかったんだっけ(^^;?

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この記事へのコメント
わー!コレも読みたい!!
でも完結してからの方がオススメ??
Posted by cocoa at 2006年04月07日 12:06
いや、これはリアルタイムで読むべき。

「あぁ、早く続きが出ないかなぁ」って楽しみにしながら読み続けるのが吉。
Posted by buu* at 2006年04月07日 20:23