2006年04月13日

将棋の裏名人戦

おとといから将棋の名人戦が始まった。今年は森内名人に谷川九段が挑戦する。谷川九段は一昨年調子を落とし、「さすがに年齢的に難しくなったか?」と思わせたのだが、昨年復調し、本戦リーグでは羽生3冠に負けたものの、1敗同士でぶつかったプレーオフでリベンジを果たし、三度目の名人復位に向けて挑戦している。今回は個人的には谷川九段を応援しているのだが、残念ながら昨日は負けてしまった。将棋は基本的に先手有利のゲームなので、先手番で初戦を落としてしまったのは厳しいのだが、力の差が大きいわけではないので次局以降の挽回に期待したい。

ところで、この名人戦開幕の裏で別の名人戦が勃発していることが報道された。

毎日新聞
将棋:名人戦主催を毎日から朝日に移す提案 日本将棋連盟
将棋:「毎日の名人戦」守ります 編集局長・観堂義憲

日経新聞
(4/12)名人戦主催に朝日新聞が名乗り・将棋連盟と交渉
(4/12)名人戦「主催者、朝日新聞に」・将棋連盟が棋士会に提示

産経新聞
将棋「名人戦」主催 朝日VS.毎日で盤外戦 両社入れ替えの“伝統”

この件、正直なところタイトル戦をどこが保持していようとも普通のファンにとってはあまり変わりがないといえば変わりがない。ただ、熱心なファンにとってはどうかというと若干温度差があると思う。それは、ネット中継への対応に起因する。たとえば毎日新聞が持っている名人戦や読売新聞が持っている竜王戦などはネットで最新状況が中継されるのだが、残念ながら有料サービスなのである。もちろん、各新聞社がお金を出して得ている「主要棋戦」というコンテンツであるから、それを独占的に有料で配信してもなんら文句をつける筋合いではないのだが、その一方で無料で生中継してくれている新聞社も存在しており、「どうせなら無料で配信してくれる会社が持ってくれるのが良いなぁ」というのが偽らざるところである。

それで、もし名人戦が朝日に移った場合、そのネット配信が有料なのか無料なのか、それは現時点ではさっぱりわからないわけだが(個人的には有料になる確率が高いと思う)、少なくとも確実に有料な毎日新聞よりは無料になる可能性のある朝日新聞の方が良いかな、と思う次第。

しかし、ネットの将棋ファンの反応を見ていると9割方毎日新聞支持という感じである。その根拠はというと「今までやってきたんだから一方的に契約継続を破棄するのはひどい」という感情論が多いようだ。

でも、どうなんだろうね。将棋連盟の運営はおそらく非常に苦しい状態だと思う。しかし、これは将棋連盟の努力不足とは言い切れない。なぜかというと、社会の「価値観の多様化」という流れがあまりにも強力なため、趣味の一極集中化が非常に困難になっているからだ。こんなことは誰でもわかっていることだが、将棋を楽しむ層に対してはチェス、モノポリーといった古典から、ファイナルファンタジーなどのRPG、ネットマージャンといった比較的新しいゲームまで、さまざまな娯楽が提供されつつある。こうした中で昔と同じように将棋を楽しんで欲しいと考えるのはなかなかにハードルが高い。ファンの数が減り、またファンの熱意が薄れている状況にあっては当然ファンが支出するお金の総額も減るわけで、結果的にそれは将棋連盟の経営を圧迫するはずだ。そうした経営難の中にあって「名人戦」というのは非常に価値の高いコンテンツのひとつだ。これをどうやって利用するかは将棋連盟の将来を左右する。その際に最重視されるべきは「これまでの経緯」ではなく、「今後、将棋連盟にどう貢献するか」であるはず。貢献としてわかりやすいのはもちろんお金だが、他にも有形、無形のものがあるはず。そうした貢献をトータルに考えて毎日新聞より朝日新聞の方がアドバンテージがあると判断するのであれば、将棋連盟の決断は当然の話である。

だから、「今まで仲良くやってきたのにそれはないんじゃないの?」というのは非常に日本的な思考ではあるけれども、ビジネスとして考えればそれこそ毎年入札にしても良いくらいだと思う。ただ、継続して実施していることによって可能になること、効率化できることもあるはずで、そうぽんぽん変更することが良いとも思えない。適度な契約期間というのは存在するだろう。何はともあれ、個人的には「名人戦=毎日新聞」という固定された観念が破壊され、「場合によってはいつでも他社に移るんですよ」ということが提示されたことが大きなことだと思う。「今までやってきたんだから、多少は条件が悪くても一緒にやっていきましょうよ」というのは正常ではない。ただ、もちろんこの話は密室で決めるべきことではない。朝日新聞がどういう提案を出したのか、それをどうやって吟味し、どう評価したのか、これらの経緯を棋士会にきちんと提示し、その判断を仰ぐべきなのはもちろんである。これらの情報は将棋ファンには提示されないだろうし、また提示する必要もないことだとは思うのだが、頭の良い人の集まりなんだから、きちんと判断して欲しいものである。

ところで、こうやって見ていると将棋ファンというのは実はそこそこの数がいるようだ。もしかして、「将棋SNS」とかを作ったら参加者は結構いるんですかね?バイオテクノロジーSNS横浜の地域SNSウインタースポーツSNS、近いうちにスワンネットという新しい地域SNS(対象地域はさいたま県)もオープンする予定なんですが、将棋SNSも作ってみましょうか?入りたい人はいますか?やろうと思えば来週ぐらいにも立ち上げ可能ですけど。

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