2006年05月01日

ブログでバイオ リレーエッセイ 第15回「RNA医薬研究会の成果」

丸さんから「Japan Bio Netの研究会のアウトプットはどうするのか?」とパスを受けたが4月10日で、それからもう一ヶ月近く経ってしまいました。なぜこんなに時間が経ってしまったのかというと、どういう形で情報発信をしていくかを検討するのに時間がかかってしまったからです。これにはちょっと前のはやり言葉で言うと「想定外」なことがあったのが原因です。ということで、ようやくパスが出せる状態になりました。関連エントリーは下記になります。

ブログでバイオ リレーエッセイ 第11回「JBNへの期待」
ブログでバイオ リレーエッセイ 第12回「JBNへの期待2」
ブログでバイオ リレーエッセイ 第13回「JBNへの期待3」
ブログでバイオ リレーエッセイ 第14回「JBNへの期待4」

また、Japan Bio Netはこちら。Japan Bio Netの公式ブログはこちら

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ということで、本文は追記に。
今回のJapan Bio Netというのはこれまで約半年運営してきていますが、なかなかに苦労もしています。なぜかといえば、なかなか周辺の人達の理解が得られないからなんですね。まずSNSというものに対して変な既成概念が出来上がっていて、アレルギーみたいなものがあるんです。拒否反応は年齢が高くなるにしたがって強くなりますし、また別の視点では公的な組織に属する人間ほど拒否反応が強くなる傾向があります。簡単に書いてしまえば「なんだか良くわからない。君子、危うきに近寄らず」というマインドなんですね。確かにSNSにはマイナス部分も色々あります。しかし、一方でプラスの部分もたくさんあるわけです。インターネットが動き始めた直後にもこのような光と影の話があったと思うのですが、今となっては影を認識しつつも光の部分の有用性を重視してみんなが利用するようになっています。ブログにしてもSNSにしても、ネットのコミュニケーション機能を強化しつつ、問題となっていた匿名性を薄めているツールですが、その改良具合がまだ不明確なんですね。そして、Japan Bio Netの普及で問題になるのは「SNSの有用性がどこまであるのか」ということがみんなに共有されないことなんです。つまり、バイオの情報交換でSNSを利用したときにどういうアウトプットがあるのか、これを多くの人がイメージできない。そこに僕たちの苦労の根源があります。

でも、僕たちがなぜJapan Bio Netを始めたかといえば、それはやはり勝算があったから。「日本のバイオ業界にとって必ずプラスになるはずだ」という信念があるから始めたし、その信念は今でも揺らいでいません。揺らいではいませんが、「僕たちには自信があります」と言い続けるだけではその他大勢の人達との接点はいつまで経っても出来てこないわけです。そこで考えたのが今回の研究会の設置です。正直、どういった成果があがるかはさっぱりわかっていませんでした。ただ、「Japan Bio Netの活性化にはなるだろうし、成果が目に見える形で作れるかもしれない」と、ぼんやりとは思っていました。今はとにかく色々動いてみることが必要だと思ったので、確信はありませんでしたがとりあえず作ってみたわけですね。何かの接点になるかもしれない、と思ったわけです。

では、その成果はどうだったのか。これが、「想定外」だったために事務局の対応が遅れてしまったんですね。「ちょっと良い成果がでるかもしれない」という僕の想像が全く間違っていたわけです。丸さんもご存知のように、それはうれしい誤算だったわけですが。

今回得られた成果は本当に驚くべきものでした。ネットの情報交換をベースにしてここまでのものが作れるのか、というのが正直な感想です。ここまでできてしまうなら世の中にはシンクタンクなどというものは必要なくなってしまうかもしれません。これは三菱総合研究所という日本でナンバー2のシンクタンクにいた僕の偽らざる感想です。先日ブログでもちょっと触れましたが、集合知というものが徐々に形成されつつある中、Japan Bio Netもバイオに関する集合知を形成する場のひとつになりうるんじゃないかと思います。

まだ調査のすべてをオープンにすることはできませんが、今回の調査では全世界64社のRNA医薬品の開発状況を網羅的に調査しました。調査の対象となった医薬品候補(一部はすでに製品化されています)は160種類です。これらについて開発状況を把握し、全体の傾向を掴みました。この調査で明確になったことは国別で言えば米国が圧倒的に優位なことと、技術面ではアンチセンスからRNAiに移行しつつあるということです。この2つはバイオ関係者であれば当然感じているものですが、それがデータとして明示されたわけです。ポストゲノム時代の医薬品開発がDNA領域からRNA領域に移り、そのRNA領域の中でもアンチセンスからアプタマーを経てRNAiに移行しつつあります。この開発状況を知りたくないというRNA関連研究者は皆無でしょう。しかし、それをきちんと調査したものはこれまでにありませんでした。そして、そうした資料をJapan Bio Netという場において、非常に短期間(動いたのは準備期間を含めても約2ヶ月でしょうか)で作り上げてしまいました。

ということで、当初の想定よりもずっと素晴らしい成果が出てしまい、事務局としてもこれをどう扱ったら良いかを考えなくてはならなくなったわけです。考えなくてはならなくなったことは大きくわけて3つで、

1.成果をどう発表するか
2.Japan Bio Netの中においてRNA医薬研究会を今後どうするか
3.RNA医薬研究会に続く研究会をどうするか

です。

このうち、まず成果をどうするか。これは先日第二回の実務者会議でおおよその方針が決まりました。せっかくの成果ですから、雑誌に投稿するのが一つ。それから学会での発表も検討中です。なお、成果には単純に「RNA医薬の開発状況について」という本来の研究会の目的に沿ったものと、「SNSを利用した調査研究について」という副次的なものがあります。僕自身は前者はもちろん、後者にも興味があり、両方の面で情報発信していきたいと思っています。なお、雑誌投稿にあたっては資料を加工すると同時にかなり減量化しています。というのは、もともとの資料は調査をインターネットに限定せず、各種講演会の資料などをソースとして利用したのですが、調査時期、情報ソースなどを統一しました。

次にRNA医薬研究会を今後どうするか、です。RNA医薬は常に各所で開発が進んでいますから、研究会では引き続き業界動向をウォッチしていきます。手持ちの資料は随時アップデートしていきますし、また年度末には何らかの報告書をまとめ、情報発信する予定です。研究会での情報共有をどうするかという問題もありましたが、今回のデータについてはJapan Bio Net内であれば誰でも閲覧できる形にすることになりそうです。それから、今回の研究会でわかったことのひとつとして、「ネットだけではだめだ」ということがあります。もちろん遠くの人はちょいちょい打ち合わせに参加することはできませんし、また参加にかかる費用をどうするのかという問題もあります。解決すべきことは色々あるのですが、その一方で相手の顔が見えることも絶対的に必要です。その意味でも、RNA研究会はJapan Bio Netの中にとどめず、Japan Bio Netをきっかけとしたリアルな組織に成長させて行くことが可能であり、また必要であると思っています。

最後に他の研究会をどうするか、です。RNA医薬以外にもバイオ周りには研究、意見交換しなくてはならないテーマがたくさんあります。たとえばGMO(遺伝子組み換え作物)の開発・開放系での栽培の是非、人材育成、パブリックアクセプタンス形成手法、バイオクラスター形成などがすぐに思いつくところですが、他にも色々あると思います。今回のRNA研究会で得られた研究会運営に関する知見はこれらの研究会にもすぐにフィードバックすることが可能ですから、必要に応じてどんどん研究会を作っていきたいと思います。ただ、その際にどうしても必要になるのが中心になって研究会を動かしていく人材です。そうした人材の発掘も必要でしょう。

何はともあれGW前におおよその方針が決まり、作業も進みつつあります。これから徐々にアウトプットの情報も発信されていくことになると思います。

ということで、今回のこちらからのパス出しですが、上にもいくつか例を挙げましたが、RNA医薬研究会と同じような研究会として、どのようなものがありますか?何かアイデアを出してみてください。

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