2006年08月13日

DEATH NOTE デスノート 一気読み

DEATH NOTE (1)
映画は著しくつまらなそうなので、漫画で一気に読むことにしました。お盆なので。

結論から言いますと、なかなか面白かったけど、7巻あたりで息切れしてしまった感じ。そこから108話まで引き伸ばしたのは集英社お得意の「人気があるうちは辞めない」って奴でしょうか。

ちなみに連載中は全く読んでませんでした(^^; しょこたんが最終話を読んでギザ興奮していたのでそのうち読もうと思っていた次第。

以下、ネタばれ感想。
名前と顔さえわかれば人を殺せてしまう殺人の道具、「デスノート」を巡る物語なわけだけど、縦糸はキラとエルの頭脳戦。横糸に「悪を裁くことの是非」を配置している。

縦糸は古くはルパン対ホームズみたいな感じ。最近で言えば模倣犯とかも似た様な感じだけど、要は天才対天才の戦い。横糸の方もこれまたそれほど珍しくなく、古くは「エコエコアザラク」やら、「魔太郎がくる!!」あたりがこれに該当する。最近映画化された「Vフォー・ヴェンデッタ」もそんな感じか。こういうそれほど目新しくない素材にちょっとしたオカルト風味と軽いコメディを配置した作品だった。

全体を通して言えるのは絵がそこそこに上手なのに、ついついセリフに頼ってしまうため、とにかく文字が多い。それで読んでいて疲れちゃう(^^; しかも、そこに書かれる長文が決してお世辞にも上手な日本語といえないのが残念。もうちょっと読点の打ち方や助詞の使い方を勉強してほしい。

さて、一気読みしてみての感想は冒頭にも書いたとおり、良質のエンターテイメントとして楽しめるのは7巻の、初代Lがキラに倒されるところまで。ここまでのLとキラの対決は本当に楽しめるし、脇役も良い感じでストーリーに絡んでくる。ところがここで息切れ。前半でもキラがデスノートを手放した直後から息切れ感があるのだが、それはあくまでも起承転結の「転」といった感じ。月が再びデスノートを取り戻したところから一気にクライマックス、という感じで凄く良くできていたと思う。

こうして考えると、イマイチになってしまったのはニアとメロに初代Lほどの存在感やキャラとしての魅力が欠けていたからかも知れない。どうも、初代Lからニア&メロにうまくバトンタッチされていない。魅上、高田、模木というサブキャラも、後半ですっかり雑魚キャラに追いやられてしまったミサのような魅力がない。ミサミサや死神たちのとぼけた存在感がこの漫画の大きなポイントだと思うのだけれど、それが失われてしまったのが惜しい。

キラ自体も、物語が進むにつれてだんだん俗物になってきてしまう。最初は弱者の味方だったのに、L、ニア、メロとの対決が進むにつれて、徐々にただ独裁的な立場を築くための戦いをするだけの人間になっていく。神に近づくはずが、逆にただの俗物に近づいてしまうのが残念だ。それでもLとの戦いの間はそれなりに理屈が通っていたと思うのだが、Lを倒してからはニアとの戦いに終始してしまい、完全に初期の目的を見失ってしまっている。これが後半の物語を陳腐化させてしまった大きな原因だろう。

ドラゴンボールを例に挙げるまでもなく、強者のインフレは少年漫画では避けられない構造的な問題だが、この作品では強者のインフレは起きない。逆に、主人公の弱体化が進んでしまうのである。

Death note (12)
ただ、それでもラストで読者に語りかけるテーマはこれまでの少年漫画にはあまりなかったものだと思う。一つには、「天国も地獄もない。死んだら何もない」という死生観。もう一つは、それでもキラのような存在を期待する弱者が世界には少なからず存在するということ。キラが絶対悪として存在するだけではなく、そこに救いを求める人がいて、そしてそれは社会的強者ではなく、弱者であるということ。この二つをラストで正面から描いたことによって、無駄に引き伸ばしてしまった作品が一応ピリッと引き締まったと思う。

多分、最初はLとキラの対決で、Lが勝利してラストシーンにつなげようと思ったんじゃないかなぁ。それが編集サイドの意向で倍近く長引かせなくてはならなくなったのではないかと想像。7巻、あるいはLとの対決を長くして8巻程度で完結していたら、間違いなく名作になっていたと思う。惜しい。それとも、本気で落ちぶれていくキラを長々と描きたかったのかなぁ。途中からキラはとにかくモニターに向かってばかり。どんどん孤独になり、死神との会話すら失われ、ただただ頭脳戦に没頭してしまうわけで。

そんな感じで浦沢直樹が前半だけをリメイクしたら超傑作になりそうな予感。全巻通して評価は☆2つ(7巻までなら☆3つ)。

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この記事へのコメント
なるほど。
深いっすねぇ。
ボクは、俗物化してきてしまったキラが最後に惨めに負けるっていうところも、人は神にはなれないんだっていう意味合いにとれて結構好きですね。
Posted by hiro at 2006年08月14日 11:05
連載中に読んではいたけど、確かにここ数年まるで見る気がなくなりましたな。「本気で落ちぶれていくキラを書きたかった」というのを希望ですけど、週刊少年ジャンプのカラーには沿わないですから、多分ないんじゃないかと。
やっぱりマンガは「殴る蹴る叩く」ですよ(←個人的好み;笑)
Posted by 今井 at 2006年08月14日 11:34
今井→e-でした。失礼。
Posted by e- at 2006年08月14日 11:35
>人は神にはなれない

でも、ラストで神になっていたよね。

>多分ないんじゃないかと。

僕もそう思います。

>今井→e-でした。

誰かと思った(^^;
Posted by buu* at 2006年08月14日 16:09
まぁ、原作がラッキーマンの人なので仕方ないと言えば仕方ないことですけどね。
第一部で終わっていればほぼ完璧でしたけど、第二部は第二部で108話で終えないといけない理由もあったので、作っている方もいろいろと大変だったと思います。
Posted by ZAPA at 2006年08月14日 19:44
7巻までは確かに面白かったですよね。私も「ドラゴンボール化してる。。。」と思いました。でも、12巻は読み応えあり。最後まで読んでよかった、と昨夜3時ごろに幸せな気持ちで眠りに落ちました^^

最後、リュークが死神らしかったところもポイント高し◎
Posted by アツコ at 2006年08月15日 11:35