2006年08月21日

恐ろしいことは突然に起きて、結末はドラマのようにはならない

本当に、タイトルそのままである。

人間、長い間生きているとそれなりに「宝物」というものができる。僕の場合、たとえば富士山の山頂で買ってきた頑張れ棒とかがその代表なのだが、もう一つ大事だったものがロシニョールのキャップである。

このキャップ、スキーの大会に出場して初めてもらった記念品で、今は野辺山で岩谷さんが開催している大会の前身。今はロシニョール・オープニング・カップだが、当時はロシニョール学生オープンだった。当時のナショナルチーム・コーチで、今は冬龍門を主催している市村さんがメインコーチで、大会の前日にはレーシングキャンプがあって、大会と同じバーン、同じセッターで練習を行うというものだった。斜面もそれほどきつくなく、当時競技スキーをはじめてまだ2年目の僕にはちょうど良い大会だった。

大会の記念品だから賞品ではない。参加者全員に配られたもので、別に珍しくもないし、すげぇ格好良いわけでもないのだが、どうも愛着があって、その後、朝早起きしてスキーに行くとき、寝癖を直すのが面倒なときなどにいつもこのキャップをかぶって出かけた。が、それ以上に、ここ数年はシーズン始めにロシニョール・オープニング・カップに出かけるときに必ずこのキャップで出かけてインスペクションをして、一年のこのときぐらいしか雪上で顔を合わせない岩谷さんに「今年もこのキャップで来ましたよ。さすがにこの一番最初の大会から連続で出ている人はあんまりいませんよね」などと頭を指差して会話するのがシーズン初戦の儀式になっていた。

このキャップ、20年間一緒に滑ってきただけではなく、「今年もスキーの大会に出ますよ。怪我をしないでシーズンが終わりますように」という儀式の重要なアイテムだったのだ。

と、こ、ろ、が、土曜日の朝、買い物に出かけるときにこのキャップをかぶろうとしたら、いつも玄関にかけてあるのに見当たらない。「どうしたんだろう」と思ったら、家人が要らないと思って捨てたとのこと。資源ごみとしてゴミ捨て場に出したのが金曜日。さて、それからが大変だった。

まず、ゴミ捨て場をチェック。しかし、見当たらない。

次に市役所に電話。休日だけど電話対応のおじさんはちゃんと出勤していて、近所のごみ集積場を教えてくれた。ごみ集積場は土曜日は午前中で受付終了だったんだけど、休日出勤なのか、臨時のときのための当番なのか、とにかく人が一人いて、その人に問い合わせ。資源ごみは集積場には来ないで、業者が直接持っていってしまうとのこと。

それで、今度はその業者を教えてもらって車でそこへ。集積場から電話してもらっていたので話は早かったが、「昨日集めたものだと、この中にあるはずです」と指差されたのは2メートル50センチ立方ぐらいの大きさの馬鹿でかい鉄かご。その中にたっぷり一杯半(一つは満タン、もう一つは半分ぐらいまで衣料品が入っていた)。それで、その業者の人がフォークリフトで親切に全部ひっくり返してくれたわけだけど、その大量の衣料品の中からキャップを探す作業。なんか、時々テレビドラマでこんなシーンがあるよなぁ、夢の島とかでごみの山から目的のものを探し出す、みたいな、なんて思いながら、暑い中、その廃衣料品を手作業で全部かごの中に戻しつつ探したわけだけれど、見当たらない。そもそも、同時に出したと思われるキャップ以外のものも見当たらない。やれやれ、と思っていると、事務所の女性が「ここになければ、もしかしたらこちらの業者かも」と、近所の別の業者を教えてくれた。

ということで、今度はその業者のところへ。こちらはさっきの業者よりはちょっとサイズが小さくて、2メートル立方ぐらいの大きさの入れ物に2つ。で、1つめをひっくり返して捜していると、靴下とか、タオルとか、見覚えのある廃衣料品がいくつもでてきた。これだ、こっちだったよ、と思って探したのだけれど、なぜか他のものはあるのに件のキャップだけが見つからない。おじさんは「ここに運ぶ前に誰かが漁ってしまうこともあるからねぇ」と言っていた。結局3時間以上に渡って全身汗びっしょりになって探したのだけれど、キャップは見つからなかった。

最後にもう一度マンションのゴミ捨て場を念入りにチェックしたのだけれど、可燃ごみなどにまぎれている形跡はなかった。

ということで、スキー関連の一番古い愛用品のキャップはなくなってしまった。

お母さん、僕のあの帽子どうしたんでしょうね?

ということで、あまりの衝撃にずっと毎日続けてきたこのブログ(まにあな日記から数えればもう5、6年?)も2日ほど途絶えてしまいましたとさ。

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この記事へのコメント
あー、なんかわかりますねぇ。
なんとも言えぬ、喪失感。

土曜日見たサインじゃないけど、なにかしらの
理由があってなくなったって思いたいですね。
Posted by hiro at 2006年08月21日 11:13