2006年09月16日

学歴とか

「週刊!木村剛」さんの「やっぱりカネがないと東大には入れないのでしょうか?」というエントリーに反応してみる。ちなみにこのエントリーのさらに元ネタは「時事を考える」さんの「教育の問題はカネがかかることより現場の崩壊」というエントリーです。

世の中ではカネがないと東大に入れないと言われている、自分の体験をみると決してそうじゃないような気がする


カネがないと東大に入れないことはないと思う。だけど、カネがあったほうが入りやすいのは間違いないと思う。受験とは「記憶力」「応用力」の複合で、「たくさん覚えている」ことと、「覚えている公式を適材適所に利用できる」ことが要求される。これらは詰め込みと反復トレーニングでかなりの部分がカバーできる。そして、そのトレーニングは一般的にお金が必要とされる。

ちなみに、このトレーニングを過度にやってしまうと「論理的思考」ができなくなる傾向があるようだ。公式とは論理的思考を簡略化したものだから。そして、この「論理力の欠如」というのは個人の能力形成という部分では大きな障害になる。そうそう、この論理力欠如の人を「マニュアル人間」って言うんだっけ。最近mixiなどを見ていると大学生とかが「ゼミの課題でこういうことを言われたんですが、誰か助けてください」などと書きこんでいるのを時々見かける。「あぁ、こういう思考停止の連中がマニュアル人間になって、将来社会に出たときに途方にくれることになるんだろうな」などと思うのだが、もしかしたら根っこは一緒なのかも知れない。

さて、話を戻しますが、

もう学歴が人生を保証する時代ではない


学歴が人生を必ずしも保証するわけではない。例えばまた痴漢をやらかした植草センセイなどはいくら高学歴、高職歴でもさすがに退場処分だろう。だけど、逆に言えばミラーマンとして有罪判決を受けたにも関わらず名古屋商科大学の教授になれたのは高学歴、高職歴ゆえではないのか。正直なところ、日本においては学歴はあるにこしたことはないと思う。あっても、それほど邪魔にはならないというのが僕の所感。

ビジネスにおいて「学歴」にどれだけ価値があるのか


学歴には結構な価値があると思う。ベンチャーをやっている場合でも、大学というのはそれなりに看板になる。同じ大学を卒業して大企業のそれなりのポジションについている人もいるので、商談に入りやすいケースも少なくない。具体的な例を一つ挙げれば、僕が1年ちょっと前に会社を作ったとき、メインバンクは三井住友銀行にした。「ベンチャー企業が最初から都銀に口座を持つのは難しい」などという話を聞いたことがあるが、大学時代のつてで簡単に口座を開くことが出来た。「学歴には価値がない」というのはいかにも優等生的な発言だが、客観的な見方ではないだろう。

上に書いたのは経営サイドからのメリットだが、人材の質の面でも学歴というのはある程度の価値があると思う。

僕が10年ほど前にいた三菱総合研究所という会社は学歴偏重会社だったので東大、京大、阪大、東工大、早大、慶大といったあたりでもう社員の90%を越えているんじゃないかという状態だったけど、使えない奴ももちろんいた。言える事は、「高学歴の中には使える人間がいる確率が高い」ということだと思う。この「確率」という奴はなかなか馬鹿にできない。学歴があるということは、少なくとも前述の「記憶」と「応用」のトレーニングを積んでいるということで、一定のハードルを越えているということ。三菱総研に使えない奴もいたと書いたけど、もちろんみんなある程度のハードルは越えていたし、少なくとも長文を書く能力はほとんどみんな備えていたと思う。

ビジネスにおける学歴というのは、ちょっと見方を変えれば、「野球で甲子園に出ました」というのとあまり変わりがない。甲子園に出るためのトレーニングはもしかしたら仕事に役立つ可能性がある。体力というだけでなく、その練習に耐えた精神力が役立つかもしれない。また、営業に行った際に「甲子園に出たことがあるんですよ」というだけで話が弾む可能性もある。春、夏あわせて80校が甲子園に出るとして、ベンチ入りが20人とすれば甲子園球児は年間1600人。東大の1学年の半分ぐらいですか?まぁ、甲子園の方がちょっと厳しいけど、大きな差があるわけでもない。甲子園に出場していれば、出場してない人よりも会社の役に立つ可能性があるかな、と思うのと同じように、東大を出ていれば、出ていない人よりも会社の役に立つ可能性があるかな、と。この感覚はそれほど間違ってないんじゃないかと思う。

これは良し悪しの問題じゃなくて、今の日本はそうなんじゃないの、と思うということですけどね。

奨励金制度を拡充するという方向を模索すれば良い


ちなみに僕は育英会の第一種の奨学金を大学、大学院でもらっていて、今も毎年10万円以上を返還しています。まだ道半ばです(;_;) 途中で免除職にもついたことがありますし、今も大学の講師とかやっていますが、奨学金はもちろん免除されません(;_;) でもまぁ、借りたものだから返すのは当たり前ですけどね。無利子だし。あ、でも、今話題にされているのは大学での奨学金じゃなくて、中学、高校での奨学制度か。それはもっと充実した方が良いかもしれませんね。公立高校からよりも私立高校からの方が東大合格者数が圧倒的に多いということなら、有名私立高校へ通うための奨学金というのはもっと拡充されても良いのかも。

#って、正直なところ中学、高校の奨学金の現状って知らないんですけど。

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世の中ではカネがないと東大に入れないと言われている、自分の体験をみると決してそう
教育の問題はカネがかかることより現場の崩壊【時事を考える】at 2006年10月15日 13:13
この記事へのコメント
> 逆に言えばミラーマンとして有罪判決を受けたにも関わらず名古屋商科大学の教授になれたのは高学歴、高職歴ゆえではないのか

TBドモ、高職歴ではあっても高学歴ゆえではないと思いますよ、一番の要因は彼の能力、そしてそれによって築いてきた彼の実績じゃないでしょうか?
Posted by マルセル at 2006年10月15日 13:02