2006年11月23日

トゥモローワールド

d3c7f26b.JPG岡田斗司夫さんがブログで絶賛していたので、あんまり観る気がなかった「トゥモローワールド」を観て来た。

最初に言っておくと、僕は岡田さんが褒めている映画は面白いと思うことが少なくて、それはやっぱり視点が違うというか、生きてきた背景も違うし、映画に求めるものも違うだろうし、まぁ仕方ないんじゃないのと思うわけで(例えば僕が専門のラーメンとかでも、つい先日某所で「よってこや」を激賞している知人がいて、まぁ、色々だね、と思ったわけですが、多分岡田さんのような専門家から見ると僕の映画の感想なんていうのはその程度のものであって、まぁ色々なわけです)、正直、「今回も岡田さんは褒めていたけど、僕が観てもイマイチなんだろうなぁ」などと思いつつ椅子に座ったわけです。

で、結論から言うと、最近観た中ではナイロビの蜂に次ぐくらいの面白さだった。ということは今年の中ではかなり上位ですね。☆2つ半。

整理する意味で今年のランキングをまとめておこう。こうしてみると、僕の中では日本沈没がダントツの最下位ですな(^^; (断然トップで最下位というのも微妙な表現だけど)

ウォーク・ザ・ライン 3.0
ミュンヘン 3.0
ナイロビの蜂 2.5
トゥモローワールド 2.5
手紙 2.5
博士の愛した数式 2.5
ポセイドン 2.5
Vフォー・ヴェンデッタ 2.5
M:I:III 2.5
グエムル 2.0
明日の記憶 2.0
ウォレスとグルミット 野菜畑で大ピンチ! 2.0
デスノート後編 2.0
父親たちの星条旗 2.0
X-MEN ファイナルディシジョン 2.0
有頂天ホテル 1.5
ワールド・トレード・センター 1.5
ダ・ヴィンチコード 1.5
ナルニア 1.5
嫌われ松子の一生 1.0
帰ってきたスーパーマン 1.0
ハリーポッターと炎のゴブレット 1.0
日本沈没 0.0

ってことで、以下、ネタばれ感想は追記に書きます。
原作は92年の「The Children of Men」で、ディストピアものの傑作という評判だったけれども読んだことがなかった。

人類が生殖能力を失ってから20年弱が経った2027年のイギリスが舞台。有形、無形の財産を引き継がせる相手を失ってしまった人類には光明がなく、世界は徐々に荒廃していっている。そうした中で、一つの希望を与える女性を核にして物語が進む。

近未来の救世主物といったら良いのかなぁ。そこで描かれている未来はエアカーがぶんぶん飛んでいるわけでもなく、機械化が進んでいるわけでもなく、もちろんドラえもんもいなくて、なんというか、一言で言えばすさんでいる。

で、岡田さんは
イギリス人ってサンダーバードみたいな人形劇でも、「2001年〜」みたいな宇宙ものでも、今回の「トゥモローワールド」みたいな近未来でも、本当に異世界を作るのが上手いねぇ。その辺は原始時代でも他の星でもアメリカにしてしまうようなハリウッドとは逆で面白い。
と書いているんだけど、へーー、そうなのかぁ、って感じ。僕は感性が鈍いので、映画の中の未来はマッドマックスの時代のイギリスならこんな感じかなぁとも思うし、なんというか、違いがわからない男である。で、岡田さんの視点で映画を語るのは無理なので比較はたいがいにして(興味がある人は岡田さんの映画評を読んでください)、個人的に思うのは、希望がカラードだったり、親が誰だかわからなかったりというところに微妙に政治色をにじませているところはともかくとして、バトンを渡す相手を失った世界がどうなっていくのかを上手に見せていたと思う。そして、その中に生まれる希望も見事に対比されていて、銃撃戦のシーンなどは圧巻だった。このあたりは日本人である僕は比較的冷めて観ちゃうところがあるけれど、キリスト教圏の人達にとってはもっとインパクトがあるんじゃないだろうか。

サイエンティフィックなバックグラウンドとかはほとんど説明されなくて、要は理屈っぽくないのだけれど、そこが逆に好感というか、そもそも「なんでやねん」と突っ込みたくなる余裕を与えてくれない感じだった。「そうか、それなら仕方ないね」と、設定を受け入れさせられてしまうような。人間が長い歴史の中でつないできているバトンリレーの、「つないでいく」というところに焦点をあてて、2時間という限られた時間の中で端的に表現した、って感じの映画で、それを前にしては、細かい理屈とか設定とかはまぁ良いじゃん、みたいな。あんまり説明っぽくすると映画が長くなるしね。

この映画、途中でCMが入っちゃったり、途中で一時停止したりしながら観ると興ざめなので、映画館で拘束されて一気に観たほうが良いと思う。なんかね、一瞬ふっと緩むんだけど、その直後に大きく動く、というパターンの繰り返しなので。デスノートは家でも良いけど。

ところでどうでも良いけど、何で邦題が「トゥモローワールド」なんだろう。「Children of men」(人類の子供たち)で良いじゃん。トゥモローワールドだと、PS3を「ブルーレイ陣営の命運をかけたジリ貧ソニーの最新ゲーム機」って名前にしちゃうくらいの味気なさがある。これでわかりにくければ、ドラクエ3の副題を「英雄ロトの誕生」にしちゃうとかさ。

引用:岡田斗司夫のプチクリ日記「すごいものを見た

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