2007年02月22日

レディースオープントーナメント決勝

今、女流将棋の大会、「レディースオープントーナメント」の決勝三番勝負の第三局。つまりこれに勝てば優勝という大一番をやっている。

ま、世の中の大部分の人は将棋のタイトルなんて名人戦と竜王戦ぐらいしか知らなくて、名人だって「なんか朝日新聞と毎日新聞で取り合いしていたみたいだけど」といった具合で誰が名人なのかすら知らないんじゃないかなー、あるいは羽生が名人だと思っているんじゃないかなー、などと思うのだけれど、まぁ良いや。とにかく今日は注目の一戦なわけです。

で、この注目のタイトル戦がいつになくマスコミで取り上げられているのは決勝戦の対局者が今までの顔ぶれと違うから。女流棋士だと、最近は中井、清水、矢内、千葉、斎田といったところが主だったところで、ここに最近ちょっと不調の石橋とかが絡んだり絡まなかったり、という感じだった。そもそも林葉がすねてどっかに行っちゃったあたりからは女流棋士のタイトルは中井、清水の二強時代がずーーーっと続いていて、最近になってようやくこの二強に矢内、千葉あたりが追いついてきたかなー、という状態だった。

で、わりと混沌としてきたかな、いや、やっぱり中井、清水も頑張っているな、という状況の中でまだ中学生の里見香奈女流1級が決勝戦に残ったものだから俄然注目されちゃっているわけである。

ここで日本のマスコミの大馬鹿具合が発揮されたのは第二局、矢内が完勝を収めたにも関わらず、負けたほうの里見にばかり注目して記者会見までやってくれたところ。ロリコンマスコミの面目躍如という感じで、まぁ勝負の世界だろうがなんだろうが可愛い子供が出てくればとりあえず取り上げて報道する方も馬鹿ならその報道を喜んで読んでいるほうも馬鹿だよな、と思うわけでかなり不愉快だったのでこれまでこのブログでは取り上げもしなかった。

今日も里見が負ければ馬鹿マスコミは「里見無念、女流名人の壁を破れず」などと見出しをつけそうなので、今のうちに記事を書いておこうと思う(^^;

それで、この里見女流1級はゴキゲン中飛車といわれる、ここ5年くらい活発に指されている戦法の使い手。

将棋の戦法にははやり廃りがかなりあって、情報化が進んだ最近はそのピッチが非常に早くなっている。とにかく将棋は先手有利というのが常識で、にも関わらず同じく先手有利の囲碁に比べてハンデをつけにくいという特質があるので、プロレベルになると「後手でいかに勝つか」がテーマになりつつある。この「後手で頑張れる戦法」として現れたのが中座飛車、あるいは横歩取り8五飛戦法と呼ばれるものだったんだけれど、この戦法は研究が進みすぎて先手の対策がかなりはっきりしてきてしまった。ということで、「あぁ、やっぱり先手有利なのか」という雰囲気になってきたのだけれど、今度は後手が研究が進んでいる矢倉、角換わりなどの居飛車系の将棋を避け、徐々に振り飛車系の戦法にシフトしつつある(と思う)。その中でも、四間飛車のように定跡化が進んでいる戦法ではなく、力戦になりやすく研究がまだあまり進んでいないゴキゲン中飛車は採用率が高くなってきている。

とは言ってもゴキゲン中飛車は後手専用の戦法ではなく、先手でも採用できる。そして里見女流1級は先手でゴキゲン中飛車を採用したときの勝率が滅茶苦茶高い(はず。ちょっとデータを調べる暇がないのだけれど)。ということで、最終局はどちらが先手になるのか、というのがまず注目だったのだけれど、里見女流が先手となった。よし、じゃぁいつものようにゴキゲン中飛車で、と誰もが思ったところで意外にも里見女流からゴキゲン中飛車を放棄して、割と昔みたようなタイプの中飛車を採用。一方の矢内名人は舟囲いから左美濃、銀冠と進めて4枚の金銀を左翼に集中。今はかなりゆっくりした将棋が進んでいる。

インターネットの時代は大変ありがたいわけで、テレビ中継はないけれどネット中継はきちんとやってくれている。

レディースオープン・トーナメント2006中継サイト

今、後手が66手目を指したところ。いよいよ中盤の難所で、ここで先手がうまく手を作れるかどうか、というところなのだが、残念ながらここら辺で仕事なので、続きは見ることができない。うーーーむ。

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