2007年03月18日

将棋女流棋士の独立について思うこと(メモ書き)

日本将棋連盟が相変わらずきな臭い。

以下、超長文のため追記に書きます。将棋に興味がない人はさようなら(^^
名人戦問題で大モメにモメたのは記憶に新しいところ。あの時の連盟のスタンスについて僕は「支持する」という立場だったんだけど、それはマイノリティだったみたい。

将棋の裏名人戦

僕はビジネスの世界にいる人間だから、法律とか、経済原理とか、理屈とか、そういったものを優先して考える。個別に人と対するときは義理や人情ももちろん混ざるけれども、僕の根本にあることは「客観的に見て正しいこと」を優先するということ。名人戦問題のときは、今までの義理とかに対してお金を優先するという考え方も、それはありだな、と考えた次第。棋士だって食べていかなくちゃならない。松井やイチローが何億も稼いでいる一方で、日本最高の頭脳かもしれない羽生氏は1億ちょっとを稼ぐのがやっとという状況である。外部からの収入が限られている以上、スポンサー選びはお金本位になっても仕方がないということ。

さて、今モメているのは女流棋士の取り扱いについて。その背景には、女流棋士が弱い、ということがまずある。「弱い」と言っては失礼なのかもしれないけれども、男性棋士に比較して明らかにレベルが低いのが女流棋士である。これはもう女性競技スキーヤーのトップがどんなに頑張っても男性競技スキーヤーのトップに勝てないのと一緒なのかも知れない。とにかく現在のプロ制度の中で、男性と同じ土俵でプロになった女性棋士は一人もいない。ここ数年、男性棋士に勝つことのある女流棋士はちらほら出てきているのだけれど、トータルでみるとその実力差は埋めがたいものがある。

そうした状況において、女流棋士は男性棋士とは別の基準でプロを設定している。男性棋士と同じ土俵に上がるための努力をして、諦めた女性棋士たちの集まり(あるいは最初から挑戦していない人たちも含まれる)である。彼女達は現在日本将棋連盟に所属しているが、身分は正会員(棋士=プロの将棋指し)ではなく、あくまでも「女流棋士」としてである。だから、権利も著しく制限されている。毎月の基本給がなく、厚生年金にも加入していない。棋士総会での発言権もない(棋士じゃないから)。

では、女流棋士の存在価値が皆無なのかというと決してそうではない部分がある。ただ単に強いものを見るのであれば男性棋士であってもトッププロ、羽生、森内、佐藤、渡辺、郷田、谷川といった面々の活躍だけを見ていれば良いことになる。アマチュアが求めるものは単なる強さだけではない。

例えば僕はランドマークに王座戦の解説会を観にいったことがあるのだけれど、
将棋王座戦キタコレ@横浜ランドマーク

そのとき、鈴木女流初段の解説がとても楽しめた。男性棋士に比較して弱いといってももちろんそれはトップレベルでの話。例えばアマチュア3段の僕が鈴木女流初段に勝てるかと言えば恐らく1万局指しても一度も勝てない。そして男性棋士の場合は100万局指しても勝てないと思う。とすると、恐ろしく強い人たちよりも、もうちょっと下のレベルの彼女たちの方が言葉が通じる部分というものがあると思う。絶対に勝てない領域ではあっても、100万局指しても勝てない人よりは1万局指せば勝てるかもしれない人と勝負したほうが楽しいというのもあると思う。また、将棋を楽しむ人は女性より男性の方が多いわけで、男性のアマチュアからすれば男性棋士より女性棋士に親近感があって当たり前だったりもする。

マラソンの世界を見てみると、今は男子マラソンの人気はあんまりないと思う。一方で女子マラソンはなかなかの人気である。もちろん男子と女子を一緒に走らせれば、絶対に女子のトップは男子のトップに勝てないわけだが、だからといって女子のトップの価値が下がるわけでもないし、逆に人気は女子の方があるわけだ。こうした状況はスポーツにおいては非常に一般的である。ゴルフ、バレーボール、多分フィギュアスケートと、すぐにいくつかの事例を挙げることができる。ただ、バレーにしてもスケートにしても、なぜ人気があるかと言えば女子の中では世界的レベルで頑張っているから、というのがあるだろう。ゴルフだけはちょっと微妙だけれど。将棋の場合、日本でトップだったら自動的に世界でもトップなのだから、女性棋士は女性に限定すれば世界のトップであることは間違いない。なので、男性に勝てないからと言って、人気がないと一義的に断定する必要もないし、また人気に値する価値がないとも言えないはずだ。

ただ、ここで問題になるのは、体力面での男女差というのは明確だけれども、知能(と言って良いのかどうかは正直良くわからないのだけれど)面での男女差というのは明確ではないということである。将棋という知能ゲーム(だと思うけど)においての男女差というのを明確に提示する客観的データが乏しいということもある。単純に「現実問題として、プロの将棋指しは男女同条件でハードルを課しているにもかかわらず、それをクリアしたのは男性だけである」という事実はあるのだが、調べ方によっては「女性は男性より馬鹿」といった結論になりかねず、かなりデリケートな問題をはらんでいる。こうした背景から、「原因はわからないけれど、とにかく男性のレベルに達しない女性棋士」の立場は不明瞭なままであり、権利も制限されてきているのである。「将棋というゲームをする場合においては、人間の脳には性差があって、男性の方が優秀である」という結論が仮に受け入れられるならば、この問題はもっと簡単になるに違いない。

平等であって欲しい、平等であることが望ましい、と多くの人が心のどこかで望んでいるため、将棋界は文字通り男女平等の世界であり、そして当然の帰結として女流棋士の立場は非常に低いものとなっている。それは、彼女達と同等の強さしか持たない男性棋士の立場が非常に低いのと同じである。
#厳密には奨励会を抜けられなかった男性はプロ棋士とは認定されないので、女流棋士よりもさらに立場は低いものとなるのだが。

そして、今、女流棋士は男性プロの土俵である日本将棋連盟からの独立を企図している。将棋の実力ではどうしても敵わず、同じ立ち位置から意見を言えない連盟から独立し、自分たちの権利と責任を明確にしようとしている。そもそも、日本将棋連盟という組織の正会員には「強い人間しかなれない」という体制が実は前近代的であって、「プロ野球の経営は名球会の人間だけでやります」と言っているのとあまり差がなく、この点をもう一度考え直す方が筋だとは思うのだけれど、一方で勝負の世界の厳しさが組織に冷徹に反映されるのは、それはそれで一つの見識である。そして、その冷徹一本の組織から離脱するというのは決して間違っていないと思う。

ところが、この女流独立の動きに「待った」をかけているのが日本将棋連盟である。なぜ待ったをかけているのかは定かではない。もれてくる情報を総合すると「女流棋士の総意ではないから」というのがまず表向きの理由である。これを明示するのが中原副会長の次のような発言である。
「理事会としては女流の独立は全員一致を望んでいた。しかし準備委員会は弁護士を前面に立てて協議に当たったり、寄付、発起人、賛同人集めなどの準備に行き過ぎた面があり、女流の中に、反対、慎重派が増えたため、これ以上、放置できなくなった」

ここでちょっと不思議なのは「弁護士を前面に立てて協議に当たった」ことを問題視している点。厳密にはこの発言だけ取れば理事会が問題視しているのではなく、そういった行動を取ったことに嫌悪感を持った女流棋士がいた、ということになるのだが、米長会長のこんな記事もある。
女流棋士会の独立は、全理事が応援していますし、その困難なことや経済的苦労も理解しています。
日本将棋連盟には二人の顧問弁護士が居て、熱烈な将棋ファンです。不思議に感じたのは、
それなのになぜ錦織淳先生にお願いしたかです。この時点で既に別団体のつもりだったのでしょうか。

嫌悪感は一部の女流棋士だけではなく、交渉に当たった男性棋士側(全部ではないけれど、少なくとも米長会長)にもあったことになる。錦織弁護士が登場したことが事態をこじれさせた原因の一つであることが容易に予想されるのだが、弁護士が理論的におかしいことを言い出すとも思えず、正論を主張する女流側に対して感情論で対抗しようとした将棋連盟側がへそを曲げた、という風に考えたくもなる。それにしても、名人戦移管問題の際に現将棋連盟理事会の方針を支持したのはそれが経済原理に則って出された結論と思われたから。もちろんこれについては賛否あるところで、将棋ファンのマジョリティは逆に毎日新聞支持だったようなのだが、今度はなぜか「法律が全てなんでしょうか」と感情論に訴えていたりして、どうも首尾一貫したところが感じられない。

この他に話がこじれている原因としては何があるのか。恐らくは、女流がいることでお金が取れる部分が少なからずあるのではないかと予想できる。例えば将棋のイベントでも、男ばかりで解説会をやったら相当に味気ないものになる気がする。そうした一定の価値が存在する女流棋士という存在に対して、今の報酬や権利というのが不当に制限されている、というのが女流独立派の根本にある一方で、できれば生かさず殺さずで女流棋士を連盟内に留めておきたい、という意向があっても全く不思議ではない。

元々、女流棋士の独立というのは米長現将棋連盟会長が提案したものであるというのが定説である。発端となった出来事については石橋元女流王将のブログに米長発言議事録(ただし内容については米長現日本将棋連盟会長の承認がない)が掲載されている。
あれから〜2006年3月8日13時 米長会長の発言。

#ちなみに記事がエントリーされたのは2007年3月12日、発言メモは2006年3月で一年前のものです。
##エントリーは現在削除されていますが、魚拓が取られています。
魚拓

ところが、その米長会長本人が女流独立に反対する急先鋒になっている。厳密には、今のようなやり方での独立に反対をしている。今のようなやり方とは、周囲のしがらみを極力排除し、弁護士などの協力を得て客観的、法的に正当と判断される方法である。今の将棋連盟が望んでいるのはもっとウェットな、「お互い、仲良くやるのが一番じゃないですか。なぁなぁでうまくやって行きましょうよ」という非常に日本的なやり方なのだろう。

では、欧米的なやり方で女流棋士が独立すると具体的にはどんな問題が生じるのか。一番大きな問題はスポンサー料の取り合いである。「まぁこんなもんでどうでしょう」みたいな交渉ができなくなるので、「私たちは別法人です。別法人が勝手にスポンサーからお金をいただくのですから、あなた方とは一切無関係です」と突き放されてしまう可能性が大きい。ところが、スポンサーサイドからすれば日本将棋連盟も新しい女流棋士法人も同じ「将棋」という出資素材である。今まで「男性プロ」「女流棋士」というきりわけで考えていなかったのだから、単純に考えれば一つのパイを二つの法人で明確に取り合うことになり、日本将棋連盟の取り分は確実に減額される。
#もちろん現将棋連盟の場合、パイの取り分(収入)は大きくても食い扶持も大きい(出資、女流を抱えているから)ので、独立前と独立後でどちらが得なのかは不明である。

ここでもう一度整理して考えると、男性と女性、強者と弱者について金銭と権利の部分を全て混在させて考えているから話が難しくなっている。女流棋士独立推進派の主張は

男性→実際強い→お金をもらえる
女性→実際弱い→お金をあまりもらえない

は良いとして、

男性→実際強い→連盟での権利が大きい
女性→実際弱い→連盟での権利が制限される

が正当なのか、ということなのだが、将棋連盟のスタンスは

男性→強い
女性→弱い

はあくまでも現象であって、男女は平等であり、単に、

強い→お金をもらえる、権利が強い
弱い→お金をあまりもらえない、権利が制限される

だということだ。現象として弱い女流は現象として強い男性に隷属する形になっているが、男女と強弱はもともとリンクしていない、ということである。で、この点については結論が短期間には出ないことは容易に想像がつく。女流棋士独立推進派はこの男女と強弱の相関について論じるのを放棄し、

男性→お金をもらえる、権利が強い
女性→お金をあまりもらえない、権利が制限される

へと事象を単純化したと考えられる。その上で、「どの程度の採算性があるのかを考えた上で、女流だけで独立して法人化するのが将来のためだ」という結論に達したのだろう。日本将棋連盟が「強さこそ正義」というスタンスを取り続ける以上、その是非はともかくとして、そこを飛び出すのは決して悪い判断ではない。

ここで事態が複雑になっているのは、将棋連盟が女流棋士の独立に待ったをかけただけではなく、独立しようとしている女流棋士の個別切り崩しを始めていることである。
女流棋士:法人独立に将棋連盟が待った!残留か移籍か迫る(毎日新聞)

現在女流棋士は約50人が登録されているが、そのうちの13人が先日、日本将棋連盟に残留を希望するという内容の記者会見を行った。谷川治恵女流四段は「独立に反対なのではなく、連盟と対立するような進め方に懸念を感じる。白紙に戻してほしい。残留希望者数はわたしたちを含めて20人以上いると思う」という主旨のことを語ったようである。残留希望者が記者会見をして意思表示してしまった以上、現時点で考えられる今後は

1. 約20名が残留、約30名が独立
2. 全員残留

のどちらかになる可能性が非常に高く、

3. 全員独立

という選択肢は実現する可能性が非常に低くなった。日本将棋連盟の戦法が非常に巧妙だったと思う。要は、「男性プロ(親同然のはずの将棋の師匠を含む)に対してはドライに接することが出来ても、同じ女性プロ同士ではドライにはなりきれないだろう。数名を懐柔して取り込めば、最終的には独立派も分裂を避けて連盟に残るに違いない」という読みなんじゃないだろうか。将棋連盟側は今、さまざまなしこりは残しつつも元鞘に収まることを期待していると思う。問題は、独立推進派の中心的メンバーでもあり、実際に女流将棋界の中核的メンバーでもある中井、石橋両氏がどこまでドライになれるのか、というところに来ている。

では、仮に女流棋士が本当に分裂してしまったとしたらどうなるのか。分裂した場合、女性の将棋プロ希望者のキャリアパスは大体つぎの5つになる。

1. 奨励会入会→四段に昇段→プロ棋士(男性棋士と同格、既存事例なし)
2. 奨励会入会→四段になれず退会→日本将棋連盟女流棋士→普及業務中心
3. 奨励会入会→四段になれず退会→新法人所属→新法人女流棋士→女流棋戦
4. 日本将棋連盟の女流育成会→日本将棋連盟女流棋士→普及業務中心
5. 新法人育成会→新法人女流棋士→女流棋戦

実際のところ票読みはどうなのか。今、確実に残留派と目されているのは谷川、関根、斎田といった面々(敬称略)で、この中でタイトル保持者は斎田晴子倉敷藤花だけである。一方で確実に独立派と目されている中には矢内女流名人、中井女流元名人、石橋元女流王将などが含まれる。現在女流棋戦を引っ張っているといわれている女流棋士にはこの他に清水市代女流王位、千葉涼子女流王将がいるのだが、両氏はそのスタンスがまだ伝わってこない。なんだかんだ言っても女流も勝負の世界なので、実力者達がどう分布するかによってその勢力図も変わってくる。

連盟:斎田
新法人:中井、矢内、石橋
不明:清水、千葉

という状態で、仮に清水、千葉が連盟派となった場合は完全に真っ二つという状態になる。大分前の新日本プロレス(アントニオ猪木、藤波辰巳、坂口征二)と全日本プロレス(ジャイアント馬場、ジャンボ鶴田、天龍源一郎)みたいなものだが、問題は両者ともにタレント不足に陥るということ。こうなってしまうと共倒れになる可能性が高く、女流はにっちもさっちもいかなくなってしまうだろう。実際にこうなりそうになった場合、独立推進派は一度元の鞘に収まるしかなくなる可能性が高い。ベンチャーの世界では「どうせ駄目なんだからアクセル踏んじゃえ!」と、がけに向かって突進するケースも時々あるのだけれど、女流棋士がそれをやる可能性は低いんじゃないかと思う。次に考えられるのはキャスティングボートを握っている二人がともに、あるいはどちらか一人が独立派となった場合である。この場合、当然ながら勢力図的には完全に新法人に傾く。女流のキャリアパスは上の3や5が中心になるはずだ(3は、あくまでも日本将棋連盟がそれを許せば、だけど)。

ただ、仮に清水、千葉の両氏が新法人派に行くことを表明した場合、残された連盟派は完全に空洞化してしまい、立場はかなり苦しいものになると思う。

さて、ここまでぐだぐだ書いてきたけれども、ではベストなランディングポイントはどこにあるのか。いや、これはあったのか。一番思うのは、日本将棋連盟の関係者が「女流は弱いのだから収入も権利も制限されて当たり前」というところで思考停止していたのではないか、ということ。同じ将棋界でご飯を食べてきて、中には将棋界の中で結婚するケースも散見される、という中で、ただ「弱い」という一点のみにこだわってその存在を軽視していたところがあったのではないか、ということ。女流棋士という救済制度を作ったということはもちろん評価できるが、そこから先の歩み寄りがあったのか、である。様々な状況証拠を積み重ねていくと、女流棋士は決して望んで独立しようとしているのではないと思う。独立せざるを得ない状況に追い込まれていて、追い込んだのは将棋連盟の実質男性プロだと思う。ま、良くわかんないんですけどね。だから、一番良いのは、女流棋士の待遇を改善した上で、組織上は今の状態を継続することだったはず。

しかし、「もう無理だ」「米長会長と、米長会長を選出する現連盟とはやっていけない」ということなら、これは独立しかない。先に挙げた米長発言などがベースとなって、中井、石橋をはじめとした独立派は「もうこれは無理だ」という結論に達したのだろう。独立の場合のポイントは全員一致、あるいはそれに近い形であること。完全分裂するには今の組織はあまりにもタレント不足過ぎる。

#今頃、清水、千葉両氏の周辺は大変なことになっているのかも知れない。

個人的には、独立組には頑張って清水、千葉を切り崩して実質的な一枚岩を作り上げて欲しい。そうなれば今は残留と言っている人たちも合流せざるを得なくなるはず。この間作った将棋SNS(まだまだバグがあって正式なプレスリリースとかは出していませんが。会員3人だし(爆))とかも新法人にプレゼントしても全然構わないのだけれど。

何にしても、独立派の皆さんにはこんな歌でもどうぞ。
その船を漕いでゆけ おまえの手で漕いでゆけ
おまえが消えて喜ぶ者に おまえのオールをまかせるな

その船は今どこに ふらふらと浮かんでいるのか
その船は今どこで ボロボロで進んでいるのか
流されまいと逆らいながら
船は挑み 船は傷み
すべての水夫が恐れをなして逃げ去っても
その船を漕いでゆけ おまえの手で漕いでゆけ
おまえが消えて喜ぶ者に おまえのオールをまかせるな

その船は自らを宙船(そらふね)と 忘れているのか
その船は舞い上がるその時を 忘れているのか
地平の果て 水平の果て
そこが船の離陸地点
すべての港が灯りを消して黙り込んでも
その船を漕いでゆけ おまえの手で漕いでゆけ
おまえが消えて喜ぶ者に おまえのオールをまかせるな

何の試験の時間なんだ 何を裁く秤なんだ
何を狙って付き合うんだ 何が船を動かすんだ
何の試験の時間なんだ 何を裁く秤なんだ
何を狙って付き合うんだ 何が船を動かすんだ
その船を漕いでゆけ おまえの手で漕いでゆけ
おまえが消えて喜ぶ者に おまえのオールをまかせるな
その船を漕いでゆけ おまえの手で漕いでゆけ
おまえが消えて喜ぶ者に おまえのオールをまかせるな
作詞作曲中島みゆき

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毎日いろいろありますね。 忙しくていろんな将棋サイト、ブログ、コメントなど全部詳しく見切れてないです。 そんなときは、ここ。 毎回言いますが、勝手に将棋トピックス、将棋界新情報の宝庫、プロ棋士や業界内の方も含めてバイブル的存在になってます。ありがたいですね...
将棋の話題、いろいろ【即席の足跡《CURIO DAYS》】at 2007年03月24日 03:48
しばらく将棋のこと、ご無沙汰でした。 特に女流独立の件、ずっと気になっていて、やきもきしてはいましたが、いろいろなことがあったようで、変化に付いていけず、不明な情報もいろいろあり、何も書けませんでした。 踏み絵、分裂、切り崩し工作、報復、などの言葉も聞こ...
違和感【即席の足跡《CURIO DAYS》】at 2007年04月16日 00:17
この記事へのコメント
はじめまして。「石橋ブログ」からきましたが、素晴らしい文章に感服いたしました。
トラックバックにいくつかあった書き込みから無作為にひとつ抽出したのですが、「当たり」でした。
女流問題はいろいろあって私も軽々しいことは言えませんが、私も概ねベンチャー社長様と同じ意見です。
これから会社を大きくしていってくださいませ。では。
Posted by 大沢 一公 at 2007年03月19日 22:28
将棋フアンにも こんな立派な文章を冷静に書ける人も居るのですね。
歌の部分は私には難しいくて理解できませんが 何にしても 独立派が
成功するのを願うのみです。今一番 将棋界が真剣に取り組むのがこの問題
でしょう。タイトルの 移動は誰かとっても その人を褒れば良いでしょう。
Posted by 東海 at 2007年03月20日 19:45
ベンチャー社長様 素晴らしい分析ですね。私も読ませていただきましたが「そうだ、そうだ」の連続でした。ひとつ私が思うのは、今後どのような結果になろうとも、今必死に頑張っている女流棋士の皆さんを応援していきたい、ということです。
Posted by レモン at 2007年03月20日 21:05
(^O^)久々に… 頭脳明晰な人が 懸命に書いた文章に触れ ある種の カタルシスを感じました!
文末の みゆきの歌も ドンピシャでした…
(^O^)ふぁいとぉ! たたかう きみのうたを たたかわないやつらがわらうだろう ふぁいとぉ! 冷たい水の中を 震えながら走ってゆけ!
Posted by ケン at 2007年03月20日 21:42
第三者の目でここまで理論立てている人は他には居ない。
何が問題でどうなって行こうとしているのかが一目瞭然です。
Posted by 774 at 2007年03月20日 22:22
この問題の本中点を的確に捉えられており、大変感動しました。
Y長先生にも見て欲しいですね〜。

"将棋連盟理事会"対"女流棋士独立準備委員会"
"日本式"対"欧米式"という構図では
いつまで経っても解決の糸口は見出せません。

これからの将棋界を背負ってたつべき若手男性棋士は
ブログ上で意見を言うだけでなく積極的に行動に移して
問題解決して欲しいと思います。

我々一般人はこの問題に嫌気がさしてます。
若手男性棋士達もそうではないでしょうか?

Posted by まいど2号 at 2007年03月21日 02:54
すごい洞察力ですね。
とても将棋界に詳しくない方の文章とは思えません。
この問題に関して、これほどきちんと整理されているブログは初めて見ました。労作ありがとうございます。
Posted by daichan at 2007年03月21日 12:49
女流の鈴木さんに1万局指して一度も勝てないとすればアマ三段ではなくて3級の間違いですよ。
実力はおおめに見てあげるというのもわからなくはないのですがいくらなんでも現状では厳しすぎます。
将棋を題材として仕事をする以上、実力の向上は独立後の最優先課題なのではないでしょうか。
結局のところ将棋ファンってのは将棋が面白くて好きだって人なのですから。

今だけは女の子たちに対して正義面してカッコつけて独立を支持して騒いでいる男性ファンも、
1年後には何事もなかったように無関心になっているように思えてなりません。
Posted by monchan at 2007年03月21日 18:17
うひ、誤植マニア、ラーメンマニア向け(=将棋にあんまり詳しくない人たち、このブログのメイン読者層)に向けて記事をエントリーしたらコメント一杯(笑)。

>大沢 一公さま

>これから会社を大きくしていってくださいませ。

ありがとうございます(^^ もうまもなく、無事二度目の決算となります。どのくらい業績が向上しているか、僕も楽しみです(^^ 「女流の大会の一つぐらいスポンサーしてやる!」と豪語できるくらいに成長したいものです。

>東海さま

>将棋フアンにも こんな立派な文章を冷静に書ける人も居るのですね。

いえいえ、別に立派でもなんでもないです。冷静なのは第三者だからです。当事者じゃないから書きやすい部分というのは多々あると思います。
Posted by buu* at 2007年03月21日 23:41
>レモンさま

>今必死に頑張っている女流棋士の皆さんを応援していきたい、ということです。

僕はドライな人間なので、今頑張っているからと言って今後も無判断に応援する気はないのですが、今後も頑張っていくならもちろん応援したいと思います。また、独立派は頑張っているでしょうが、残留派が頑張っていないのかどうかは判断がつきません。例えば文中に出てきた鈴木女流は「将棋まるごと90分」のニュースを見る限りでは残留派のようですが、残留派だから今後は応援しない、ということはないです。

「独立する」ということは、ある意味で「今以上に頑張る」という決意表明だと思うので、現状では独立派を支持しています。
Posted by buu* at 2007年03月21日 23:47
>ケンさま

>頭脳明晰な人が 懸命に書いた文章に触れ

決して頭脳明晰でもないし、懸命にも書いてなかったりするのですが(笑)、まあ分量的には8000字ぐらいあるので、この調子でエッセイを7つ書くと一冊本が出せますね(^^

実は、この文章は一日で書いたものではありません。メモ書きで徐々に増やしていったものですが、最近動きが急なので答えが出る前にオープンにしました。

何はともあれ、楽しんで(?)いただければリリースした甲斐もあるというものです。このブログは食べ物ネタ中心で将棋ねたはほとんどありませんが、また遊びに来ていただければと思います(^^
Posted by buu* at 2007年03月21日 23:52
>774さま

>第三者の目でここまで理論立てている人は他には居ない。

まぁ、元々出自がシンクタンクですので、理屈っぽいのです(^^;

>何が問題でどうなって行こうとしているのかが一目瞭然です。

あくまでも表に出ている情報だけを使って書いていますから(裏情報は何も知りませんし、入手する手段もないので)、正しくないところも色々あるかもしれません。表に出ている情報も、全てチェックしている保証はありませんし。僕が手に入れられる情報と、僕の常識から判断するとこんな感じかな、という内容になっております。
Posted by buu* at 2007年03月21日 23:56
>まいど2号さま

>Y長先生にも見て欲しいですね〜。

米長さんもあれだけの人数の上に立つ人ですから、色々と考えていると思います。不思議なのは公式な形で連盟から文書がほとんど出てこないことです。連盟が出版している週刊将棋などを見ていてもこのニュースはほとんど触れられておらず、故意に報道規制している節があります。

#以前、著作権問題で米長さんが訴えられたときも、一般紙には掲載されたのに週刊将棋には掲載されませんでした。そのあたりの体質はちょっとどうなのかなぁ、と思います。

が、とにかく情報不足なところで個人を批判するのは避けたいと思います。
Posted by buu* at 2007年03月22日 00:03
>まいど2号さま

続きです(このブログ、コメントの量に制限があるので(^^;)

>我々一般人はこの問題に嫌気がさしてます。

僕は特に嫌気はさしていません。単に内輪もめと捉えると馬鹿らしく感じるかもしれませんが、果たしてそうなんでしょうか。

自分たちの責任と権利を明確にしようとしている独立派の皆さんは、いわばベンチャーを立ち上げようとしているのと一緒です。是非頑張って欲しいと思っています。
Posted by buu* at 2007年03月22日 00:04
>daichanさま

>すごい洞察力ですね。

いえいえ、滅相もないです。

>とても将棋界に詳しくない方の文章とは思えません。

将棋は前から好きだから、週刊将棋を時々(っていうか、ほぼ毎週?)買ったりはしています。なので、全く知らないわけではないです。将棋倶楽部24のレーティングで2100ぐらいまで行ったのかな?もう2年ぐらいやってないので、最近は全然駄目だと思いますが(^^;

>この問題に関して、これほどきちんと整理されているブログは初めて見ました。

きちんと整理されているかどうかは僕には判断がつかないのですが、プロ棋士の方から見てそう思ってもらえるなら幸いです(^^
Posted by buu* at 2007年03月22日 00:08
>monchanさま

>アマ三段ではなくて3級の間違いですよ。

あはは、そうかも知れないです。もう長いこと指してないので(^^; 大分前に安西6段に二枚落ちを指していただいたときは無事勝つことができました。その程度の腕です。

>実力の向上は独立後の最優先課題なのではないでしょうか。

この点については、僕は今の女流の皆さんの実力がどの程度なのかを正確に把握していないのでノーコメントということで。

>1年後には何事もなかったように無関心になっているように思えてなりません。

その可能性も少なからずあると思います。そうならないようにするにはどうしたら良いのか、が、独立派の知恵の出しどころですね。
Posted by buu* at 2007年03月22日 00:15
はじめまして。指導棋士の島村です。
遠山四段のブログから貴サイトにお邪魔しました。
拝見しましてとても勉強になりました。ありがとうございます。

昨年から将棋界で不思議な出来事が起こり将棋ファンの皆様には
多大なご心配?をおかけしています。心よりお詫びと、温かい視線に御礼申し上げます。素晴らしいファンに対し素晴らしいプロであり建設的な発展に進むことを願っています。

かけがえのない将棋なのですから。
Posted by 島村健一 at 2007年03月22日 09:22
 はじめまして.お邪魔いたします.まずご労作に敬意を表します.

 残留派にどれくらいのタマ(商品価値の高い女流棋士)が残るかというのがキモになりそうな気配ですね.分裂については実は連盟理事会としては望むところなのかもしれないと思います.彼らのしたいことは女流棋士のリストラだと思われるからです.現会長の手法に対する賛否はともかく,現会長に砕氷船の役割をさせて,返り血を浴びた会長を次の理事選挙で後ろからズドンという絵図面を書いている方がいても不思議とは思いませんし,現会長はそのような思考のできるかただと思います.
 そして実は新法人にとっても,スタートは身軽なほうがいいかもしれない.なので分裂は外聞は悪いかもしれないけれど,そこをうまくしのげば独立派にとっても経営上マイナスにはならないかもしれません.
Posted by maru at 2007年03月22日 11:07
 連続投稿ですいません.字数制限に引っかかったようで.
 弁護士の選任についてですが,錦織氏は政治家として竹下王国に島根で対抗し続けた方です.そして米長人脈は竹下王国とつながっていました.なので,現会長としては弁護士の人選を自分に対する敵対のシグナルとみなした可能性はあると思います.さらにそういうことを踏まえて独立派が弁護士を選任したのだとすれば,これは宣戦布告というか,ほんとうの独立宣言に他ならなかったのだろうなと見ています.
 私も将棋の棋士が好きで将棋界の情報には注目していますが,素人ですし内部のことはよくわかりません.なので的をはずしたことを書いているかもしれません.誤りがございましたらどなたかに訂正をいただければ幸いです.
Posted by maru at 2007年03月22日 11:09
>島村健一さま

>拝見しましてとても勉強になりました。

いえいえ。特に新しい情報もないかと思いますが(^^;。

>建設的な発展に進むことを願っています。

そうですね。そのためにみんなが少しずつ努力できればと思います。

以前、僕は米長会長に「三段の免状の推薦状は持っているのだが、価格が高すぎて注文できない。何か、代わりに労働力などで代替できないものか。例えば初心者に将棋を教えるといったことを連盟から派遣されるような形でやって、それを一定量こなせば免状をいただける、みたいな形にできないか」という主旨のメールを送ったことがあります。残念ながら返事はいただけませんでした。お金という形以外にも、貢献する方法はあるんじゃないかと思うのですが、そうでもないのでしょうか。
Posted by buu* at 2007年03月23日 15:18
>maruさま

>彼らのしたいことは女流棋士のリストラだと思われるからです.

このあたりは僕には判断材料がないのでなんとも言えません。一方で感じるのは、石橋メモの内容が非常に唐突であるということ。あの文書から察するに、このミーティングの前に次の二つの要望が女流側から連盟にあったはずです。

1.女流棋戦を増やして欲しい。
2.女流の待遇を向上して欲しい。

恐らくはまず連盟に対して藤森会長が話をしていて、そこで連盟があまり良い色の返事をしなかった。それを受けて「さて、どうしよう」となったときに、「藤森さんはおとなしくて言うことも言えないので、代わりに私たちが行きます」みたいなやりとり(あるいは、「そんなに言うならあなた達が行ってよ」かもしれませんが)があったのかなぁ、と推測します。

要望を突っぱねただけなのか、リストラしたいのか、そのあたりはちょっとわかりません。
Posted by buu* at 2007年03月23日 15:34
日本将棋連盟と一員としては免除をご購入していただくのは大変ありがたいことです。しかし島村個人として見解を述べますと、経済観念は人それぞれですので、三段の免除=52500円は高いというのもうなずけます。
ご提案いただいた、バーターで何かしていただくのは良い案だと思います。
おそらく、新しいことをするのは「面倒」で「わかりやすいメリット=お金」がイメージされなかったのではないでしょうか?

例えば具体的な換算して
将棋ファン1人=5250円、三段免除=将棋ファン10人
「将棋普及なんとか金」があるのなら形に見える普及金の使途が欲しいところです。実際に将棋を知らない人に将棋を教えるのは大変な作業というのは
知っているつもりです。むしろプロには向いていない部分でもあります。
私自身の話をすると少年時代、初級者の頃のことはほとんど覚えていません。全国の将棋ファンの生の声を伺いたい今日この頃です。
Posted by 島村健一 at 2007年03月24日 08:04
>むしろプロには向いていない部分でもあります。

僕はバイオの専門家でもあるのですが、時々、バイオを全く知らない人にレクする機会があったりします。例えばこれとか。

http://blog.livedoor.jp/buu2/archives/50294395.html

こういうのって、大学教授とかだと話が難しすぎて逆にうまくいかないところがあると思います。難しいことを難しく説明するのは上手なのですが。

相手が「なんだか面白そうだな」と、知的好奇心を持っていることが前提なら、かなりの人が将棋を教えるという活動ができるはずですし、また活動自体も

プロ→初心者

という関係から

プロ→中級者→初心者

という関係になることによって、より多くの人が参加できるネットワークが構築できると思います。そうした状況を作っていくツールとしても「免状」という要素は利用できると思います。
Posted by buu* at 2007年03月24日 10:51
非常に深く問題を分析されているので、感服しました。私もほぼ同じ問題意識(というほどのものではないですが)を持っています。根本原因は、将棋連盟の社団法人としてのガバナンスにあり、将棋の棋士としての資格=社団法人の社員としての地位を切り離すべき、というのが私の持論です。将棋連盟は正会員=奨励会卒業=棋士の3位一体で思考停止しているように思います。また、社団法人の社員であるということ(運営の意思決定に参加できることと)、経済上の待遇(対局料、月給の有無、厚生年金への加入)は連携させる必然性は全くないはずです。将棋連盟が「将棋の普及」を例え建前だけでもそのミッションに掲げるなら棋士以外の正会員がいてもよいはずですし、奨励会を卒業、即社団法人の社員というのは奇妙な制度です。将棋連盟が将棋のプロの互助組織であるなら、それでもよいのでしょうけど。
Posted by Beaver at 2007年03月25日 14:48
石橋メモが公開されて 女流棋士に対する連盟の対応の無能な経営が浮き彫りになって良かったとおもいます。男性棋士は将棋だけ指すだけで、何事考えずに理事を選らんできています 大山 二上 中原 等 無能な人達は女流棋士の厚生年金にも入って無いのは その証明でしょう。
 石橋メモを聞き方が悪いと公言した米長はその筆頭でしょう。あのメモを
読んでも 残留派が増えたのにショツクでした。中井さん や 石橋さんには女性棋士の 地位向上の大儀名分があります、頑張ってください。
Posted by 東海 at 2007年03月29日 20:17
daichan経由できました。皆さんの書いてるととおりかなり冷静で正確な分析のように思います。ということでちょっとということだけ一言。「将棋というゲームをする場合においては、人間の脳には性差があって、男性の方が優秀である」という結論が仮に受け入れられるならば、この問題はもっと簡単になるに違いない。というところですが脳に性差がある可能性は十分あると思っています。ただ、どちらが優秀か?という差ではなく、空間認識とか、情報処理とか、質の違いではないかと思っています。でー将棋で勝つ能力ではその性差のために男性の脳のほうが勝ちやすくできてる可能性があるかもしれません。もちろん将棋を指す人数とそれにかける時間をまったく同じにして数年間やってみないと傾向さえわからなかもしれませんが。
Posted by taga at 2007年04月06日 19:58
冷静でかなり正確な分析だと思います。
ひとつだけ気になる点が。「将棋というゲームをする場合においては、人間の脳には性差があって、男性の方が優秀である」という結論が仮に受け入れられるならば、この問題はもっと簡単になるに違いない。というところですが脳に性差がある可能性は高いと思っているんですが、その性差というのは優秀かどうかの差じゃなくて、空間認識の仕方とか、情報分析の仕方とか、質の違いではないかと思っています(今のところ)。でーその差のために少なくとも将棋においては男性のほうが勝ちやすい脳の働き方をしやすい可能性があるかもしれません。将棋を指す人数と将棋を指す時間を同じにして数年やってみると傾向がわかるかもしれません。
Posted by taga at 2007年04月06日 20:23
素晴らしく問題を分析した内容です。
現状のマスコミは要因を深く分析せず記事を垂れ流しています。
今後の将棋界を考えると、このような論評が広く世間に行き渡ることを願います。
Posted by 向井 at 2007年04月10日 01:50