2007年04月16日

将棋界の今後 その1「コンピュータ対竜王」

将棋界(特にプロ)の今後について、これから9回(予定)に渡ってざーーーっと書いてみます。これは先日アップした「将棋女流棋士の独立について思うこと(メモ書き)」の続編です。長いので読むのが大変な人向けに、べつやくメッソドを使った円グラフもつけておきます(^^。なお、適宜修正等入りますので、そこんところよろしく(笑)。


先日、渡辺竜王とボナンザの対決がネット中継された。この直後、渡辺竜王のブログへのアクセスが激増した(ボナンザ戦補足など。参照)ことからも、この対戦の注目度が非常に高かったことが窺われる。どっちが勝つのだろう、という野次馬から、「人間が負けたら将棋で飯が食っていけなくなるかも」と半ば生活がかかっている人まで、興味の持ち方は色々だったと思うが、とにかく多種多様な立場の人たちがそれぞれの目的でこの対戦の行方をチェックしていたようだ。人間対コンピュータの対決は今後数年、将棋界のメインコンテンツの一つとなっていくことが実証されたことになる。

さて、その注目の一戦、今回は人間の勝ちとなった。ネットでも中継された解説会では、解説の森内名人が思わず苦笑するようなシーンもあったが、後で渡辺竜王が検討したところによると、ボナンザにはそれほど大きなミスはなかったようである。結果として勝負は、あるひとつの手をコンピュータが軽視したことによって一気についてしまったのだが、それがなければ勝負の行方はまだまだわからなかったようだ。その局面だけ考えれば大差ではあるが、その局面の何手も前にボナンザはその局面を想定局面の一つとしてあげていたはずで、「こうなるのは歓迎」と考えていたはずである。その局面が不利と判定されているのであれば、そもそもその展開を選ばなかったはずであり、将棋は全く違ったものになっていたはずである。

重要なのは「どうして負けてしまったのか」という原因が明らかなこと。負けた原因がわかれば対策も可能である。棋士が自ら勝利に至った原因を分析し、公開しているのだから、プログラマー達がそれを参考にしないわけがない。そして、こうした一つ一つの事例が確実にコンピュータの強さにつながっていく。コンピュータが人類の最高を越えてしまうのは、もうすぐそこのことかもしれない。
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