2007年05月21日

アートで候。

bd1a4e56.JPGこのブログでも何度か取り上げている山口晃さんが上野の森美術館で会田誠さんと一緒に展覧会を開いている。今日がその初日だったのだけれど、早速見てきた。

僕が観るのはどうしても山口さんの作品がまず中心になってしまうので、まずはそちらについて。

90年代前半の、僕がまだ山口さんを知らない頃の作品があって、「なるほど、ルーツはこんな感じだったのね」という感想。エピソード1でアナキン君の子どもの頃を観たような、そんな印象である。それから1999〜2005年ぐらいまでの、僕が山口さんと一緒に仕事をしたあとの、どんどんメジャーへの階段を登っていくあたりの作品が色々と展示されていて、あぁ、懐かしいなぁ、と。

そして、新作。「絵はこんなに役に立つ」シリーズは我が家にも一枚欲しい連作。また、「置換性」というコラージュもなかなかシニカルで面白い。さらに、「解読」では五月女ケイ子さんのような、と言ってしまっては失礼なのかもしれないけれど、そういうテーストの一連の作品。

細かいところまでをじっくり観るのが山口作品の王道ではあるけれど、そういう繊細な一面とは別の、ちょっと抜けつつも斜めに世の中を見るような鋭さを持った作品もなかなか良い。

他にも山口さんらしからぬ(?)、現代アート的なアプローチの作品(NO.0,1,2,3,4とか)もあって、色々な角度からの山口晃を楽しめる展覧会になっている。

次に会田誠さん。会田誠さんと言えば「大山椒魚」に代表される非現実的な美少女画(僕はついついその画風から藤原カムイを連想しちゃうんだけれど)が有名だけれども、他の作品をじっくり見るのはこれが始めて。会田さんは持っている多様なアイデアをこれでもか、と色々と見せて、その反応を楽しんでいる様子。

一番面白かったのはギャラリーで展開されていた「風景の光学的記録におけるイコン化の確率に関する研究」というもの。仮説を立て、それを実行し、結論に至っているのだが、その結論がぶっ飛んでいて凄かった。ちなみに僕がこれを観ている最中、会田さんは自分でさらにこの研究に考察を書き加えていて(さっきまで別の場所に座って、ミヅマさんとおしゃべりしていたんだけれど)、「現代作家ってば、現場でこれをやっちゃうんだなぁー。「作品はアトリエで作られているんじゃない!展覧会会場で作られているんだ!」(織田裕二)って感じだなぁ」と思った。

ちなみに大山椒魚の他にもジューサーミキサーとか滝の絵(これは多分新作)とか、会田調の大作ももちろん展示されています。ジューサーミキサーは下の方の女の子の表情とかを見ると面白いです。グロいけど。

一通り観終わって、さて帰ろうと思ったら玄関のところに両手に色々な道具を手にした山口さんがいた。なので「お久しぶりです」と挨拶。これからまだまだ手を加える様子だったので、「作品が完成する頃にまたお邪魔します」と話して別れた。

そろそろ、一つ作品を頼もうかな?描いてもらいたいものがあるので。

アートで候。
会田誠 山口晃 展
2007.5.20〜6.19
上野の森美術館
入場料:一般1000円、大高生800円
公式ブログ
「会田誠・山口晃展」 オフィシャルブログ

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