2007年05月30日

明日(もう今日)、将棋の女流棋士新法人の設立総会

ちょっと前に女流棋士の独立についてのメモ書きをエントリーした。

将棋女流棋士の独立について思うこと(メモ書き)

この独立の話はその後紆余曲折合って、現在はこんな感じになっている。

新・女流棋士会“駒不足”…残留希望者増え、参加は17人ほど

この女流棋士独立についてはネット内でも情報が錯綜していて、一体どうなっているのかが良くわからない状態だった。内部につてがない人間にとっては日本将棋連盟米長会長をはじめとする関係者のウェブサイトでの情報だけが頼りだったのだが、なかなか真実が見えてこないところがあった。また、将棋関連の情報を発信する「週刊将棋」は日本将棋連盟が発行している機関紙で、一見新聞のような体裁は取っているものの、自分達に都合の悪いことは書かないという特徴がある。例えば以前、米長会長がソフトの著作権に関して訴えられたことがあったのだけれど、一般紙が普通に報道したのに週刊将棋には一切記事が掲載されなかったことがある。このときは直接編集部に電話してなぜ記事にしないのかを質問したのだが、「編集の方針」という主旨の返答だった。

このような情報不足な状況だったので、気持ち的に新法人を支援したくても実際にどうしたら良いのかはわからなかった。しかし、何はともあれ新しい法人は出航の準備を始めていて、いよいよ30日、設立総会が開かれる。

現時点での独立派は17人という少数になってしまったが、「安定」を捨ててこれから頑張って行こうと決意表明した女流棋士の人たちのマインドはベンチャーを起業しようというマインドに非常に近い。ベンチャーを支援してきた人間として、彼女達のことも応援したいと思う。

もちろん、ベンチャーにしても組織にしても、それを立ち上げること自体はそれほど難しいことではない。難しいのはそれをどうやって維持し、成長させていくかである。彼女達も、自分たちの組織を成長させていくために、今後は今までに比較して相当の努力を要求されると思う。それは将棋においてもだが、同時に組織の運営においても、である。結果として、本当は自分達が一番やりたいはずの将棋の時間は大きく削られてしまうことになるかもしれない。プロのレベルでは、将棋をする時間が削られてしまえば、当然一線で戦うのは厳しくなるはずである。

#しかし、それにしても経営と勝負は別物のはずである。Jリーグにしても、日本プロ野球機構にしても、プレイヤーと経営は別で、経営者達は良いコンテンツ(試合)を提供できるような環境整備に努め、同時にプレイヤーの代表と交渉して両者の利益の落としどころを見つけている。プレイヤーも基本は野球なりサッカーなりで良い結果が出るように努力していて、経営者とは組合などを通じて交渉している。将棋も本来はそうあるべきだと思うのだが、なぜか新法人も運営の中心になるのはプレイヤー(女流棋士)のようだ。個人的にはこのあたりにやや疑問が残らないでもない。

これからの苦労、特に好きな将棋をやる時間が削られてしまうという負担を想像すれば、約2/3の女流棋士が独立を断念して残留を表明したのも十分に理解できる。誰も彼もがベンチャーを起業できるわけではないし、新しい組織を立ち上げられるわけでもない。「私がやりたいのは将棋で、将棋が指せるならお金をもらえなくても、権利がなくても、別に構わない。組織を立ち上げる必要もない」というのももちろん一つの見識である。しかし、実際に組織が立ち上がり、その経営が安定してくればそこに移ってくる人もいるはずだ。「なぜ最初から一緒にやらないんだ」という意見もあるかもしれないが、これはもう人それぞれ。無理やり連れ出しても、そういう適性のない人は精神的にダウンしてしまう。この件に関して言えば独立派も残留派も、大多数の女流棋士が最終的に求めているものはほぼ共通のはず。問題はそれに至るプロセスである。難しい山に登ろうという共通の目的があるなら、最初に登る人は後から来る人のために登りやすい道を作ってあげれば良い。全員で困難に立ち向かえるのは理想だけれども、実現は困難だ。

また、所属組織は現在の首都圏の電車みたいなものだ。埼玉高速鉄道に乗っているつもりでいたらいつの間にか南北線になっていて、あれ?と思っていたら目黒線になっていた、なんていうのが首都圏の状態なのだけれど、同じように、別に同じ組織に所属していないからといって同じ土俵で戦えないというものでもないと思う。これまた正直なことを言えば、残留派と独立派のあいだにどういう理念の違いがあるのかが良くわからないのだが(つまり、両者を隔てているのが何なのかがわからない)、経営主体が違っていても同じレールの上を電車が走れるように、目指すものが違っていたとしても、将棋で勝負するということは同じはずである。

独立派の女流棋士達は、新法人設立にあたって1億円の資金を寄付によって集めようとしていた。彼女達が集めようとしていた1億円というのはベンチャー創業と比較するとかなり大掛かり(例えば僕が自分で創設したり、また発起人として中心的な役割を果たしてきている会社の規模は最大で資本金250万円)で、「そのお金をどうやって使うのですか?」という疑問がまずあるし、また他にも「法人は財団ですか?社団ですか?株式会社ですか?LLPやLLCですか?それとも事業協同組合ですか?」「今年度の予算計画は?」「中期、長期の事業計画は?」などなど、実際の投資案件だとしたら色々と質問しちゃうところではあるのだが、そのあたりも彼女達は素人だろうから、もう目をつぶって「とにかく頑張れ」と言ってお金を寄付するしかない。投資じゃなくて寄付なのだから。ところがこの寄付というのが僕のような人間にとっては一番ネックだったりする。

お金というものは非常に大事なものだから、それを提供するにあたっては、当然ながら「何がリターンとして得られるのですか?」と考えてしまう。投資なら当然リターンが期待できるし、また経営に対して口をはさむことも可能である。なので、安心してお金を出すことができるのだが、寄付となると印象は随分と変わってくる。「このご恩はきっと忘れません」と言われても、なかなか「そうですか」という気分にはなれないというのが正直なところではある。商売人の端くれとしては、やはりお金をもらうなら相応のサービスを提供すべきだと思うし、もらう側の視線は常にお客様を満足させるためにはどうしたら良いか、という一点にあるべきだと思う。

しかし、そうは言っても、先立つものがなければどうしようもない。設立当初は支援する人とサービスを受ける人が一致しないのも仕方がないかも知れない。

とりあえず、僕は飲み会を数回我慢することにして、浮いたお金を寄付してみた。少額ではあるけれど、このお金が捨て金とならず、新しい将棋界の発展の役に立てば良いなぁ、と思うことにしてみた。50年ぐらい経ったときに、「あのとき、独立のために頑張った人たちはきっと楽しかったんだろうね」とうらやましがられるような将棋界だったら良いなぁ、と思う。あ、でもあと10年ぐらいしたらコンピューターの方が人間より強くなっているだろうけど(笑)

ということで、ここまで読んだ皆さんも寄付をどうぞ(笑)

女流棋士新法人 女流将棋協会(仮称)設立にむけてご寄付のお願い

と、言って終わってしまえれば何の問題もないのだけれど、正直、自分が「うーーーむ」と思うことを他人に勧めるのもどうかと思う。

あ、いやもちろん「よし、寄付しちゃうぞ!」と思った人はどんどん寄付しちゃってください(笑)

そこで、寄付しやすい方法をちょっと考えてみた。我が家に眠っているたくさんの将棋関連の本。これを発掘してきて、ヤフオクで売って、その売上を新法人に寄付しようと思う。ちょっと今うちの会社が決算で忙しくて(それでこんな時間まで起きているわけですが(^^;)なかなか時間が取れないのだけれど、近日中に出品しようと思う。その時はまたブログで告知するので、みなさん入札よろしくお願いいたします(笑)。ちゃんと全額寄付します。

#個人的なアイデアだが、この手の本は結構将棋ファンの家に転がっていると思う。これをごっそり新法人で集めて、片っ端からヤフオクや将棋イベントで売って、それを運営資金にあてるなんていうこともありだと思う。近所にはその本を書いた棋士本人もいるんだろうから、それを持って行って、「こういう主旨なんです。サインしてください!!」とお願いして商品の付加価値を高めるという手も考えられる。男性棋士達が本気で女流の新法人を応援しているのなら、この位の協力は全然苦にならないはず。集めた古本のうち、一番状態の良いものは新法人でキープしておいて、将棋図書館を作ってみるとかね。

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敢えて言いますが、独立派の皆さま、 新たな旅立ちの日を無事迎えられ、本当におめでとうございます。{/hakushu/} 日本女子プロ将棋協会、ですか。 《女子プロ{/atten/}》、というネーミングに、気合が篭っていますね。 3つの“わ”も、ひまわり、も、樋口久子さんの祝...
祝、日本女子プロ将棋協会設立!【即席の足跡《CURIO DAYS》】at 2007年05月31日 23:39