2007年10月12日

サウスバウンド

8aa516c4.JPG小説が非常に面白かったので、映画も観てみた。

小説の評価はこちら

完全な二部構成でそれぞれに密度のある原作をどうやって料理するのかと興味津々だったのだけれど、思ったとおり消化不良。消化不良なんだけど、それなりに楽しめちゃうのはやはり原作にパワーがあるからだと思う。

完全に削除されてしまった重要なキャラもあったし、一郎と先生の名シーンもずいぶん簡略化されて、政治的な部分がものすごく薄味になっていたのが非常に残念。書評では名台詞を書き出したのだけれど、残っていたのは一つだけだったんじゃないかなぁ。あと、さくらの存在感を増すようにしたつもりなのか、沖縄に行くきっかけとかが原作と変わっていて、これもかなり残念。おかげでさくらが一郎のファンである部分が随分と軽くなってしまった。

登場人物の中で原作よりも重みが増したのはさくらと洋子だけかなぁ。

映画になって良かったな、と思ったのは西表の景色を観ることが出来た点。これは小説ではどうしたって伝わらない。なんで沖縄かって、多分作者の奥田さんが「沖縄旅行したいナー、なんとか沖縄に話を持っていけないかなー。そうしたら取材ってことで経費で落ちるなー」みたいな理由なんだと思うんだけど(笑)、まぁとにかくその沖縄の景色を観ることができたのはナイス。那覇には行った事があるけれど、さすがに西表はないからなぁ。

僕が好きな場面、台詞はどこもかしこもオブラートに包んだようになってしまっていたし、現地の人を使ったせいか、どうも演技が下手だったりと、色々難点はあるんです。でも、そういったものを全て棚上げにしても良いかな、とも思います。トータルで評価すると、☆2つかなぁ。満足はしたんだけど。

あ、原作の方が全然面白いから、映画を観たら、是非原作もどうぞ。っていうか、この映画の場合は原作が先の方が良いかもしれない。

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