2007年11月01日

パンズ・ラビリンス

f1c538e0.JPGゲリラによる内戦が続くスペインを舞台に、魔法の王国のプリンセスの生まれ変わりの少女が、人間世界から魔法の王国へ戻るまでの物語。

王国に戻るためには3つの試練を乗り越える必要があったのだけれど、2つめの試練であっさり失敗。どうして失敗してしまったのか、そのあたりが良くわからなかったのだけれど、あっさり失敗してしまうので「ありゃりゃ」という感じ。どうするのかなぁ、と思ったら、「最後のチャンスをあげましょう」と助け舟を出されて・・・・。

「パンズ・ラビリンス」という題名だけど、ラビリンス自体はそれほど存在感がない。特撮は特に押し付けがましいところがなく、自然。メインのストーリーは少女が困難を乗り越えていくというものだけれど、それ自体は非常にあっさりとした扱い。試練はとりあえず2つと、おまけで特別な試練が描かれているのだけれど、最初の2つはどうってことないし、最後の試練も大したひねりはない。なので、冒険がメインディッシュの映画ではない。

では何を描いているかって、内戦の残虐さ、冷酷さをしつこく扱っていて、人間世界と魔法世界を対比させている(といっても、魔法の世界は大して描かれていないのだけれど)。結果として、家族を捨ててでも魔法の世界に戻ろうとする少女の感情を違和感なく見せている。普通の映画なら「魔法の世界も良いけど、でも現実の世界とのしがらみもあって、どうしよう」と逡巡しそうなものなのだけれど、主人公にはほとんど迷いがない。そして、見ている観客も、「それで良いんじゃないの?」と感じると思う。だからハッピーエンド。ハッピーエンドだけれど、それによって捨てられてしまったのは今僕たちが生きている現実世界なので、それはそれでちょっと複雑な思いである。

この映画で一番印象的なのは音楽。それから、オフェリア役のイバナ・バケロと、それを周囲でしっかりと支えるセルジ・ロペス、マリベル・ベルドゥ、アリアドナ・ヒルといった役者たちが芸達者。こういう映画を見ていると邦画の俳優たちの下手糞っぷりが良くわかる。

ハリー・ポッターとか、ナルニア国物語とか、とにかく主人公たちが活躍しまくるファンタジーが山ほどあって、そのどれもが「どうでも良いけど、いつまで戦ってるんですか?詰まんないんですが」という感じなんですが(いや、ロード・オブ・ザ・リング三部作は面白かったけど)、この映画はそういう映画ではないんですね。血筋が良いだけで大活躍するハリーとは一味違うわけです。重要なのは、メインディッシュ(戦闘とか魔法とか)じゃなくて、主人公の行動の理由なんじゃないかな、と。活躍シーンを延々と見せられるよりも、そのあたりはちょっとあっさり目で済ませておいて、その周辺をしっかり描いてくれた方が面白い、と、そんなところに気づかせてくれた映画。

ラスト、現実の世界では「幼い子供が非業の死を遂げる」という悲劇なのだけれど、「実は」という部分で、死に対する救いを表現しているのかなぁ、と思わないでもない。

評価は☆2つ半。

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