2008年04月16日

それでもボクはやってない

それでもボクはやってない スタンダード・エディションフジテレビさん、ごめんなさい。

僕はこれまでテレビ局がかんだ映画は全部ツマラナイと断じていたのですが、この映画は凄く面白かったです。

久しぶりに見た、「いかにもありそうな話」。そして、最後の最後まで、それが貫かれているのが良い。しかし、あまり詳しく書いてしまうとネタバレになってしまうので、そのあたりは触れずに。

映画は痴漢で逮捕された容疑者の第一審が結審するまでを描いたもの。普通の人が経験する機会がない話なんだけれど、いかにもありそうな話だから怖い。きっと刑事もあんな感じだろうし、検察もあんな感じだろうし、裁判官もあんな感じなんだろうと思う。裁判官が変わると審議もガラッと変わっちゃうというのもあの通りなんだろうな。

まぁ、彼らは現行犯逮捕された容疑者に対して「絶対に騙されないぞ」と考えてことにあたっているからそんなものだろう。いや、これはもちろん想像ではあるのだけれど。犯罪はきちんと裁かれなくてはならないけれど、冤罪はあっては困る。

人を裁くというのは、「法律」という人間が作った文書に沿って、人間が主観で判断すること。そこには「絶対の正解」が存在しない。有罪なのか無罪なのか、有罪なら量刑はどの程度なのか、人間が決める以上、どうしてもブレが生じる。そのあたりが社会ドラマに対して格好の素材を与えているので、これまでも裁判ものにはいくつかの名作映画、名作ドラマがあった。そして、この映画も多分そういった名作の一つに数えられると思う。

役者達の演技もなかなか味がある。主役の加瀬亮、弁護士の瀬戸朝香と役所広司、裁判官の正名僕蔵と小日向文世、容疑者の友達の山本耕史、容疑者の母親のもたいまさこ、どれもこれも、派手な動きがない分要求される演技をしっかりこなしている。特に主人公の加瀬亮は理不尽な扱いに対する心の動きを見事に演じていたと思う。登場人物は良い者、悪者がはっきりしているのだけれど、それぞれが見てすぐに「こいつは良い奴」「こいつは敵方」としっかりわかる。別にミステリーでもサスペンスでもないので、こうしたわかりやすさが良い。

え?この映画が日本アカデミー賞で最優秀作品賞じゃないの?え?最優秀は東京タワー?アホかと。観てないけど(笑)→東京タワー

いや、だって、これ以上面白い邦画を、僕はここ数年観てないもの。作品、監督、脚本、主演男優、助演女優ぐらいまではこれで決まりでしょう。

あぁ、面白かった。

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