2008年04月23日

どん底(二回目)

6927de15.jpg文化村でやっているケラの「どん底」、二回目を観てきた。

なるほど、一回目とこうも印象が変わる舞台も珍しい。印象が変わった理由は、

1.観た場所
一回目は三列目の一番はじっこ。今回は10列目の真ん中。前回は前過ぎて見切れちゃったところがあったり、手前にいる役者さんにどうしても目が行ってしまって、全体を把握できなかった。また、スピーカーのそばすぎて、音像が結びにくかったこともあるかもしれない。二回目のオープニングでは「こんなに色々音が盛り込まれていたんだ」と驚いた。

2.芝居の熟成度
もともとかなり熟成度は高かったのだが、やはりきちんと息が合ってきていた。プロデュース公演なので、そこはいつも一緒にやっている劇団公演とは違う。以前は微妙にちぐはぐなところがあった気がしたのだが、今回はそういったところがほとんど見受けられなかった。

3.観る側の熟成度
まだ、観る側のレベルはやる側のレベルに追いついていない。追いついていないのだが、それでも前回に比べるとはるかに良い。笑っていいところ、笑うべきところでそこそこ笑いが生じていた。前回は「え?この芝居で、ここで笑って良いの?」という手探り感が非常に強かったのだけれど、それが随分緩和されていた。

といったことろか。こうして最初に列挙した一回目と二回目の違いからも類推できると思うのだが、二回目の舞台は非常に出来が良かった。これまで僕が観た「どん底」では、トップに位置すると思う。途中で出てきて途中でいなくなってしまう段田安則の演技はいつもながらに安定していて素晴らしい。犬山イヌコが上手なのはもちろんだが、緒川たまき、荻野目慶子の姉妹も良い味を出していた。江口洋介を舞台で観たのは初めてかもしれないが、彼も丁寧な演技をしていたし、他の出演者達もあまり隙がない。

全体の構成がわかっていたので、途中に配置された伏線も良くわかった。一回目では良くわからなかった大家の死ぬシーンも、誰が殺したのかをチェックできた。

ラインティングを含めた舞台美術はさすがに文化村の公演。素晴らしかったと思う。

ということで、前回の評価は☆2つ半だったけれど、今回は☆3つ。これなら9000円でも惜しくない。27日まで。チケットはこちらでどうぞ。

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