2008年06月13日

ブログでバイオ 第44回 「バイオベンチャーって、最近どう?」

一応バイオベンチャーの専門家でもあるので、それなりに業界をウォッチしてはいるのだけれど、最近は倒産、もしくはそれに近いというネガティブ情報がちょぼちょぼ入ってくる。

まず、このブログでも随分前に取り上げたオキシジェニクス。状況証拠からやばいのかもね、と予想していたら、案の定経営破たんが伝えられた。その後もLTTバイオファーマの子会社のアスクレピオス社が丸紅を巻き込んだスキャンダルを展開したとか、表に出てきていることだけでもいくつかあるわけです。しかしまぁ、僕も色々な会社の内部情報をここでつまびらかにするほどの器量はないので、誰でも見えるところからの情報、ウェブサイトを一緒に眺めていきたいと思います。

まず、上でも取り上げた、LTTバイオファーマです。

株式会社LTTバイオファーマ

さすがは上場企業、なかなか立派なウェブサイトですね。色々みているとあちこちにPDFファイルへのリンクがあって、このあたりは僕の趣味とはちょっと異なるのですが、誰でも閲覧できる、行組が壊れず、誤解を招きにくいということで、公式文書はPDFにするのが流行なのかもしれません。って、それはさておき、ちょっと目を惹かれるのは「08.05.30 当社に対する訴訟の提起に関するお知らせ 」というニュースリリースです。例の詐欺事件の流れで告訴されちゃっているようです。まぁ、このあたりの判断は裁判所がすべきですから外野が口を挟んでも仕方ないですね。

で、告訴している会社が虎ノ門にあるわけですが、虎ノ門周りには色々なバイオベンチャー関係企業が結構あります。オキシジェニクスも虎ノ門パストラルにあったわけですが、そのすぐそばにあったのがロコモジェン。この会社は聖マリアンナ医科大学難病治療研究センターの中島利博部門長の研究成果をもとに、リウマチなどの治療を目指した大学発ベンチャーです。で、どうなっているのかなー、と思ってアクセスしてみると・・・・。

株式会社ロコモジェン

あれ?「事情により当サイトは閉鎖いたしました。」だそうです。事情ってなんだ?っていうか、この会社、まだちゃんと生きてるのか?潰れちゃったの?何が何だかわかりませんね(^^; ということで、ロコモジェンに投資していたはずの、日本のバイオ専門ベンチャーキャピタルの草分け、バイオテック・ヘルスケア・パートナーズのサイトを見てみましょう。

株式会社ビー・エイチ・ピー

あれ?会社名が変わってる。まぁそれは別に良いんですが、本社の場所が虎パスから馬喰町に移動したんですね。まぁ、それも別に良いんですが(笑)。さて、この会社のファンド、二号投資事業の方はデータがないんですが、一号投資事業の方はきちんとリストアップされています。

バイオテック・ヘルスケア一号投資事業有限責任組合

いやぁ、懐かしいですね。アドバンジェンなんていう社名も見えます。が、この会社は僕は利害関係者になりかねないのでノータッチ。あしからずご了承ください。さて、順番に見て行きましょう。メディシノバはもう公開企業ですから、株価を見れば会社の状況は一目瞭然。

メディシノバの株価(Yahoo!ファイナンス)

ほう、なるほど。一番高かったときで1500円で、今は500円ですか。これは別に悪くない数字ですね。もっと暴落しているバイオベンチャーはたくさんありますから。しかも、チャートを見る限り下げ止まってます。ま、本社は米国だし、どうでもいっか(笑)。

続いて、へぇー、上場できちゃうんだ、と結構驚かされた株式会社ジーエヌアイ。こちらも株価で見てみましょう。

株式会社ジーエヌアイの株価(Yahoo!ファイナンス)

なるほど、絶好調のときは160円近かった株価も最近は50円を切っていて、さらに下げ続けている様子。まぁ、こんなものですよね。物理的にこれ以上下げるのは難しいでしょうから、そろそろ下げ止まるんでしょう。時価総額32億円。従業員数25人で平均年収777万円っていうんだから、社員は結構恵まれてますね。どのくらい売上があるのかなー、と思って単独の決算推移を見てみると・・・・

株式会社ジーエヌアイ 単独決算推移(Yahoo!ファイナンス)

おお、売上は過去3期平均で約8,000万円ですね。え?8,000万円かぁ。うーーーん。で、経常損失が毎年拡大しています。まぁ、資本金が30億円近くありますからね。25人の人件費が年間3億円としても、10年はもつ勘定です。これじゃ、研究開発費は出ないけど。

それで、続いてアージェンスなんですが、この会社のことは正直良く知らないんです。

株式会社アージェンス

あれ?色々読んでいくと、ロコモジェンとそっくりですね。こういうときは「アージェンス ロコモジェン」のふたつでぐぐるのが常套手段です。で、検索結果から調べていくと、リウマチファンサイトというのがあって、その中でリウマチ研究の第一人者、聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター長西岡久寿樹教授のお話が載っています。そして、その中に次のような記述が。

第1世代の1950年代は痛み止め・鎮痛剤の時代だったわけです。70年代になって第2世代となり、リウマチのある部分を治療する薬が開発されるようになりました。2005年、第3世代のサイトカイン制御の研究が進みました。そして2010年に第4世代として、アージェンスの開発している抗Fas抗体に対する薬剤と、ロコモジェンが開発しているシノビオリンについての薬剤が出ればそれで終わりですよ。双六でいえばアガリです。これらのものは治験の段階が現在進行中ですから、2010年からの10年でリウマチは完全に普通の病気になると思います。


なるほど!アージェンスとロコモジェンはぱっと見同じ事をやっているようで、実際は違うんですね。個人的には薬剤開発のパイプラインは多い方が良いし、こんな感じならわざわざ二つに分ける必要もないんじゃないの?なんで同じ会社で開発しないの?などと思わないでもないですが、裏には色々大人の事情があるのでしょう。何はともあれ、2010年の「アガリ」を楽しみにしましょう。

さて、つづいて株式会社アンクスですね。この会社は筑波大学の大学発ベンチャーだったはずですが・・・あれ?サイトにアクセスできません。こういうときは例によってグーグル先生の出番ですが。

株式会社アンクスは営業を終了致しました。ご愛顧ありがとうございました。

だそうです。すばらしい。いや、これは嫌味でもなんでもなく。日本は駄目な会社をリビングデッド状態で休眠させるのが大好きですが、駄目なものは駄目。そんなものはさっさと潰しちゃった方が良いんです。きちんと整理したのは大したもの。

それで、投資先リスト最後は株式会社アールエフです。

株式会社アールエフ

なるほど、製品自体は面白いかもしれないし、そうでもないかもしれないんだけれど、これって、上場を目指しているベンチャーなのかなぁ?なんか、プライベートでもそこそこに儲かる中小企業って感じがしないでもないんだけど。ウェブサイトはなんか情報が散漫であんまり褒められたものじゃないけど、「これはひどい」っていうほどでもない。まぁ、頑張っていただきたい。

って、ビー・エイチ・ピー絡みの会社を見ていたら結構な分量になっちゃった。とりあえずこのくらいでやめておくけど、上場した会社もそうでない会社も、皆さんいろいろ大変そうです。

ということで、こんな記事に興味がある人にはこんな本もお勧めです。

サイエンス・ビジネスの挑戦 バイオ産業の失敗の本質を検証する
サイエンス・ビジネスの挑戦 バイオ産業の失敗の本質を検証する

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興味深く拝見しております『ブログでバイオ』、今回初めて参加させていただきます。 ポスドク問題にまつわる制度、教育面のディスカッションから、何故博士課程を選択せず企業を
ブログでバイオ 第45回『研究、ポスドク、情報発信』【株式会社バイオクオリ】at 2008年07月25日 10:35
この記事へのコメント
こんばんは.
ロコモジェンはつぶれちゃったんじゃないですかね.
それにしても,「事情により当サイトは閉鎖いたしました。」って訳の分からない表現をするんでしょう.
Posted by K_Tachibana at 2008年06月14日 21:04
>ロコモジェンはつぶれちゃったんじゃないですかね.

あー、いやいや、あくまでも、「誰でも見えるところからの情報」ですから(笑)。

そりゃ、内部情報をぶちまければロコモジェンは残った5億を投資家で分配して潰したのかも知れないし、オキシジェニクスも社員を全員クビにして、今月一杯で整理かも知れないし、まぁ、もごもごもご、という感じですが(^^;
Posted by buu* at 2008年06月15日 01:01
こんにちは。匿名ですみません。必ネタがネタなので出来ればご容赦下さいませ。

ロコモジェンが清算することは確か3月に日経BPがすっぱ抜いてたと思います。別にもごもごしなくても宜しいのでは?w
Posted by 匿名ですみません at 2008年07月04日 11:37
お、これですね。

http://innovation.nikkeibp.co.jp/etb/20080331-00.html
Posted by buu* at 2008年07月04日 11:58
ロコモジェンとかかわったことがありました。

中島とか言う、変な医者が研究室の雰囲気悪くしてたからねぇ。

当時から駄目だなとは思っていましたが、やはり。。。

かわいそうなのは社員ですね。
Posted by とくめい at 2010年03月09日 20:41
> かわいそうなのは社員ですね。

社員はかわいそうですが、それを含めてベンチャーですから。大事なのは、つぶれちゃった会社の社員がちゃんと次に行ける事です。路頭に迷ってしまうんじゃ困りものです。みんな、どうなったんですかね?
Posted by buu* at 2010年03月09日 20:54