2008年07月01日

イースタン・プロミス(EASTERN PROMISES)

91a0f350.jpgロンドンを舞台に、ロシアン・マフィアの抗争とそれに巻き込まれたロシア系助産婦を描いたクライム・ムービー。原題は「イースタン・プロミシーズ」で、「イースタン・プロミス」は英語がわからないイタイ日本人を量産する原因になる、間違ったもの。映画の中でも(違う単語だけど)「単数じゃなくて複数だ」という指摘があったのに(笑) どうして映画会社はこういう変な言葉にするのか謎。ちなみに「イースタン・プロミシーズ」は「東欧の契約」の意味で、つまりは「東欧が絡んだ人身売買契約」の意味。このあたりの映画を通じた問題提起は「ブラッド・ダイヤモンド」とも通じるところがある。

ドンと出来の悪い息子の葛藤、そしてその息子の右腕、みたいな設定がゴッドファーザーにかぶるのだけれど(ゴッド・ファーザーのソニーとマイケルは実の兄弟だけど)、劣化版という感じではなく、かなり面白かった。

詳細を書き始めるとネタバレになってしまい、ネタバレになると面白さが一気に失われてしまうので、ネタバレの感想は改行してから書きます。読む人は自己責任で。幻影師アイゼンハイムほどではないにしても、これから観たいと思っている人は読まない方が良いです。

結論だけ書いておくと、評価は☆3つです。アフター・スクールとかを観て「面白い!」と思った人はこういう映画を観て欲しい。個人的にはお子様ランチとディナーぐらいの質の違いがあると思う。








ロシアのマフィアのストーリーと、ロシア系の助産婦のストーリーが独立してスタートするのだけれど、前者は徐々にボスの駄目長男の運転手の話に収束していき、後者はマフィアの抗争に巻き込まれていく方向で話が拡大していく。そして、その二つが絡み合っていって、さらに、その運転手の謎が明かされて・・・・。キスシーンをクライマックスに絡んだそれぞれのストーリーがそれぞれの方向に拡散していくのがカリオストロの城のようで、非常に良く出来たストーリーだと思う。売春婦が捕まるエピソードとか、死体から見つかるメモとか、細かい伏線が色々はってあって、あとから思い出す楽しみも色々ある。

それに加えてホモっ気のある駄目息子のサイドストーリーなどが良い感じで絡んでくる。最初からあまりにも怪しい態度のボスとかはどうかと思うけれど、時々予告ナシに時間を遡ってしまうあたりでは脳みそを使わされて心地良い。何より、徐々に物語の骨格がはっきりしていく脚本が良い。

あと、マフィアを最後まで美化していないのが良い。主人公は自分がいる場所に一般人を巻き込むことを良しとしていない。アンナのおじさんのエピソードなどはラストに向けての伏線にしつつ、ストーリーにおいて無駄な犯罪を犯さない配慮がある。

主演のヴィゴ・モーテンセンは全裸での格闘シーンを熱演はもちろん、全編を通してクールなギャングを好演しているし、ナオミ・ワッツの普通の人っぷりも良いし、ヴァンサン・カッセルの駄目っぷり、屈折っぷりも良いし、人が良さそうに見えて一番の悪のアーミン・ミューラー=スタールも良い。

それにしても、ロシア訛りの英語に加えてロシア語もところどころで挿入されていたけれど、このあたりは英語の字幕がなかった。さすがにダスビダーニャとかスパシーバとかプリヴィエートあたりなら聞いていてもわかるけれど、ちょっと込み入ってくると良くわからない。英語圏の人はちゃんとわかるんですね。

音といえば、ボキっとか、ザクっといった効果音が結構耳に残る(^^; 無駄に銃を使わない、抑えた演出が逆に怖さ、不気味さを強調している。

いつの時代の話かな、と思っていたら、途中でDNA鑑定とか、FSBとかが出てくるので、設定は現代だった(笑)。

ちなみに、ラストシーンもちょっとゴッドファーザーっぽい。

今のところ、個人的に今年最も評価が高い映画。

イースタン・プロミス (ウィゴ・モーテンセン主演)

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