2008年07月02日

ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

21c1ee2e.jpgこの映画も宿題になっていたんだけど、なかなか観にいく機会がなくて、でもこのままじゃ上映終了しちゃう、ということで駆け込みで観てきました。

一代で財産を築き上げた石油王の生涯、という映画で、良くありそうなタイプ。ちょっと面白いのは、成功のために子供すらを捨てていく人間と、宗教家を対立させ、両者に対して皮肉を込めて描いている点。石油王も、宗教家も、結局は金のために動いているのだけれど、その対象が「石油」という目に見えるものなのか、それとも「信仰心」という目に見えないものなのか、の違いがあって、それゆえに屈折した衝突の仕方をする。最初は石油王が大勢の前で宗教家に恥をかかせ、続いて宗教家が石油王に対して信者の前で恥をかかせる(石油王の自尊心を傷つける)ことになるのだけれど、映画の最後ではどちらも共倒れ。人間万事塞翁が馬というところで、このあたりの流れも比較的良くあるタイプだと思う。どちらも切れやすいタイプの人間だったのが象徴的というか、監督の考え方を象徴しているような感じ。

金のため、石油のため、パイプラインのためなら大衆の前で信念を捻じ曲げて、ライバルに殴られても我慢する、というあたりもなかなか良いシーンだったし、その恨みを長年忘れずに、最後に爆発させるあたりの人間っぽさも面白かった。けど、ああやって切れちゃったら何もかもナシになっちゃうけど(;_;)石油王は常に孤独で、愛情を注ぐ相手を探していたわけだけど、息子に対しては愛情の表現の仕方が不器用でうまくいかず、弟には裏切られ、ということで、最後まで可哀想な立ち位置だった。成功のためには手段を選ばず、という感じではあったものの、大手の資本を相手に、自分を信じて成りあがっていく姿は結構共感するところがあった。

音楽、というか、効果音の使い方が印象的。非常に不快な「ぎいいいいいいいいい」という不協和音を使ってみたり、耳が聞こえない子供が主体になったときに音を消してみたり、といった感じで、映画ならではの手法を使っていた。

観終わったあとの印象がキューブリック作品に通じるところがあるようなところもある。あれ?これで終わっちゃうの?というのと、別に笑っちゃうような映画じゃないのに、でもなんかコメディっぽいような。

日本版でリメイクするなら是非宗教家の役は江原啓之さんで(笑)。

評価は☆2つ半。

この映画と、ノー・カントリーと、ジュノを観た人はこちらもどうぞ。



ゼア・ウィル・ビー・ブラッド

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●ゼア・ウィル・ビー・ブラッド/ポール・トーマス・アンダーソン監督(2008)
名作かと聞かれたらYESと答えざるを得ない【スムーズ】at 2008年07月04日 00:49