2008年08月22日

犯人に告ぐ

犯人に告ぐ
市ヶ尾、王禅寺、麻生、渋谷、新宿、みなとみらい・・・知っている場所が沢山出てきて、実名でそのまま利用されているので妙に親近感が沸いてしまうこの作品。

さて、そんな作品なので、ちょっとだけ好意的なところから評価がスタートするのだけれど、内容的にはかなり平板だったと思う。なぜそうなってしまうのかといえば、本線となるはずの犯人の動機が不鮮明で、掘り下げられた部分が全然ないからだ。おかげで、映画を観ている我々はテレビのワイドショウで事件の概要を聞いているような感じになってしまう。当然ながら警察の捜査の描写も表層的なものに終始してしまい、犯人と警察との闘いという部分がほとんど描かれていない。そして、主人公がテレビを利用して犯人にアプローチする部分ばかりがクローズアップされ、「テレビってすげぇ」と思わせるのが目的なのかしら、と勘繰ってしまうようなものになってしまっている。また、横軸になっているテレビ局のスクープ合戦、および警察組織内での足の引っ張り合いなどもなんとも表層的で、原作モノの映画化の難しいところが顕在化してしまった印象を受ける。

原作を読んでいないので、映画化がどの程度うまくいっているのかは良くわからないのだけれど、この程度のストーリーでこのミスの8位になるとも思えないから、恐らくは原作と出演者のバリューにおんぶにだっこの、最も邦画にありがちな駄目脚本駄目監督作品という感じなのだろうと推測する。

その駄目監督はどんなのを撮っているのだろうと思って調べてみたら、「樹の海」(2004)だけみたいなんだけれど、未見。もうすぐ「イキガミ」が公開されるようだが、これを観に行くかどうかは正直微妙。

じゃぁ、駄目脚本の方はどうなのよ、と思って調べてみたら、「LIMIT OF LOVE 海猿」(2005)と「HERO」(2007)の2作品で、タイトルを見るだけで「これはつまらなそうだ」と思ってしまう。でもまぁ、過去は過去で良いとして、気になるのは今後公開の作品。一つ目は「容疑者Xの献身」(2008)で、これはいわずと知れた、東野圭吾の直木賞受賞作の映画化。正直ちょっと期待しちゃおうかな、と思っていたのだけれど、考えてみたらこれは福山雅治と柴咲コウによる駄目テレビドラマの映画化だから全く期待が出来ない。というか、脚本以前に日本を代表する駄目女優柴咲コウ出演というだけでアウツ。もう一つは「20世紀少年」(2008)なのだが、こちらは難解な原作漫画をどうやって仕上げるのか、お手並み拝見というか、実際は「どうせつまらなくなっちゃうんだろうな」と思っているのだけれど、まぁ、色眼鏡で見るのはやめておこう。

と、折角面白い(はずの)原作を監督と脚本家が駄目にしてしまったと思われる本作だけれど、豊川悦司、小澤征悦あたりの演技はなかなかに出色で、特に小澤征悦は石破茂前防衛大臣を髣髴とさせるような怪演が光っていたと思う。

細かいところで指摘すると、トラウマとなった昔の事件の場面で、みなとみらいでナンパされる母親があまりにもおばさんで、「新世紀を迎えようとしているみなとみらいで、この辛気臭いおばさんをナンパする20代前半の若者って一体どんだけ目が悪いのよ」と思ってしまうのだが、そこはもしかしたら突っ込むところではないのかも知れない。また、過去の事件は、それはそれであっさりと解決してしまって拍子抜け。監督・脚本家としては「これで観た人もすっきりしたに違いない」ってことなのかもしれず、それはごもっともだけれど、僕の考えは違う。

原作はきっとかなり面白いんだろうと思うのだけれど、イマイチな映画を先に観てしまったので、もう本を読む気にはならない(笑)。評価は☆1つ。

と、ここまで評価を書いておいて気がついたけれど、冒頭のDVDジャケットはアフィリエイトリンクになっている。僕のレビューを読んで「これは面白そうだ!!」と思った人は、是非上のリンクからアマゾンにアクセスしてビデオを買って欲しい。でも、常識的に考えて、このレビューを読んでDVDを買う人はいないよな。なんか、アフィリエイトの限界を感じる。

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