2008年08月24日

オリンピックの野球についての所感

期待された野球だけれど、結果を見ればメダルなし。まじめに野球をやっている国はかなり少ないわけで、その中で上位4チームに入るのは当たり前といえば当たり前の状況。そして、その4チームに対して全敗というのだから、4位は至極妥当な結果である。

星野監督はストライクゾーンを敗因の一つとして挙げているようだ。

星野監督「申し訳ない気持ちでいっぱい」
野球日本代表・3位決定戦後公式会見


これはごもっともだが、僕の考えは違う。

まず、選手の選び方。名前を優先して選んでしまったところはなかったのか。例えば森野。中日ファンの僕は彼の良さを良く知っているが、今回の選出は意外だった。なぜなら、故障明けで調整に不安があったからだ。確かにどのポジションもこなせるという使い勝手の良さはあったと思う。しかし、あまりにも不確定要素が大きい。あるいは田中。7月半ばに肩の痛みを訴えていて、万全とは言えない状況だった。他にも、故障持ち、あるいは故障明けて間もない選手が少なくなかった。加えて、中日ファンから見ても今シーズンは調子が悪い川上、岩瀬、荒木といった選手を選んだのも良くわからない。もし中日から今選手を連れて行くのであれば、山本昌、井端あたりだと思う。上原の選出にもかなり疑問が残ったが、上原は活躍していたと思うので、数少ない成功事例かもしれない。特に投手に対する「剛速球信仰」はどうだったのか。藤川が良い投手なのは間違いないが、オールスターの選出とは違う。今シーズンの実績を考えれば下柳などの選出があっても良かったはずだ。

続いてピッチャーの使い方。なぜあんなに猫の目のように交代したのかがわからない。ピッチャーは投げてみなければわからないことが結構ある。ブルペンで調子が良くても、マウンドに上がってみたら別人のよう、ということも、星野監督、大野コーチは山ほど見てきているはずだ。それなら、調子の良いピッチャーはそのまま投げさせても良かったと思う。これは、和田を引っ張りすぎて同点ホームランを浴びてしまった予選リーグの韓国戦が良くなかったのかもしれない。おかげでベンチがマウンドにいるピッチャーを信用せず、ブルペンにいるピッチャーを信用するようになってしまったのかもしれない。

加えて、個人の責任を追及するのはどうかと思うが、やはりGG佐藤の不安定な守備。彼のエラーはここ一番でことごとく相手の得点につながってしまった。まさに「記憶に残るエラー」である。こうなってしまったのは、エラーのランナーをホームインさせてしまったピッチャーの責任と言う考え方もあるだろうが、それにしてもいただけない。慣れないポジションを守っていたというのも一つの理由かも知れないが、それならなぜそんな起用をしなくてはならないような選手選択をしたのか、ということになってしまう。

そして、最後に、機動力を活かせなかったこと。盗塁やバントによって一つ先を目指す野球をすっかり忘れてしまった印象がある。

打線は水ものだから、打てなくても仕方がない。長打が少なかったことは間違いないが、それもある程度は諦めがつく。しかし、守備力とか、機動力には好不調があまりないはずだし、投手力も本当ならある程度は計算ができたはずだ。

正直、4位というのは意外な結果ではない。何のしがらみもなく、今回のメンバーを選んだというのであれば、やはり一番悪いのは監督ということになるだろう。

星野監督は「日本の野球はこんなものじゃない」と言っているが、「こんなもんだ」というところから考え直すべきだと思う。

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