2008年10月01日

おくりびと

1ba5fe12.jpg映画の日ということで、何を見ようかなー、あんまり客が入っていなさそうなのが良いなー、と思い、地味目のこの映画を選択。そうしたら、暇そうなおば様たちがわんさと詰め掛けていて、ほとんど満席。シネプレックスにこんなに人がいるのをはじめて見た。こういう状況を見ると、高速道路というのは無料化すると全く高速道路としての役に立たなくなる(特に首都高)んじゃないかと思うし、「おば様たちはどうせ毎週水曜日に1000円で見ることができるんだから、せめて毎月1日ぐらいは、見に来るのをやめてくださいよ」と思わないでもない。

と、暇ねたはこの辺にして、映画の評価です。例によって結論から書くと、この映画は二つの点を除いてとても良くできていたと思う。

まず一つ目はキャスティング。おおよそほとんどの部分では難はないのだけれど、唯一にして最も目立つところ、すなわち、主人公の嫁さん役の広末だけはいただけない。この役者さん、別に嫌いじゃないし、バブルへGO!!とかでは非常に良い味を出していたと思うんだけれど、何しろ根が大根だから、まじめな映画に全然フィットしない。どのシーンを見ていても「あぁ、下手だなぁ」と思ってしまう。特に、周りを固めている役者たちがどれもこれもみなそれなりに芸達者なものだから、それが凄く目立ってしまう。このキャスティング、なんとかならかったものか。残念だけど、これだけで☆がひとつ減ってしまう。

二つ目が、納棺師という仕事を映画の中の登場人物たちがものすごく忌避していること。これに違和感がある。誰かがやらなくちゃいけない仕事だし、別に後ろめたいところがあるわけでもない。誰もがやりたがる仕事ではないと思うのだけれど、あそこまで嫌がらなくても、と思う。町中でうわさになってしまったり、嫁さんが実家に帰ってしまったりするようなことだろうか。一般の認識と実際の仕事のずれ。このあたりを強調したかったのだろうけれど、ちょっと過剰だったような気がする。

と、こういったところにはちょっと違和感があって、ストレートに「凄く面白かった!」と表明できない。ほかにも、家出した嫁さんがどうして帰ってきたのかとか、嫁さんの妊娠が発覚するタイミングが遅すぎやしないかとか、山崎努は納棺師でも詐欺師の親玉でもいつも何か食ってるな、とか、失業するにしてはイヤにチェロが上手すぎやしないかとか、山形の冬ってそんなに短いのかとか、納棺するのは女性ばかりで、あんまり男が出てこないなとか、その納棺に親戚でもないお前がなぜいる!とか、細かいところで気になることは確かにある。でもまぁ、瑣末なところ。

映画のつくりからすると、まず最初の納棺シーンをきちんと描くことによって、それ以降の納棺シーンを詳細に描かずに済ませることを可能にしている。「あぁ、ここではこういうことをやっているんだな」「今はこれをやっているんだな」ということを、観る側にきちんと了解させて、以後のシーンでそれを省くことに成功している。映画としては良くある手法ではあるものの、それが功を奏していて、映画が冗長になることを防いでいる。そうした上で、あまった時間を主人公の心理描写に費やしているため、主人公の心の動きが良くわかるつくりになっている。このあたり、脚本が良くできていると思う。蛇足だが、その冒頭のシーンでも、変に暗くならないような仕掛けがあるところがまた良い。

ストーリー展開にはご都合主義なところ、強引なところも散見されるが、嫁さんが主人公の仕事を理解していくあたりも一応理屈が通っている。個人的にはラストシーンは親と子の理解みたいなところではなく、たとえばチキンを3人で頬張っているところにして欲しかった。「さぁ、いろいろあったけれど、明日からも納棺がんばるぞ!」みたいな。

評価は☆2つ。

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