2009年01月04日

完全恋愛

完全恋愛書店に行ってずらーっと並んでいると買いたくなくなる。なぜなら、「そのうちブックオフに大量出品されるよな」とか思っちゃうからだ。かといって、ブックオフで買うわけではなく、結局アマゾンで買うんだけれど。

一方で、このミスとかで上位にランキングされているのに、本屋ではなかなか見つからない本というのもある。ま、これもそのうち増刷りがすんで並び始めるわけだけど、どうしてもタイムラグが生じちゃう。去年、こういう本だったのが「赤朽葉家の伝説」だったわけだけど、それがあたりだったので、今年はこれを読んでみた。

3つの事件の謎をそれぞれ解くという横軸、幼い頃からの恋愛を縦軸に設定した、いわば中篇推理小説と長編恋愛小説といった構成。恋愛小説のほうは途中で配置された伏線がわかりやすくて、多分この手の本を読みなれている人ならすぐに違和感を持ってしまうようなもの。でもまぁ、それが引っかかりつつも、どうやって最後に風呂敷を畳むんだろう、と思っていたら、あんまり予想できないネタを含めつつ、見事に収束させたのが素晴らしい。

3つの事件については、一つ目の事件は東野圭吾が似たような奴を書いていたよなーと思うし、二つ目の事件は画伯の行動がちょっとどうなの、と思うし、三つ目の事件はこれまたちょっとどこかで見たことのあるトリックのような気がしたのだけれど、説得力はあったと思う。

何しろ縦軸の恋愛が強烈で、それが全ての事件をつないでいく牽引力となって全体を支えているわけだけれど、最後にそれがしっかりまとまる点を評価したい。

画伯の一代記という点では昭和史を展開した「赤朽葉家の伝説」に似たようなところもあるのだけれど、赤朽葉家の伝説が伝聞ベースというか、資料ベースで記述されている気配があったのに対し、こちらはきちんと生で見聞きしてきたものを配置している感じで、リアリティがあった。いや、そんなに詳しく書かれているわけではないのだけれど。

全体のバランスが非常に良く、一気に読ませる。僕も2日で読んじゃった。お正月にお勧め。って、もう三が日は終わったけどね。☆2つ半。

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