最近ときどき見かける南の島を舞台にした映画。縦糸に恋愛、横糸に沖縄の離島のリゾート開発を配置した、ありがちな設定。ちょっと思い返してみても、「サウス・バウンド」「ニライカナイからの手紙」あたりが類似作として思い当たるわけで、それなりに新しい何かがないと「またか」ということになってしまう。特に島の開発話は非常に陳腐なテーマで、そもそも今の日本では開発話なんてすっかり昔話になってしまっているので、新味がない。背景となる沖縄の民族性のようなものもやや使い古された感がある。ということで、この映画を取り巻く環境というのは非常に厳しく、「良くこの企画が通ったな」と思わざるを得ない。さて、では作品としてどうだったのか。
設定が陳腐で使い古されたものだから、必然的に「恋愛話の方は?」ということになるのだけれど、まず「嫁に来ないか」と書かれた絵馬を見て女性が押しかけてくるあたりが大分現実離れしている。その現実離れした設定の裏に何があるのかな、と期待して最後まで見る羽目になるのだけれど、その「現実離れ」の種明かしがまたまた現実離れしている。「お前、『偶然見つけた』で済ますのか!!」みたいな。いや、もちろん、そういうことってこれまでの映画でも色々あったとは思う。たとえば、どこぞのお転婆な王女様が実は田舎の農場で働いている主人公の双子の妹で、しかも敵のボスは父親だったとか、お前ら「昔々、はるか銀河の彼方で」とか言いながらいやに狭い世界の話をしているな、みたいな。主要登場人物の3人が家族かよ!みたいな。でも、SF映画の中のご都合主義と、恋愛映画の中のご都合主義は随分と趣が異なるし、受け入れやすさも段違いである。結果として、「この不自然な設定の理由は?」に対しての明快な回答は得られるのだけれど、同時に「このあまりにもご都合主義な偶然をどうしてくれる」という不満が発生してしまう。そして、さらにラストでは「これでもか!!」というくらいに偶然が起きる。先の例で言えば「いや、実は頼りになる海賊とその仲間の大猿もみんな兄弟でした!」みたいな感じである。
「えーーーー、それはない!!!!」
大体、上の星間戦争の場合は双子の兄妹はその事実を知らなかったんだから仕方ないけれど、この映画では片方はすべてを承知していたわけだ。それならびっくり箱みたいなことをせず、最初から種明かしをするのが当たり前。「実はこういうわけで来てみました」となるはず。それで、その事実以外にも色々ある大切なこと(ネタばれになるから書きませんが)をきちんと知らせるはずだ。
これ、映像がどうとか、役者がどうとか、演出がどうとか、そういう以前にストーリーが全く駄目駄目である。
青い海、青い空、緑の木、そういったものがあまり出てこないあたりは沖縄におんぶにだっこという感じではなく、そのあたりは好感が持てるのだが。あと、役者さんたちは結構頑張っていたと思う。
評価は☆1つ。