2009年03月08日

ジェネラル・ルージュの凱旋

aad97f21.jpgチーム・バチスタの栄光(映画)の出来がイマイチだったので、知識がないうちは「これは全く期待ができない」と思っていたのだけれど、速水の役を堺雅人がやるというのがわかった時点で突然期待値大幅アップしていた本作。とにかく小説の面白さは速水の魅力に尽きるわけで、その点、堺ならそれを十分に演じてくれそうだと思っていた。

ということで、他にも見たい映画がある中、まずこの本作を観て来たのだけれど、予想通り、堺雅人の速水はなかなかに見事だった。欲を言えばもうちょっと上手に演出すればもっと良かった(若干、シャープさに欠けた)と思うのだけれど、映画としては十分に楽しめた。キャストで言えば他にも羽田美智子、貫地谷しほりあたりを加え、前作から引き続きの阿部寛など、役者的に結構頑張っている。贅沢を言えばやはり主人公は男性キャラクターであって欲しかった。

原作にはないエピソードを加えて盛り上がりに欠ける部分を補足したり、あるいは分量が少なかった場面をたっぷり増量していたりしていて、映画化に際しての工夫も見られる。前作では何の意味もないソフトボールや歌の追加があって原作を台無しにしていたけれど、近作はその点比較的まとも。ミズノのスポンサー料が欲しかったのか、相変わらずソフトボールの不要なシーンはあったものの、許せる範囲。その不要なシーンで、試合の途中に相手チームの名前に気が付くといったいかにもスポンサーに配慮した結果みたいなことが展開されたりするのはいかがなものかと思うのだけれど、不況の映画業界では仕方がないところか。いや、でも、このつまらないシーンを削除し、それに合わせて脚本を再編集したらさらに完成度の高いものになったはずだ。他にも、大忙しの中、大挙してヘリコプターの着陸を見に行ったり、あれれれれ?と思うシーンがなかったわけではなく、その意味不明っぷりが気になったのは確かだが、そうしたマイナス面をカバーできるだけの役者陣の力があったと思う。

扉の中に何があるのかとか、速水が大好きなチュッパチャップスとか、色々な伏線もきちんとわかりやすく回収されていて良かった。加えて、ちょっとした軽い笑いがあちらこちらに配置されていて、肩が凝らない内容になっている。ミステリー部分についてはそれほど重く扱われているわけではないので、そちらについてはノータッチ。バチスタではAi(オートプシー・イメージング)を扱ったが、本作では救急医療と大病院の経営合理化の問題にスポットを当てたいというのが原作者の意図であり、そのあたりはやや解説過多で、ハッピーフライトのような印象もなきにしもあらずではあったものの、決して嫌味ではなかった。

そして「これで一件落着か」と思ったところからのラスト。原作では非常に軽く記述され、「個人的な感想を書けば最後のエピソードは大分駆け足で、もうちょっとしっかり書き込んだほうが良かったのではないかな、などと思う」という印象を持った部分がしっかりと描かれていた。この二段落ち構成はエンターテイメントとして見事。

一方で、本作で一番いただけないなぁと思ったのはラス前ぐらいの堺と羽田のシーン。テレビ放映の画面サイズを意識したのか、映画の画面なのに不自然に密着した二人の姿は違和感がありまくり。このあたりにテレビ局主導の映画の限界を感じさせてしまうのがなんとも残念な感じ。この残念具合が一番最後に印象的に残ってしまい、その分☆ひとつ分だけ評価をマイナス。それまでは☆2つ半か、あるいは☆3つの勢いだったので残念。

ガリレオシリーズでも同様なのだけれど、主人公の二人は存在感がなければないほど良い作品になりそうな傾向がある本シリーズ、実際、竹内、阿部の二人はそれほど前面に出ておらず、結果、堺雅人の存在感が光る良作となったと思う。評価は☆2つと言いたいところだけれど、堺の好演に☆半分プラスして2つ半。

なお、堺雅人はまにあな優秀助演(主演?)男優賞ノミネート決定。

関係作品の過去の評価
ジェネラル・ルージュの凱旋(本)☆☆

チーム・バチスタの栄光(映画)☆★

チーム・バチスタの栄光(本)☆☆★

昨年度まにあな映画賞受賞作はこちら
映画2008総まとめ(確定版)

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□作品オフィシャルサイト 「ジェネラル・ルージュの凱旋」□監督・脚本 中村義洋□脚本 斉藤ひろし □原作 海堂尊 □キャスト 竹内結子、阿部 寛、堺 雅人、羽田美智子、山本太郎、高嶋政伸、貫地谷しほり、尾美としのり、野際陽子、平泉成、國村 隼、林 泰文、佐野史...
『ジェネラル・ルージュの凱旋』【京の昼寝〜♪】at 2009年03月12日 12:39