2009年03月22日

厭魅の如き憑くもの

厭魅の如き憑くもの (ミステリー・リーグ)

読書ストッパーなるものが世の中にはあって、それはとにかく読むのに時間がかかる本。で、この本は僕にとっては間違いなくその一冊。読み終わるのに一体どれだけかかったんだろう。

別に、つまらないわけじゃない。というか、むしろ面白い。独特の世界を構築していて、それが決して不快じゃない。昔で言えば横溝正史的な世界。

では、何がつらいか。まず、名前。そこそこに多い登場人物のうち、主要な双子が同じ読みだったりする。叉霧、捺霧、早霧、嵯霧、小霧、紗霧と、6人の「さぎり」が出てくる。これ、文字を形として捉えるならそれほど苦痛じゃないかもしれないのだけれど、音としてとらえると全部一緒。その区別をつけるのがとても難しい(少なくとも、僕にとっては)。とにかくこの名前に慣れるのが大変。次に地名。もう、見たこともないような漢字がずらずらと並ぶわけで、「こんな地名、ねぇよ」と突っ込みたくなる。その上で単語が難しい。読み仮名をつけてもらっても、すぐに忘れてしまうような難しい単語が連発される。「憑座」っていう単語が頻繁に出てくるんだけれど、これが「よりまし」だって、読める日本人はどのくらいいるのか。それで、僕とかは物覚えが悪いので、この単語が出てくるたびに29ページに戻って、その読み仮名を確認しなくちゃならない(笑)。これでは読むのが大変だ。いや、さすがに途中で覚えましたけどね、この形は「よりまし」だって。

そして、もうひとつ、読むのを難しくするのが、図面なしでの状況説明。これが非常に難しい。紙と鉛筆があって、本を読みながら図を描いていけば多分ちゃんと理解できるんだと思うのだけれど、もちろんそこまでの熱心さはないので、「えーーー、何がどうなっているの????」ということになってしまう。最初のうちはそのあたりを一所懸命検証しながら読んでいたんだけれど、あるとき、「これは読み飛ばすべき記述だ」という結論に達して、それからはスピードがアップした。スピードがアップすると、ストーリーは非常に面白い。

ということで、この本には単語帳(読み方、意味)と配置図が是非必要だと思う(系図は載ってた)。それがあれば随分と読みやすかったはずだ。

さて、肝心のストーリーだけれど、ホラーとミステリーをミックスしたような語り口で精緻な謎解きが展開される。伝説の名探偵が登場するわけでもなく、それでいて無理のない展開。謎解きの場面は非常に面白い。

最後、「作者はここまできちんと考えて書いていたんですよ」と言わんがばかりの解説が面白い。いや、そこまで注意して読めませんよ。っていうか、だから配置図を載せてくれなかったんですか?という感じ。このあたりは思わず苦笑いしてしまうところ。

時間のない人は、ざーーーーーっと最後まで読んで、雰囲気を楽しむべき。もうちょっと時間がある人は、ざーーーーーーっと最後まで読んで、もう一度最初から読んでみるのがお勧め。さらに時間があるなら、最初から紙と鉛筆を手にしてじっくり読むのが良い。最悪なのは最初からじっくり、しかし紙と鉛筆を持たずに読むこと。これをやっちゃうと、下手をしたら読み終わるのに一ヶ月以上かかっちゃいます。評価は☆2つ。再読すればもっと評価が上がりそうだけれど、ちょっと時間がないのでゴメンナサイ。

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