2009年05月08日

アイズ ワイド シャット

乱暴にまとめてしまうと「倦怠期のお金持ち夫婦がちょっとしたアクシデントに巻き込まれる話」ぐらいになってしまうのだけれど、それにしては妙に面白い映画だった。

冒頭の日常を描いたシーンから冴え渡るカメラワークで、夫婦の日常生活を端的かつするどく描いている。確かに生活していればなんでもない場面なんだけれど、それをきちんと切り取ってカメラに収めるのはなかなかに難しい。なぜそう思うのかと言えば、そういう映画をあまり観たことがないからだ。最初のパーティーのシーンも静かに淡々と進むのだけれど、それでいて観る側の好奇心を丁寧に刺激していく。

そして、肝心のなぞの屋敷での仮面乱交パーティ。カメラワーク、音楽、美術とどれもが素晴らしい。この間やっていた「パフューム」とかもこのくらいに凝った演出をしていればまた随分と違ったんだろうなぁ、などと思ってしまうのだけれど、「あぁ、こういう表現をしたかったんだな」というのがストレートに伝わってくる。このあたりが監督の才能なんだろうなぁ。

めがねのニコール・キッドマンがナイス。

このお金持ちの夫婦が最終的にそれぞれ何をしたのか、ということと、映画を観ている最中に自分が頭の中で考えていたことを対比してみると、「見事に監督にしてやられた」と感じてしまう。つまりはなんでもない事象を高度な技術によって表現し、それを観る観客の心を操る映画だった。「あんなことになっているのでは」「これはこういうことかな?」などと色々と想像をめぐらせてしまうのだ。でも、終わってしまえば「なぁんだ」という感じ。それでいて、がっかりするわけではない。物凄く出来の良いお化け屋敷のような。明るくなってみれば、全然どうということのないストーリーなのだけれど、見ている最中は物凄く楽しめる。

え?これで160分?あっという間じゃん、という感じ。個人的にはキューブリックの最高傑作は「時計仕掛けのオレンジ」だと思うけれど、この作品も評価は☆3つ。

アイズ ワイド シャット 特別版 [DVD]

この記事へのトラックバックURL

http://trackback.blogsys.jp/livedoor/buu2/50835875
この記事へのコメント
薦めてしまった手前、☆三つに安堵しております^^

>物凄く出来の良いお化け屋敷のような

物凄く出来の悪いお化け屋敷のような
マルホランド・ドライブという映画もあったりしますが。。。


トムに言及してないので、脳内変換が上手くいったようですね^^

また映画談義できたらと願ってます。

Posted by ライトユーザー at 2009年05月09日 08:42
> 薦めてしまった手前、☆三つに安堵しております^^

面白かったです。どうということもないストーリーをさも壮大な謎があるように見せているところが凄かった。

ちょっと前の日本人だと「裸ばかりのエロ映画」みたいな評価をしちゃうかも知れませんが、最近はその手の耐性は随分ついたと思うので、高く評価する人は結構いるんじゃないでしょうか。

トムは相変わらずのトムでしたが、大事な場面では仮面をつけていたし、「映画が台無し」と思うほどには気になりませんでした。他の俳優さんの方がもっと良くなったとは思いますが。配役の経緯はわかりませんが、トムとニコールの夫婦を使いたい、というよりは、使いたいニコールに漏れなくトムがついてきてしまった、ということなのかなぁ、と思わないでもありません。
Posted by buu* at 2009年05月09日 11:02