一年に一本か二本、「これは酷いなぁ」と思ってしまう映画にぶちあたるわけだけれど、この作品は間違いなくその一本。こういう駄目な映画を観ると、なるほど、今までのハリポタシリーズとかの駄目さ具合はまだまだだな、などと思ってしまう。本当に、観ているのがつらい映画だった。何度途中で席を立とうと思ったことか。それでも、「もしかしたらこの後何か、お金を払って良かった、というシーンがあるかもしれない」と思って頑張った。でも、やっぱり最後まで何もなかった。いや、唯一、ブレードランナーのパロディだけは見所だったのかな?いやいやいやいや、やっぱり見所じゃないな。
ホラーコメディというふれこみだけれど、怖くないし、笑えない。いいところが何一つ見つけることができない。あー、早く帰りたいなぁ、時間の無駄だなぁ、そろそろ90分ぐらい経ったかなぁと思って時計を見るとまだ1時間ちょっと、という具合。
どこがどう駄目なのかなぁ、と思って考えてみるに、映画が「人を楽しませる」ものではなく、「作っている側が楽しむ」ものになってしまっているんだと思う。多分、竹中直人はこれを作っていて楽しかったに違いない。そして、この映画を観客も楽しんでくれたら良いなぁと思ったに違いない。でも、少なくとも、僕はこの映画を観ていて、つらくてつらくて仕方がなかった。苦痛だけの2時間弱と言っても過言ではない。この経験は、デビルマンでも、キャシャーンでも味わうことがなかった。なぜなら、デビルマンも、キャシャーンも、一応観客を意識していたからだ。「このシーンを観て欲しい」という思いが感じられた。結果としてそれは成功しなかったけれど、でも、その意図は伝わった。でも、この作品には観客への意識が全くと言って良いほど感じられなかった。ただただ自分達が楽しんでいるだけ。ギャグはほとんど滑りまくり。笑える映画のはずなのに、笑えるポイントがほとんどない。もちろん、それは僕個人だけの話ではなく、劇場を半分ぐらい埋めた観客からもほとんど笑い声が聞こえてこなかった。ときどき、同じ人が乾いた笑い声をあげていたけれど、それだけ。だから、数百人に一人ぐらいは楽しめるのかも知れない。
最近観た中ではダントツで駄目な映画。駄目な映画だって、普通は何らかのプラスがあるはず。「あのシーンが駄目」「あの映像が駄目」などと語ることによって、人生における経験値が多少なりとも上がるからだ。でも、この映画にはそういったものがほとんど感じられない。ただただ時間の無駄。それに対してお金を払うのは無駄だし、そこに数時間の時間を費やすのももったいない。怖いもの観たさで観るという人もレンタルで十分。映画が嫌いになる人がたくさん出てきては困るので、声を大にして言っておきたいが、この映画は観てはいけない。
今期きいちご賞最右翼はTHE CODE/暗号だと思っていたけれど、こっちの方が大分上手だった。上には上がいるものだなぁ。
あ、☆はもちろんゼロです。