2009年08月23日

サマーウォーズ

0778ebe8.jpgこの夏もそこそこの数の映画を観てきた。話題作やら、シリーズものやら色々。ヱヴァから数えれば劇場で観たのは洋画、邦画あわせて10本弱なんだけれど、満点評価はなし。「今年の夏は不作だったなぁ」と思っていたのだけれど、昨日、アマルフィとどっちを観ようかと迷って、時間の都合で選択しなかった「サマーウォーズ」をリベンジしたら、これが掘り出し物で驚いた。世の中では評判ですか?そうですか。久しぶりの☆3つ。

結論から書いたから、続いては駄目だしをしておこう。

まず、重要なキャラの佳主馬の声が女の子の声だということ。キャラ自体が中性的なところに持ってきて、明らかな女声のため、「あれ?これって、女の子?」と違和感を持ちつつ観る羽目に。女性が男子の声をやるのはドラゴン・ボールをあげるまでもなく全く普通のことだけれど、それは女性っぽくない演技ができる声優の場合。佳主馬の声は明らかに女性であって、完全なミスキャスト。これも含め、やや不調な声優陣とうい印象はあるのだけれど、これはジブリ同様、声優が本職じゃない人を声優として起用しているからかも知れない。そのあたりは日本テレビがかんでいるということで仕方がないところか。

それからキングカズマの操縦。いくらなんでも、キーボード操縦はありえないんじゃないだろうか。PCを強化する前にゲームパッドを買ってやれ、と思う。っていうか、キーボード操縦でキングになれちゃうって、ありえるか(笑)?それと、キーボード操作をありとしても、ホームポジションが安定しないやり方でパチパチ打っていくのはあまりにも非現実的。いや、達人なら出来るのかもしれないけれど(笑)。

レポート用紙に筆算で暗号解読をするのもどうか。いや、最初の解読はあれもありだと思う。でも、命をかけて勝負するなら、計算はノートPCか、せめて電卓を使ってほしい。さぁ、暗号を解くぞ、という場面でレポート用紙と鉛筆はなぁ。

それからコイコイのシーン。「コイコイ!」じゃなくて、「コイ!」じゃないかなぁ、掛け声は。あれ?自分だけですか?自分は高校生の頃から花札やってますけれど、「コイ!」だったなぁ。ま、これは地域差とか色々あるだろうからなんともいえないのだけれど、ちょっと違和感があった。

氷がなくなってオーバーヒートというのもちょっと(笑)。あぁ、でもそこは笑うところか。

あと、一番気になったのはヒロインがちょっと影が薄かったこと。もうちょっと魅力的に描けたら凄かったのになぁ。シータ@ラピュタやクラリス@カリオストロみたいな伝説となるヒロインでは、残念ながらなかった。

こんなところかな?

さて、ほめる番。何しろ、まず脚本が良い。アニメではこれができるのに、どうして実写ではできないんだ、という感じ。というかですね、OZの中をアニメで描いて、上田の人たちは実写だって良かったわけじゃない。それができないわけがない。でも、そういう選択肢を選ばなかった。まぁ、最初からそんなのはなかったのかも知れないけれど、そのあたりが残念でもあり、日本のアニメの素晴らしいところでもあると思う。結局、実写でやっちゃうと「あの役者を使え」「こんなシーンは駄目だ」とか、色々横槍が入ってしまうということなんだろうか。フルアニメーションだったことについて「あぁ、もったいないなぁ」と思ったのも事実。いや、多分実写でやったら駄作になっちゃうんだろうけど。ちょっと前のエマ・ワトソンとかを使って実写にしたら凄く良さそうなんだけれどね。でも、それじゃぁ長野の映画じゃなくなっちゃうな(笑)。何しろ、OZをめぐる仮想空間の騒動に対して、高校野球、大家族のやりとり、高校生の交流、実社会の混乱を上手に盛り込んで飽きさせない。

OZの中の世界がまたなかなか良くて。一目見て村上隆系のデザインなんだけれど、キャラそれぞれはかなり個性が分散されていて、いろんな人の手が加わっている感じ。アバターなんだからそれが普通なんだけれど、あぁ、細かいところにも配慮しているな、という印象を受ける(たとえばYahoo!のアバターとかはもう一目でそれっぽいわけで、OZの中はそういう統一感が希薄だった)。夏希がセーラームーンみたいに変身するのはどうなのかなぁ(そして変身後は神崎すみれ@サクラ大戦)、と思わないでもないけれど、観客がセーラームーン世代なのかも知れず、そのあたりも狙いなのかも知れない。何しろ、SNSを運営するITベンチャーの社長(自分ですよ(笑))が観てもなかなか良くできている仮想都市像が素晴らしい。あぁ、あと一年でこんな世界(機能的にも、デザイン的にも、そして携帯からでもDSからでも、もちろんPCからでも同じようにしてストレスなくアクセスでき、さらに現実世界の各種サービスともボーダーレスにつながる世界)が出来上がったら良いなぁ、と思う。

そんなリアル世界と仮想世界をつないだ物語で語られるのはスーパーおばあちゃんを中心とした家族や人と人とのつながり。ネット社会の最も苦手とする部分をうまく融合させ、近未来のあるべき姿を象徴的に表現しているところが良い。ちょっと前、ほんの20年も前なら、あんな大家族は普通に横浜とかのなんちゃって都会でも存在したのだけれど、最近はきっとほとんど絶滅危惧種なんだろう。長野あたりまで出かけないと、なかなか見当たらないのかも知れない。そんなちょっとしたノスタルジーを年寄り観客に与えてくれるところもなかなか。

すっかり説教くさくなってしまった宮崎アニメに辟易としつつある昨今、説教くさくないのにちょっと勉強させてもらえる、そんな昔の、楽しかった頃の、宮崎アニメが失ってしまったものを見せてもらったような気分。最初に書いたように減点ポイントがなかったわけではない。それでもやっぱり、これは満点。この夏一番の映画だと思う(まだ終わってないけれど)。こういうアニメがこれからどんどん作られたら良いな、と思う。

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