2009年09月02日

セントアンナの奇跡

3a72b435.jpg人種差別、戦争、宗教といった重いテーマを詰め込んだ重厚な作品。非常に面白いのだけれど、島国の無宗教人間にはちょっと難しい部分もあった。

まず、黒人の見分けがつかなくなるところがある。ちょっと不思議ちゃん的なデカイ奴と金歯はすぐにわかるのだけれど、残りの二人がちょっとわかりにくい。それから言葉。イタリア語、ドイツ語、英語が登場しているんだろうけれど、イタリア語とドイツ語の聞き分けが難しかった。というか、わからなかった。普通に聞いていれば多分イタリア語とドイツ語の聞き分けはできると思うのだけれど、映画の中でころころと変わるので、あれ?あれ?みたいな感じ。字幕で「(独)どうてらこてら」「(伊)あーたらこーたら」などと書いてくれれば親切だったのになぁと思わないでもない。それから、キリスト教徒ならこういうのって重い意味があるんだろうなぁ、というところが少なくなかったんだけれど、そのあたりもちょっとわかりにくかった部分。それから、冒頭の1980年代のシーン。ここでのやり取りが非常に重要なのはもちろんなのだけれど、そこから過去に飛んでからがものすごく長いため、正直、すっかり忘れていた。そういえばああいうシーンもあったなぁ、あ、あれって、あの人かぁ、みたいな。それとは別に本編とは全然関係ない部分もあって、わかりにくさに拍車をかけている感じがする。劇中で「セントアンナ」を別の表記にしたのはわざとなんだろうが、それには何か意味があったんだろうか。そこもちょっと疑問点。サンタンナ(イタリア読み)とセントアンナ(英語読み)って、同じですよね?

と、こういったわかりにくさ、特に日本人にとってのわかりにくさによってどうしても☆をひとつぐらい減点せざるを得ないのだけれど、きっとイタリア人とかなら観ごたえのある作品なんだろうなぁ、と思う。

まず最初に挙げておくべきは戦争シーン。「シンドラーのリスト」「プライベート・ライアン」「ミュンヘン」でスピルバーグが戦争を生々しく描いた頃から、非エンターテイメント作品(という表現が正しいかどうかは正直微妙だけれど、要はインディ・ジョーンズとかとは違うカテゴリーという意味)において戦争の描き方に遠慮がなくなってしまったわけで、この映画も凄まじい。特にタイトルにもなっているセントアンナの大虐殺などは結果がわかっているだけにインパクトが大きなシーンになっている。観客である我々はそこで展開される悲劇を黙って観ているしかないわけで、戦争の悲惨さは嫌と言うほど伝わってくる。日本は原爆のあとの悲惨な映画は色々あるけれど、こういう大虐殺をストレートに描いたものはほとんど記憶にないわけで、そういう免疫がない分、観ていて辛い。川の戦闘シーンも十分に生々しく、ILMの特撮技術というのは星間戦争や宇宙船の馬鹿でかさよりもむしろ、こういうシーンにおいて威力を発揮していると思う。

それから、米国黒人兵、イタリアトスカーナの山村の住民、パルチザン、ドイツ兵の複雑な人間模様をしっかりと描いているのも見ごたえ十分。というか、十分すぎるくらい。おかげで上映時間は2時間40分ぐらいだったようだけれど、観ていた限りでは「長い」とは感じなかった。特に第二次世界大戦中の黒人兵が置かれていた境遇と言うのは、日本人ではなかなか知る機会がないわけで、社会勉強にもなる。ただ、ムッソリーニ後のイタリアの状況、その中におけるパルチザンの立ち位置などは事前にある程度知っておかないと、4者が入り乱れてのやり取りは複雑すぎてわけがわからなくなる可能性が高い。1940年代のヨーロッパを舞台にした映画というのはこのあたりがハードルを高くしてしまうのだけれど、それさえ乗り越えれば逆に見所が多いと思う。

冒頭でいきなりなぞを配置して、さらに伏線をはり、そこから謎解きの40年前へ、という展開はなかなか見事だったと思う。ただ、その過去パートが長すぎて、冒頭のシークエンスを思い出すのにちょっと時間がかかってしまった。そして、その上で、ラストに待ち受けている奇跡は何なのか、という期待を寄せることになるのだけれど、今回は奇跡の内容、予想ができなかった。もちろん予想ができちゃう人もいるんだろうけれど。だから、監督に一本取られたという感じ。

トータルで評価して☆2つ。もう一度観たらもうちょっと評価が高くなるかなぁ。でも、それはDVDで良いかなぁ。

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