2009年09月08日

ブログによる広告

どうする? ブログのやらせ問題--ライブドア、サイバーエージェントらが議論

アメブロ(サイバーエージェント)でときどき芸能人がこっそり広告記事をしのばせるのは有名な話だけれど、それについてサイバーは正々堂々とやっていると表明。ある意味潔い。曰く、

当社がお仕事としてタレントに頼む場合は、金品の提供はある。ただそのケースでは、まずはブロガーの意思を損なわない、指示もしない、我々が何か操作することは一切ない


だそうだけれど、だからなんなの?という感じ。

つまり、「○○について記事を書いてくれたらお金を支払います。内容はお任せします」ということ。サイバーは、「お金は払っているけれど、強制しているわけでもないし、勝手に書いているんだし、内容についてチェックもしていないから、良いじゃん」と言っている。実際のところ、芸能人が本当にそう思って書いているのか、あるいはお金が欲しいから褒めているのか、そのあたりはわからない。でもまぁ、テレビの広告だろうが何だろうが、本当にそう思っているのかはわからないからね。北島がコカ・コーラの宣伝に出ているからって、本当にコカ・コーラが大好きなのかどうかはわからない。でも、問題なのは、本気で書いているかどうかじゃない。書かれていることが広告であると閲覧者に対してディスクローズされていないということなんだよな。あるいは、書いていることによって何らかの経済行為が発生しているかどうか、ということがディスクローズされていないということ。テレビにしても雑誌にしても新聞にしても、基本的には「これは広告」というのは情報の受け手もそれとわかって見ている。でも、ブログの場合はそうじゃない。本当にそれで良いのかなぁ、と思う。

逆に言えば、広告ですよ、と明示されているなら、どんなことを書こうと勝手ということなんだけれど(法律に違反しない範囲で、だけれど)。

たとえば僕は一昨日、ウェンディーズについて書いたけれど、これは閲覧者からは広告なのか、広告じゃないのか、わからない。僕が僕の言葉で書いたのは確かだけれど、重要なのはこの記事を書いたインセンティブがお金なのか、物なのか、ただの自己顕示欲なのか、ということ。今回の場合はもちろん自己顕示欲で書いているわけだけれど、そんなことは外部の人間にはわからない。アメブロの芸能人ブログだって、一緒。でも、閲覧者にとってはそれって凄く重要なことで、自分の好きな芸能人が、本当に高く評価しているのか、それとも別に高く評価はしていないけれど、お金がもらえるからやっているのか、どちらなのかによって、受け取り方は全然変わって来るはずだ。そして、たくさんの記事がある中に、こっそりと「商売で書いた記事」が仕込まれているというのは、非常にアンフェアだと思うし、それは新聞や雑誌なら「これは広告です」と明示される部分である。アメブロの芸能人ブログではこのあたりが非常にあいまいというか、故意に隠しているわけで、その点をこの記事の質問者は問いただしたはずだ。記事ではなぜか炎上云々、筋違いの方向について書かれているが、問題はそこではない。プロがやろうが、芸能人がやろうが、あるいは素人のブロガーがやろうが、問題は、「それが広告かどうか」である。

アメブロが本気でやらせ対策をするのであれば、ブログ運用者が何らかの金品を受け取りつつ記事を書いている場合には「これは広告です」と明記させるべきだ。ライブドアの人は「基本的には読者をだまし討ちするようなことはないようにしている」と言っているが、アメブロはだましているというのが僕の判断。だまさないなら、「これは広告です」と付記すべきだ。まぁ、サイバーの人は「読者をだまし討ちするようなことはないようにしている」とは言っていないので、これについては嘘は言ってないのだけれど。

僕達が口コミとして知りたいのは、バイアスのかかっていないフラットな評価。でも、そんなのばかりじゃぁ、広告業が成り立たない(僕はそれを成り立たせたいと思っていて、その足がかりみたいなものをもうすぐ発表できるかなぁ、と思っているところだけれど)。だから、バイアスをかけるのは仕方がない。でも、バイアスをかけるなら、程度はともかくとして、「これはバイアスがかかっている可能性がありますよ」と明記することが必要なんじゃないかと思う次第。

ちなみに、最近の事例で言えば、一人一票実現国民会議というのがある。この団体、選挙の際に同時に実施される最高裁の裁判官の国民審査にあたり、「あなた達の一票はこんなに差があります。そして、それを認める判断をした裁判官はこの人です」という趣旨の全面広告をあちこちの新聞に連発していた。「凄いお金があるなぁ」と思うと同時に、大都市住民である僕は彼らの広告を参考に×をつけたんだけれど、それとは別に、この団体はブログにもステルス広告を打った。その条件を満たしていれば全てが広告である、というわけではないけれど、見分け方は簡単で、「一人一票実現国民会議」と「国民審査権」の二つのキーワードが含まれているかどうか、一人一票実現国民会議の黄色いバナーが掲載されているかどうか、外部関連サイトへのリンクがはられているかどうか、および2009年の7月29日から8月11日までに書かれているか、である。こんなのはグーグルで検索すればすぐに抽出可能だ。逆に言えば、そこでリストアップされたブログには他にもステルス広告が掲載されている可能性が高い。ま、それはそれとして、この国民会議が実現しようとしたことは、「僕は」支持するけれど、その立ち位置とは別に、こうしたやり方自体は評価しない。目的は手段を正当化しない。

何はともあれ、ステルス広告についてはsmashmediaの河野さんがこれまでに色々書いてきてくれているので、そちらを読むと勉強になると思う。以下、ぱっと目に付いた記事を参考としてリンク。興味がある人はそちらもどうぞ。

参考1:サイバーエージェントの記事マッチ(smashmedia)
参考2:ステルスマーケティング(MarketingPedia)

2009/9/14追記
ネットをふらふらしていたら田端さん自身がこのテーマについて書いていたのでリンク。
参考3:ペイパーポスト議論が見落としている点/戦争広告代理店とCM化するニッポン

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【ヤラセ】辻希美がアメブロのサプリメント広告記事で墓穴を掘る【しなぷす】at 2009年09月09日 00:20