2009年10月18日

デザインにおける客観と主観の間

先週金曜日はウジトモコさんに誘われて、

「Action Blogger's Night!! 」- トーン・アンド・マナーで導くデザインの正解とは?」

というイベントに参加してきた。ウジさんが出版した

売れるデザインのしくみ -トーン・アンド・マナーで魅せるブランドデザイン-
売れるデザインのしくみ -トーン・アンド・マナーで魅せるブランドデザイン-

の発売連動イベントなのかなぁ?でも、ウジさんはゲストだったらしい。

デザインの重要性というのは言うまでもないし、僕も仕事でサイト構築を受注した際にはお客様に対して必ず「デザインは重要です。サイトは見た目の部分が非常に大きいです。また、それによって閲覧者をコントロールすることも可能です」ということを言ってきている。そんなデザインなんだけれど、難しいのは、「自分」という個をベースに組み立てた思想を「一般」という、個の集合体に受け入れさせるという、個から集団への発想の転換が必要だということだ。つまり、「自分はこれが格好良いと思う」とか、「俺はこの色が好きだ」とか、「僕のことをこういう風に見てほしい」という、非常にパーソナルな考えによって構築するにも関わらず、大事なことは「みんなが格好良いと思う」「みんなが好きになってくれる」「みんながデザインによって一定の印象を持ってくれる」という、一般の心を動かすものにならなくてはならないということだ。自分の思いが大衆の思いと同一であるかどうかは検証が必要で、それは個人の思考実験ではなかなか難しい。そんな状態のときに、「これが公式です」「これが行動規範です」というものがあると非常に便利なわけで、最近ウジさんが精力的に動いているのはこういう領域だ。

しかし、これはテンプレートを作るとか、そういうことではないことに注意が必要である。

たとえば、僕が「僕は富士山に登りたい」と思ったとする。これは非常にパーソナルな思考である。そのときに、「じゃぁ、どうしたら良いのか」というのには色々な回答があるのだけれど、基本的なところは「山登りの装備をきちんとしましょう」「高山病の対策が必要です」「日程を考えましょう」「富士山へのアプローチはどうしますか」などなど、ある程度決まったフォーマットが考えられる。加えて、「元木さんは膝が悪いので、それに対応できる方法を考えましょう」といった、個別の要素が出てくるわけだが、そういう個別の要素を削除した上で、ほとんど誰にでも「富士山に登る方法」をレクチャーすること、これが今ウジさんが外向けにやっていることである。これをもうちょっと汎用的にしてしまって、「登山について」(富士山ではない)を説明するのがテンプレート作りなどになる。わかりやすいようでわかりにくいような説明だけれど、個人的な理解はこんなところ。

一般に、デザインのことを考えている場合、まずみんなが考えているのは「山に登りたいなぁ」ということ。この状態から、「あなたはどこの山に登りたいんですか?」ということを明確化する必要がある。漠然と富士山かなぁ、と思っているけれど、実際は高尾山かも知れず、剣岳かも知れず、大雪山かも知れず、モンブランやエベレストかも知れない。自分のことは意外とわかっていないもので、「今、自分が登るべきはどこの山なのか」を明確化することは非常に大事だ。逆に言えば、それさえわかってしまえば、あとはかなりのところまで公式化できる。

ちょっと話が発散しかけているので、ここで整理しておくと、ポイントは2つ。

デザインにおいて必要なことは、ひとつめは、デザインによって自分が実現したいゴールはどこかをきちんと明確化すること。これは自分の主観を明確化することである。それから、もうひとつは、目指したゴールに、自分のみならず、一般の人たちが到達できるようなものにすること。これは主観の客観化である。

さて、今回のイベントは、この両者を実際にやってみましょう、という感じが初期のコンセプトだったようだが、結果的には前者をどうやって実現するのかに軸足が置かれていた。両方やりたくても、時系列的に先に位置するテーマがなかなかに難しい話だったので、それがボトルネックになった感じだ。実際問題として、自分の主観を明確化して把握することはすごく難しい。このことについては先日ちょこっと触れたので、そちらを見て欲しいのだけれど、「こういう風にしたいな」という主観を機械的に明確化することは実はそれほど難しくないので、まじめにシステム化してみることを考えても良いかな、と思っているところ。

視覚マーケティング実践講座(読了編)

今回のイベントでは実際にいくつかのサイトについてケーススタディがあったのだけれど、事前のレクが少なかったこともあって、ちょっともったいなかった。出来れば、「あなたのサイトをみんながどう感じているか聞いてみましょう」みたいなものがあっても良かったかも知れない。たとえば、事前に参加者が評価を希望しているサイトをヒアリングして、それらのサイトについて参加予定者に告知、可能な限り、事前にそのサイトからデザイン的にどういう印象を持つか、聞いてしまうのである。さらに時間的余裕があるなら、それらの意見を収集して、「どう思う?」というのを聞いてみても良かったかも知れない。そして、自分が思っている「こう思われていると思う」という自己判断と、本当はみんなが「どう感じているのか」を比較してみるわけだ。両者が一致しているのであれば、そのサイトの運営者は比較的客観的にデザインを捉えることができるということ。だから、自分で考えるとおりにデザインしていけば良い。逆に、ギャップが大きい場合には、自分の主観を客観に近づけるための努力をするか、あるいは何らかのサポートを受ける必要があるということになる。

映画の評論でも、ラーメンの評論でも、個人の主観と、大衆の主観の集合体(≒客観)との間の距離を測ることはとても重要になる。これはデザインでも多分一緒。せっかくそういうことが可能な場だったので、そこまでできたら良かったのになぁ、と思うのはちょっと無理めの要望だろうか。

ライブログには今、リリースを目前に控えたウェブサービスがある。デザインも大きな課題のひとつとして今も積み残されているのだけれど、残念ながら、そのサービスがどんなトンマナを目指せば良いのか、自分でもわからないでいる。だから、「こんなサービスなんですが、皆さんはどのあたりを目指せば良いと思いますか?」などと聞いてみたかったんだけれど。

あぁ、例のトンマナコンパスの付属システムとして、トンマナアンケートシステムみたいなものも作ってみれば良いのか。「このデザインについて、どういう印象を持ちますか?」という問いに、会員がまじめに答える。でも、自由回答だと難しくなるから、20個ぐらいのパラメーターについて「そう思う」と答える形式にする。一回答えると1ポイントもらえる。ポイントが5たまるとそのポイントを使って自分のサイトとか、アイコンとかのデザインについて質問できる。応募期間は3日〜1週間程度。参加者みんなが答えたデータは統計的に処理されて、質問者にフィードバックされる。質問者はトンマナコンパスを使って自分の目指す方向を決めて、ラフにデザインしてみて、それをアンケートシステムで確認する、という感じ。あるいは現在進行形で運営しているサイトについて「どう思われているか」をチェックするという手もある。

「トンマナ・相談所」みたいな感じで、SNSか何かの会員管理システムを構築して、その内部にトンマナコンパスとアンケートシステムを作る、みたいな感じかなぁ。もうちょっと考えてみよう。

ところで全然違う話だけれど、今回利用したハイスコアキッチンはちょっと空調がイマイチだったみたいで、デフォルトでもちょっと暑かった。加えて、講演者の一人だと思うのだけれど、その人(っていうか、主催者?)が喫煙するという暴挙に出たため、空気がすっかり悪くなってしまった(それにしても、プロジェクターを使っている状態、話を聞いている人間は誰一人として喫煙なんかしていない状態でタバコを吸うという馬鹿さ加減にはちょっと驚かされた)。ということで、話が途中だったのだけれど、咳も出るし、喉も痛いし、これ以上ここにいるのは嫌だな、と思ったので、話を最後まで聞かずに失礼させてもらった。どういう場所でやるのでも良いんだけれど、最低限のところはクリアしてもらわないと困る。

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この記事へのコメント
ウジさん最近大活躍ですね。でも、付き合う相手は選ばないと、馬鹿と付き合ってると馬鹿って思われちゃいますよね。
Posted by tktn at 2009年10月19日 11:05
> ウジさん最近大活躍ですね。でも、付き合う相手は選ばないと、馬鹿と付き合ってると馬鹿って思われちゃいますよね。

ウジさんは頑張ってますね。今後のさらなる活躍に期待。
Posted by buu* at 2009年10月21日 09:33