2009年10月26日

ブラック会社に勤めてるんだが、もう俺は限界かもしれない

38ce3ce2.jpg僕はIT会社の社長なので、嫌でもそういう視点から見てしまうわけだけれど、社長はほとんど顔を見せず、あれれ?こんな感じで終わっちゃうんだ、と思ったら、最後の最後(エンドロールの後のシーン)で「そうそう(笑)」と膝を叩くシーンがあった。

IT会社でへとへとになって働く社員を描いた映画なんだけれど、うーーーーん、まぁ、ストーリー的には非常に平凡。何か凄く深いものがあるというわけでもなく、俳優さんたちの鬼気迫る演技というわけでもない。演技というより、メイクで疲労を表現していて、そのあたりはちょっとなぁ、という感じ。でも、小道具をあちこちに配置して、細かいギャグで笑わせて、最後に広げた風呂敷をたたむ、そんな感じの、優等生っぽい映画だった。ちゃんと笑えるから、映画としては悪くないと思う。

この映画がピンと来なかったのは、多分「ぐるりのこと。」との対比なんだと思う。これから先はネタバレだから、ネタバレが嫌な人はここでさようなら。

さて、ネタバレ。この映画は、疲れきったときに「まだ頑張れるかも知れない」という方向に話が進む。「ぐるりのこと。」は、「頑張らなくても良いんだよ」という方向に話が進む。僕の周りを見渡すと、実際に精神が参ってしまっている人たちがそこそこにいて、彼らに対しては僕は「頑張らなくても良いんだよ」ということを言っているし、彼らがちょっと余裕がでてきたときには「何かのヒントになるかも知れないからDVDを借りてごらん」と、「ぐるりのこと。」を勧めている。

正直なところ、僕から見れば彼らはまだまだ頑張れるような気がするんだけれど、実際には彼らは彼らなりにもう頑張っていたりする。僕たちの世代に比較するとストレス耐性が弱く、でもこれは多分彼らが育った環境が原因で、そんな彼らに頑張れと言い続けるのは可哀想な気がするのだ。みんなで頑張って難局を乗り切ろうぜ、という雰囲気ではなくなりつつある。

そんな中で、「限界に見えるけれど、まだ頑張れるんじゃない?」というメッセージは、確かに頑張れる人に対しては良いと思うのだけれど、そういう人ばかりじゃないし、多分、監督の次の世代の人たちは頑張れない人が結構いて、そういう人たちを無責任に「頑張れ」って励ましてしまうのはどうなのかなぁ、と思うのである。

弱い人と強い人の混合物である社会に対して、「弱い人は、こうしたらどうですか?」というのはありだと思うのだけれど、「とにかく頑張れ」ってやってしまうと、弱い人はぷつんと切れてしまう気がする。

そういう意味で、この映画は、面白いには面白いけれど、誰にでも勧められるわけではないな、と思う。「ぐるりのこと。」は誰にでも勧められる。強い人は、「こういう弱い人もいるんだから、気を遣わなくてはならない」と勉強できるし、弱い人は、「負けちゃうのは特別なことじゃない」ということを知ることができる。でも、この映画は弱い人には勧められない。強い人で、ちょっと行き詰っている人。そういう人には良いと思う。でも、僕が社会をざっと見ていると、この映画よりは「ぐるりのこと。」向きの人のほうが今の日本には多い気がする。

あ、ちなみにうちの会社でも、ああいう感じで働いてくれるソルジャーは是非ゲットしたいです(笑)評価は☆1つ半。

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