2009年12月12日

カールじいさんの空飛ぶ家(3D版 日本語吹替版)

ab95cc1e.jpg何を観てもクオリティが高く、その安定感は宮崎アニメよりも上なんじゃないかと思えてしまうPixarの新作。日本語吹き替え・字幕、3D・2Dと、2つの要素でバリエーションがあるため、都合4種類のパターンで上映されている。何で観ようかな、とちょっと悩んだんだけれど、最近の科学技術の発展具合を確かめる意味で3D版にしてみた。3Dの字幕版というのがあんまり見当たらなかったので、ほぼ必然的に日本語吹き替え版を観ることになった。吹き替えを観るなんて何年ぶりだろう。っていうか、記憶にない。3D版はジョーズ3か何か、とにかくジョーズシリーズで観て以来。多分これも20年以上ぶりだと思う。ただ、3Dについてはディズニーランドとかでショートムービーは観ているので、全然観ていないということでもない。

さて、シアターの入り口で立体メガネをもらって、着席。すぐに予告篇が始まって、続いて「メガネをつけてね」のお知らせ。言われるがママにメガネをつけた瞬間思ったのは、一つ目に今ひとつ焦点が合わないということと、もう一つに画面が暗いということ。でもまぁ、そのうち慣れるだろう。3Dの予告篇が終わって、いよいよ本編。

まず、Pixarお決まりのショートストーリー。雲とコウノトリのお話はいつも通りのクオリティ。面白かった。さて、本番。冒頭、カールじいさんとその嫁さんのエリーの数十年が、ほぼ無声で描かれる。このシーンはマジで凄い。冒頭のちょっとした部分を除いて、あとはセリフ無しで一つのカップルの出会いから別れまでを完璧に描いている。このパートだけでお金を払う価値があると思う。ここまでの評価は満点以上。

そして、ひとり残されたカールじいさんのエピソードが始まるのだが・・・・・・・

以下、ネタバレ要素があるので、要注意。

さて、恋愛映画なのかな、ハートウォーミングなストーリーなのかな、と思わされるのはここまで。そこから先はインディ・ジョーンズとまではいかないものの、かなりちゃんとした冒険ストーリーになってしまう。ここのところがまずは最初のハードル。別に冒険ストーリーでも、楽しければ良いんだよ、ということなら問題はない。子どもが出てきて、動物が出てきて、もう、大ヒットアニメの方程式通りだ。唯一ちょっと違うかな、と思ったのは、主人公が最初から最後までおじいちゃんだということ。おじいちゃんの喪失から、再生に至るまでのお話は、テーマとしては凡庸。ただ、おじいちゃんが色々なモノを喪失していくことを、日本人なら森繁久彌さんを通じて良く知っている。だから、その、なくすのが当たり前のおじいちゃんが、再生していくところは意外性がある。

さて、そんな感じで展開するストーリーは確かに面白いのだが、いくつか「おや?」と思わされるところがある。

まず一つ目は、敵。この手の冒険譚にはやっぱり敵が必要だ。でも、その敵が、敵らしくない。いや、映画の中ではちゃんと悪いヤツなのだけれど、その敵が悪いヤツになってしまったあたりがどうにも気の毒で、アナキン・スカイウォーカーよりも気の毒だ。どうしてそんなことに、という感じ。だって、その敵は、せっかくの発見を誰にも信じてもらえず、なんとか自分の発見をみんなに認めてもらおうとして頑張って、そうしているうちに時間をどんどん使ってしまっておじいさんになってしまった科学者だ。その科学者が、凄く悪いヤツとして描かれてしまっている。でも、ああいう立場の人って、きっと普通に存在するし、だからといってああやって悪者になってしまうとも思えない。もうちょっと、悪役が悪役になってしまうまでを丁寧に描いてくれればまたちょっと違う印象だったのかも知れないのだけれど、「うーーーーーん」というのが正直なところ。挙句、その悪役博士の顛末があれでは浮かばれない。ここで減点。

もう一つは、カールじいさんが、いとも簡単に奥さんとの思い出を捨て去ってしまうこと。ちょっとドライ過ぎないかなぁ。確かにああいう場面になれば、過去を捨て去る必要も出てくるかも知れない。それでも、もうちょっと思い出を大事にして欲しかった。冒頭のシーンの出来が素晴らしかったからこそ、もうちょっとなんとかならなかったのかな、と思う。再生するにしても、幼虫から蛹を経て全然違う生き物になってしまうのではなく、昔を大事にしつつ、新しい一歩を踏み出しても良かったと思う。ここでも減点だなぁ。

僕はPixarに対してはかなり好意的な人間で、ウォーリーとかも凄く気に入っている種類の人間なんだけれど、この映画はちょっと冒頭の20分と、それ以後のお話との乖離が大きかった気がする。

エンディングは2Dで描かれていたので、3Dメガネを外して観たら、輝度が高くて色合いが凄く良かった。3D版はクレイアニメみたいに見えて面白いけれど、メガネの質がもう一歩と言う感じで、画面が凄く暗く見えてしまう。まぁ、偏光レンズを使っている都合上、どうしたって光量は落ちてしまうわけだけれど、DLP上映なら大丈夫かな、と思ったら、そうでもなかった(多分、通常版より3D版の方が明るく作られてはいるんだと思うのだけれど。3D初心者なので詳細は分かりません)。これなら、まだまだ2Dに軍配が上がるかな、という感じ。メガネ、重いしね。だから、これから観る人には、3Dに特別な思い入れがない限りは2Dをお薦めしたい。

と、色々書いたけれど、冒頭の20分だけでも観る価値はあると思う。評価は☆2つ。

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