2009年12月25日

政治家のTwitter利用は両刃の剣

鳩山さんがTwitterを始めるらしい。

首相 ツイッターで情報発信へ

生活者からすれば発信される情報は多ければ多いほどありがたいわけで(ただし、あんまりフィルタリングされているとそれはそれで問題だけど)、こうした動きは歓迎すべきこと。一昔前だと、「こういう手段で情報発信しても、受け手は限定される。例えばネットスキルのないお年寄りがネグられてしまうから、好ましくない」なんていう意見が出てきたものだけれど、そういう風潮がなくなってきたことも歓迎すべきだと思う。

しかし、政治家サイドからすると、こうした活動は決して良いことばかりではない。政治家達はまだネット利用の経験が少なくて、そのリスクをわかっていないんだと思う。だから、メリットばかりに目が行く。しかし、実際にはネットは両刃の剣だ。

例えば、ネットで発信した情報は一度出してしまえば回収ができない。「削除すれば良い」とか思っていても、今は証拠を保存する仕組みが存在するので、本人の意図とは無関係に情報が流通してしまう。

ただ、こうしたシステム的な問題よりももっと大きな問題は、「人間の中身がバレてしまう」ということだ。誤字、脱字などを頻繁にやっていると馬鹿がバレる、なんていうのもそのひとつだが、思想的な部分でもガラス張りになってしまう。

人間はコミュニケーションを求める生き物なので、会ったことがない人は叩けても、会ったことがある人は叩きにくくなる。実際に会うのよりはインパクトが薄いものの、ネットでコミュニケーションを取ったことのある人についても、批判はしにくくなる傾向がある。したがって、好感度をあげようと思ったときに、ネットを利用するのは決して悪いことではない。実際、これまでもテレビに出演する頻度の高い政治家はそれだけで票を集める傾向があった。おそらく、Twitterなどでも、大した発言をしていなくても、それなりのフォロワー(常時書き込みを読んでくれている人)を得ることができるはずだ。しかし、発言の数が少なければ、すぐに「あいつは登録してみただけ」となるし、発言が多くてもつまらない愚痴とか、批判ばかりで、生産的なものがなければ「あいつにはポリシーがない」と批判される。

実際、僕が見ている限り、Twitterで発言をしている政治家は、国レベルから市町村レベルまで俯瞰してみても、Twitterを上手に利用出来ているとは思えない。ほぼ全ての政治家が、プレゼンテーションに失敗していると思う。それは何故かって、今までやってきたことがないから、何をやったらまずいのかをわかっていないのだ。

実名を出して申し訳ないが、例えば山本一太参議院議員のTwitterなどは、悪い見本である。彼のつぶやきは、「民主党の議員も昔はこんなことやっていた癖に」といった「お前たちも一緒だろ」的な発言、「うちの党首はこんなこと言ってます」みたいな広報発言、「今、紅茶飲んでます」といったどうでも良い発言(これを全否定するわけではないが)、そして「国営放送が宣伝ばかりってどうなの?」などの評論家発言などが多い。

実際の彼の活動の中身を僕は知らない。だから、彼のTwitterの発言だけで彼の力量を判断すべきではないと思っている。でも、彼のつぶやきを読んでいる限りで彼の力量を判断すれば、「あぁ、この人は「おまえらだって同じだろ」というような考え方で、前向きになれず(前向きな政治家なら、「今の民主党はこうだ。以前の自民党も同じだった。だから、こういうふうに自民党を変えて行く」となるはず)、自分の意見はなくて、自分が担いでいる政治家の太鼓持ちをし、あとは大所高所から評論家的な意見表明をするだけの人なんだな」ということになる。僕に限れば、彼のTwitterを読んだことによって彼の評価は確実に下がった。そして今も下がり続けている。

しかし、こういう受け取られ方を恐らく山本議員は歓迎しないはずだ。あるいは、「Twitterはあくまでも入り口。これを通して自分のウェブサイトに来て下さい」ということなのかも知れない。しかし、多くの人はそんなことをしてくれない。閲覧者の行動のデフォルトは「スルー」だ。情報はプッシュする必要がある。「続きはブログで」などと言っても見てくれないのだから、TwitterをやるならTwitterの内部で完結している必要がある(必要に応じてTwitterの内容をブログに転記するのはもちろんあり)。

Twitterを通じて実現したいと思っていることと、Twitterでの発言が実際に作り出したもの、この二つの間に生じる齟齬をどこまで減少させることができるのかが勝負なのだが、実際にはそれに成功している政治家が非常に少ないと思う。

やる前から言っては申し訳ないが、多分鳩山さんも失敗するだろう。

政治家以外では、Twitterを利用してブランディングに成功している人を何人も見かける。しかし、日本の政治家ではなかなか見当たらない。これは、政治家が下手なのではなくて、政治家がTwitterを有効利用するのが難しいからだ。

政治家達がもしTwitterを本気で使いたいと思うなら、もうちょっと真剣に「発信する情報の質」について勉強すべきだろう。少なくとも、経産省でTwitterをやっている役人を議員会館に呼び出してレクを受ける、ぐらいでは全く話にならない。

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鳩山総理がツイッターを始めるらしい。 NHKのニュースでやる話題かどうかという点がまず気になるが、 首相 ツイッターで情報発信へ@NHKニヮ..
鳩山さんがツイッターで何ができるか【若だんなの新宿通信】at 2009年12月25日 11:33