2010年03月11日

ココ・アヴァン・シャネル

ココ・アヴァン・シャネル特別版 [DVD]

前回レビューを書いたウルヴァリンがX-MENのエピソード0なら、こちらはココ・シャネルのエピソード0。若い日々のココを描いている映画だけれど、その延長線上にあるはずの彼女の成功を直接描いてはいない。アチラコチラに散りばめられている成功への芽を、そのまま伏線として描いている。彼女の成功を知っている我々は、「あぁ、これが彼女のルーツなんだな」と、自分の記憶を補完しながら観ていくことになる。これって、前にも同じような映画があったよな、と思ったのだけれど、何かな、と思い返してみると、スター・ウォーズのエピソード1だった。あぁ、これがダース・ベイダーにつながるのか、あぁ、これがオビ・ワン・ケノービにつながるのか、あぁ、これがタイファイターに進化するのか、あぁ、これがスノーウォーカーになるのか、みたいな感じで、画面のそこここに配置された『種』を見つけては納得していく、あの感覚。シャネルとスター・ウォーズじゃ全然違うのだけれど、不思議なことに感覚は良く似ていた。

没個性的で同化を良しとする日本社会は多様性がなく、平準化され、それゆえに世界で一人負け状態になっているとみんなが理解しているのに、それでもまだ「格差社会」に怯えている。そういう、「耐久性のない社会構造の根源には出る杭を打つ国民性にある」と理解しつつ、それでもなお、結果の平等を得ようとしている今の日本は、百年前のフランスのようだ。そういう、右も左も同じ価値観であることに何の疑問も抱かないフランスにおいて、自分の個性を頑固なまでに主張し、生き、そして成功を手にしたシャネルの、ごくごく若いところだけを切り取っている。その後の成功に至る道筋を全てカットし、スタートラインに立つまでに絞って描いているところが潔い。

ストーリーの面白さ、事実の面白さに依存しているので、映画自体が物凄く個性的だとか、何か凄い技工が凝らされているとか、そういう感じではないのだけれど、偉人の伝記を読むような、そんな楽しさがある。

閉塞感たっぷりの今の日本人、特に女性には、ちょっとした刺激になるかも知れない。評価は☆2つ半。

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