2010年03月23日

桜の咲く頃にスラローム(競技スキー)について思うこと

僕は大学生時代からスラロームが得意だった。

一番最初に成績が出たのはスーパーGだったんだけれど、大学院生の時、調子に乗ってジャンプして、着地の際に前十字靭帯を断裂。以後、スーパーGにはほとんど出場していないし、大回転でもコースの途中にジャンプ台があるのは大嫌い。そして、そうやって高速系のレースから遠ざかるにつれ、技術系のスラロームの大会に出ることが増えてきた。それと比例するような形で成績も徐々にアップ。神奈川県レベルでもそこそこの成績が残るようになってきた。

ところが、ここ2年ぐらいで状況が大きく変わりつつある。今までそこそこの成績が出ていたのだけれど、チラホラとてつもなく速く滑る選手が出てきたのだ。おかげで、なかなか表彰台に立てない。去年は横浜市の大会ぐらいなら表彰台の一番上に立つこともあったのだけれど、今年などは50秒程度のコースで3秒とか差をつけられたりする。スキーをやらない人にはピンと来ないかも知れないけれど、3秒というのは相当な差である。しかも、場合によっては3秒どころじゃない。5秒とか、下手をすると10秒近い差がついたりする。

一昨日、宝台樹というスキー場で横浜市のスラロームの大会があったのだけれど、去年は優勝したこの大会、今年は3位にとどまった。今年は練習が全然出来てないという理由は確かにある。しかし、それにしても、あまりにも情けない結果。そして、なかなか興味深い結果でもあった。

一本目、セットはかなり細かく、そしてむちゃくちゃに振り幅のあるセットだった。こういうセットでは、ターン前半から板にしっかりと加重しつつ体を落としていき、そしてターンのマキシマムを短時間で仕上げる必要がある。これが出来ないと、板を回さなくてはならなくなる。板を回すのか、振るのか、この二つにはスピードの点から大きな違いがあって、そして、踏んで板を回すことができないと、大きなタイム差が発生してしまうことになる。この一本目、僕は上位に大差で負けた。なぜなら、僕は板を踏んで回すことができないからだ。自分の弱点が物凄くはっきりと自覚できるセットだった。

続いて二本目。今度は一本目と比較して随分とストレートになっていた。実際のところ、スタートとゴールは同じなのに、平均して、一本目より二本目のほうが15秒も速かった。これは僕だけじゃなくて、ほぼ全ての選手が、である。こんなに大差がついてしまうセットを同じ人がセットすることについてはちょっとどうかと思うのだけれど、おかげで色々と面白いことも分かった。一本目、僕より3秒速かった二人の選手のうち、ひとりは二本目も僕に対して2秒以上速かった。もうひとりは僕よりもコンマ5程遅かった。僕の滑りはターン後半の仕上げのうまさに特長がある。一方で、ターン前半の加重は全くうまくない。つまり、ターン後半を重視した滑りで、これは緩斜面やアイスバーンで効果を発揮する。一方で、急斜面やコースが荒れた状態だと、タイムが出ない。今回は緩斜面で、かつ比較的バーンが荒れていないレースだったため、比較的僕に有利なコースだった。そして、セット。細かいのは問題ないのだけれど、振ってあるか、高速セットなのかによって得意、不得意が出て、僕の場合は高速セットのほうがタイムが出る。そういうわけで、一本目と二本目だと、僕の成績はぜんぜん違うものになった。ただし、である。ラップの人とだけは、タイム差はあまり変わらなかった。他の選手達は軒並み僕より遅かったわけだが、優勝した人は一本目も二本目も、変わらずに速かった。つまり、ターン前半からしっかりと板に乗っていける人は、どんなセットでも速いわけだ。

では、どうやったらターン前半からしっかりと乗っていけるのか。問題はここである。そして、その答えは1にも2にも、多分、ターン前半できちんと正確に加重出来るか、ということ。恐らく、その技術を身につけた人は一気にタイムが上がるんだと思う。そういえば、神奈川県のノアールというチームに三浦選手というのがいて、彼はここ10年ぐらい、常に僕よりちょっとだけ遅いところにいた。僕が調子が良くても、調子が悪くても、いつもコンマ5とか、あるいは1秒ぐらいずつ、僕の方が速かった。ところが、去年、いきなりその状況が変わってしまった。彼は僕よりも3秒とか、4秒とか、速く滑るようになってしまったのだ。そして今年、上越国際の急斜面での大会で、彼は優勝してしまった。つまり、この2年間で突然開眼して、そして別世界へと行ってしまったことになる。結局のところ、彼はターン前半から加重することを身につけ、僕はそれができないでいるんだと思う。

大体、何をすれば良いのかはわかっているつもりだ。ただ、ポールの中、あるいは試合の最中に、普段頭の中でシミュレートしているように体が動いてくれない。そのスイッチが、入ってくれるかどうか。もしスイッチが入ってくれれば、多分僕も三浦選手のいる場所に行けるんだと思う。でも、スイッチが入らなければ、このまま、あとからあとからやってくる「スイッチの入った選手」に先をこされ、そして、スラローム自体がつまらなくなってきてしまうんだと思う。

勝負は、やはり勝たなくては面白くない。

周りの選手たちを見ていると、スイッチの入った選手たちは、かなり年齢が上でも良い成績を出している。つまり、うまく体が使えるようにさえなれば、体力的なものはそれほど大きな問題ではなくなるということだ。僕自身、去年一年間、それなりにトレーニングは続けていて、同じ年代の選手たちに比較して著しく体力的に劣るということはないと思っている。問題は、頭で考えたとおりに体を動かせるかどうか、それによって、板の性能をきちんと引き出してあげることができるかどうか、である。

今シーズンはもうすぐ終了。多分、多くても僕がスラロームの練習をするのはあと二日である。そこで開眼するのは凄く難しいはず。でも、来年につながるような何かを見つけたい。このまま引退するのか、それとも、もう一度、仲間たちとギリギリの競争ができるのか。ちょっとした手がかりでも良いので、見つけられたらと思う。

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